効率よく脂肪を燃やす有酸素運動-効果倍増のウォーキング法とは

10分×3回でも30分と同じ効果が

生活習慣病の予防から疲労回復まで、守備範囲の広いウォーキングの新しいスタイルの提案。

脂肪を効率よく燃やす無理のない有酸素運動

 体にとって大切なエネルギーである脂質。しかし、その過剰摂取は高血圧や動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞をまねくことになります。体内に蓄積された脂肪を減らすために有効なのが有酸素運動です。運動を始めると、体はまず糖質を燃やしますが、その後、脂肪を燃やし始めます(図参照)。

 糖質は1g燃えると4kcalのエネルギーを出しますが、脂質は9kcalも出します。そのため、長時間運動を続けるほど、体は効率よくエネルギーを供給するために、脂質をより多く使おうとします。

 実験によると、激しい運動を長時間続けた場合、そのエネルギーはすべて糖質でまかなわれます。ところが低強度でウォーキングを継続すると、脂肪が最も燃えやすくなることが明らかになっています。つまり、生活習慣病の予防・改善のためには、ウォーキングなどの無理のない有酸素運動が効果的なのです。

短時間でも高率アップが可能

 これまでは、歩き始めて10分ほどすると脂肪が燃え始めるため、脂肪を効率よく燃焼させるためには、30分は続けて歩くのが効果的といわれてきました。ところがイギリスで、毎日30分続けて歩いた女性と、10分ずつ3回に分けて歩いた女性の脂肪の減少量を計測したところ、差異がなかったという研究結果が報告されたのです。そして、スポーツ医学の権威であるACSM(アメリカスポーツ医学協会)も、この結果を支持しています。なぜ、このような結果が出たのでしょうか。

 ウォーキングを終了したあとでも“何らかの動き”が加わると、ずっと運動を続けたのと同じ程度に脂肪の燃焼時間が継続します。この状態を“アフターエフェクト”といいます。10分ほど歩いて気分転換が図られ、もう少し動きたくなる。そこで、掃除や洗濯などの家事を行ったために、脂肪の燃焼が継続したものと考えられます。30分も歩く気にはならない人でも、アフターエフェクトを考慮して、朝昼晩に10分ずつ歩くことはできそうです。ちなみに、30分間続けて歩くと、約200kcalのエネルギーが消費されますが、これは日本人の成人が、日常的に過剰摂取している1日のエネルギー量とほぼ同じです。

プラスアルファの効果も期待できる

 ウォーキングには、脂肪燃焼のほかに脳を刺激する覚醒作用、ストレスの発散、気分転換など、さまざまな効果が期待できます。なかでも注目したいのが疲労回復効果です。運動量の少ない現代人の筋肉は、同じ姿勢を支える働きが中心で、多くの人が、眼、首、肩、腰などに局所疲労を抱えています。

 局所疲労の予防・改善には、全身の筋肉を使って全身疲労をさせることが最も効率的で、とくにウォーキングがお勧めです。歩いたあとにややぬるめのお風呂に入り、血行を促進すれば筋肉も弛緩し、夜はぐっすり眠れます。疲労感、肩や腰の痛みがつらいという人にこそ、短時間でもどんどん歩きましょう。あなたも自分の生活時間に合わせて、無理なく歩くことを習慣にしてみませんか。

(「へるすあっぷ21」、法研より)

【取材協力】
宮崎 義憲氏


東京学芸大学健康・スポーツ科学講座教授

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