白血病の基礎知識 病気の特徴と症状|主な検査方法

異常な血液細胞が無制限に増殖する「血液のがん」

造血幹細胞などの未熟な段階の血液細胞が「がん化」したもの。治療法の進歩により治癒が期待できる病気に

白血病の現状

 白血病は血液のがんの一つです。かつては「死に至る病」ともいわれましたが、診断法や治療法が進歩して治癒率もかなり上がり、現在では完治が期待できる病気の一つになっています。

 国立がん研究センターがん対策情報センターの「最新がん統計」によると、我が国で1年間に新たに白血病にかかる人は9,032人(2005年データ)、1年間に白血病で亡くなる人は7,896人(2009年データ)と発表されています。
 また、1年間に白血病にかかるリスクは、人口10万人に対して男性では8.3人、女性では5.9人となっています(2005年データ)。1年間に白血病で死亡するリスク(人口10万対)は、男性7.8人、女性4.9人(2009年データ)となっています。

 白血病は、胃がんや大腸がんなどと比較すると罹患率、死亡率とも低く、男女比では男性のほうが高くなっています。小児(14歳以下)の罹患が多いことも特徴で、小児がんのなかでは最も頻度の高いがんです。

白血病の特徴

 血液中には赤血球、白血球、血小板などの血液細胞があり、これらのもとになる細胞を造血幹細胞といいます。造血幹細胞は骨の中の骨髄というスポンジ状の部分に存在し、骨髄系細胞やリンパ系細胞に分かれ、成熟した血液細胞へと育っていきます。白血病では未熟な段階の血液細胞が「がん化」し、その結果生じた白血病細胞が無制限に増殖します。

【白血病の分類】
 白血病は、進行の速さとがん化した細胞のタイプ(骨髄系細胞、リンパ系細胞)によって、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病の4つに大きく分けることができます。罹患者がもっとも多いのは「急性骨髄性白血病」で、白血病全体の約6割を占めています。

急性白血病
 急速に進行する。骨髄で未熟な白血病細胞が著しく増えた結果、正常な赤血球、白血球、血小板が減るため、貧血や出血、感染症などが起こりやすくなる。
・急性骨髄性白血病
 罹患者の多くが成人。効果のある薬の開発により、完全寛解(検査上、白血病細胞が見えない状態)を長く維持できるようになった。
・急性リンパ性白血病
 リンパ球ががん化する。罹患者のほとんどは14歳未満の子どもで、子どもの場合の治癒率は高い。

慢性白血病
 成熟した白血病細胞が著しく増加する。ゆっくり進行するため初期にはほとんど症状がない。
・慢性骨髄性白血病
 造血幹細胞ががん化する。慢性期から移行期、急性期へと進展する。主に40歳以上に発症しやすい。
・慢性リンパ性白血病
 リンパ球のB細胞ががん化して血液中に増殖する。日本ではあまり見られない。

【白血病の症状】
 白血病に固有の症状があるわけではなく、白血病細胞の増加や正常血液細胞の減少によるさまざまな症状が現れます。

 急性白血病では正常な赤血球、白血球、血小板が作られなくなり、貧血状態でめまいや疲労感などが起こりやすくなります。血液を固める役割をする血小板が減少するので、あざや出血が起こりやすくなります。
 血液検査上の白血球数は増える場合と減る場合がありますが、幼弱な(働きの悪い)白血球が増えて抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなります。
 そのほか、骨の痛み、腹部(肝臓や脾臓)の腫れ、リンパ節の腫れ、頭痛、吐き気や嘔吐(おうと)などが起こることがあります。

 慢性白血病では、だるさ、発熱、肝臓や脾臓の腫れ、リンパ節の腫れを生ずることもあります。

白血病の危険因子

 白血病の原因はまだはっきりとはわかっていませんが、がんの発生には遺伝子の異常が深くかかわっていると考えられています。
 「ファンコニー貧血(先天性再生不良性貧血)」、「ダウン症候群」などの遺伝子異常を持つ病気では、白血病のリスクが高まることが知られています。
 また、後天的に遺伝子異常を起こす原因として、次のようなことが挙げられます。

・放射線被曝
・ベンゼンなどの化学物質の曝露
・ある種の抗がん薬の投与
・ある種のウイルスへの感染 など

 なお、白血病は親から子に伝わるいわゆる遺伝によって発現する病気ではありません。

白血病の主な検査

 体調不良を感じて受診し、一般的な血液検査を受けたら白血球値が異常だったためさらに詳しい血液検査を受け、白血病が見つかる場合があります。
 一方、全く何の自覚症状もなかった人が、職場健診などの一般的な血液検査で異常が見つかり、白血病の発見へとつながるケースもあります。

 「白血病」という病名は、がん化した血液細胞が異常に増えて血液が白く見えることから名づけられました。しかし現在では、血液検査が簡便にでき早期発見できることから、血液が白くなるまで診断がつかないことはほとんどありません。

●問診・触診
 気になる自覚症状について聞き、リンパ節、腹部(肝臓や脾臓)を触診、胸の聴診などで全身の状態を確認します。同時に、これまでの病歴・治療歴の確認、造血幹細胞移植の提供者(ドナー)を把握するため、家族構成も確認します。

●血液検査
 採取した血液を顕微鏡で見て、赤血球、白血球、血小板など血液細胞の数、大きさや形などの状態を詳しく調べます。また、血液中のLDH(乳酸脱水酵素)や尿酸値、血液型についても調べます。
 白血病を疑わせるような異常があれば、骨髄検査へ進みます。

【骨髄検査】
●骨髄穿刺・骨髄生検
 局所麻酔をして腸骨または胸骨に針を刺し、骨の中にある骨髄液を吸引する骨髄穿刺(せんし)を行います。採取した骨髄液を顕微鏡で見て細胞の形や数などを調べます。未熟な白血球の数が一定以上増えていると白血病と診断されます。
 必要に応じて骨髄生検を行う場合もあります。骨髄生検は中空の針で骨髄を刺し、骨髄組織の小片を吸い取って取り出します。この組織片を薄くスライスし顕微鏡で調べます。

●染色体検査
 骨髄検査で採取した骨髄液を使って、骨髄細胞に含まれる染色体の異常を調べます。白血病のタイプを細かく分類し治療方針を決めるために、どのような染色体異常があるか調べることは重要です。ほとんどの慢性骨髄性白血病では、フィラデルフィア染色体という染色体異常が見られます。

●遺伝子検査
 白血病の確定診断を行い、慢性骨髄性白血病か急性骨髄性白血病かといった病気の種類を特定したり、その予後を推定することができます。遺伝子検査は血液や骨髄検査で採取した骨髄液を使い、「RT-PCR法」や「FISH法」などの方法によって行います。

【画像検査】
●CT検査
 コンピューター断層撮影検査ともいい、主にがんの広がりや転移の有無を調べます。体の外周からX線を照射し、組織に吸収されたX線量をコンピューターで処理して、体内の断層像(輪切り像)を描き出す画像検査です。
 胸部や腹部のリンパ節の腫れや、肝臓や脾臓の腫れなどがないか調べます。

(編集・制作 (株)法研)

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【監修】
永井 正先生


自治医科大学内科学講座血液学部門准教授
1985年東北大学医学部卒業。石巻赤十字病院で内科研修後、87年より東北大学医学部第二内科で血液内科を専攻。91年より東北大学第二医化学および米国ロックフェラー大学にて基礎研究に従事。98年より自治医科大学血液科に勤務し、助手、講師を経て、現在准教授。専門は白血病治療薬に対する耐性機序、造血器腫瘍に対する分子標的療法。日本内科学会、日本血液学会、日本癌学会、米国血液学会などに所属。

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