「山ガール」入門
おしゃれなウエアを着てハイキングや登山を楽しむ女性増殖中
初めての登山は経験者と一緒に。機能にすぐれた装備をそろえておけば安心。山ガール流、山の楽しみ方を紹介
(2010年10月12日)
「山ガール」って何?
休日の高尾山。中高年や家族連れに交じって、若い女性の姿もたくさん見かけました。おしゃれなウエアを着て、ハイキングを楽しむ女性たち。そんな彼女たちを「山ガール」と呼びます。主力は20〜30代のアラサー女子。
山ガール出現の大きな一因は、ウエアのおしゃれ化にあるでしょう。どうも、これまで登山には、「汗臭さが勲章」のようなハードなイメージがつきまとい、おしゃれでなかった気が……。しかし、気がつけば様変わり。ファッショナブルなウエアや装備が続々登場。中でも山ガール御用達は「山スカート」です。一昔前はスカートで山登りなど考えられませんでしたが、機能性の高い素材で動きやすい丈に作られた「山スカ」は今や必須アイテム。アンダーにタイツをはけば、足さばきに支障はありません。
さらに、ハイキングは女性にとってうれしい効果も。ハイキングは有酸素運動。通常でも2〜3時間以上歩くので、ジョギングなどより体を動かす時間が長い分、カロリー消費量が多くなります。週1回のハイキングでも、続ければ体脂肪が燃焼し、ダイエット効果が期待できます。
高尾山に来ていた山ガール歴2カ月のアラサー女子は「森林浴ができ、山からエネルギーをもらえる感じ。普段はデスクワークですが、いい気分転換になります」と山の楽しさに目覚めた模様。アラサーをとっくに卒業した筆者も、ハイキングをはじめてから、山には不思議な魅力があると感じる一人です。
その魅力を、登山歴30年の筋金入りの山ガールで、山岳ライターの紀村朋子さんが解説してくれました。
「山に登る目的は人によってさまざま。自然や景観の美しさを求める、季節の花を愛でる、写真を撮る、体力づくり、パワースポットめぐり、あるいは下山後の温泉が楽しみという人もいます。山の大きな魅力は、それらすべての人の目的や思いを受け入れてくれる懐の深さにあると思います」。
これにアウトドアブームやエコ志向も手伝い、人気を牽引します。癒しを求める、山の懐に抱かれたいと思う山ガールは、ますます増殖するでしょう。
山ガールの始め方
もう行くしかない魅力いっぱいの山。山ガールへの初めの一歩は、どうやって踏み出したらいいのでしょうか? 紀村さんはいいます。
「初心者がいきなり一人で山に入るのは、大変危険。まずは経験者とともに登りましょう。登山教室などに参加するのもいいですね。登り方の基本や地図の読み方など、山のイロハを知ることができ、仲間もつくれ、無理なく安全に始められます」。
登山教室はカルチャースクールや山岳会などで開催されています。山の専門出版社や旅行会社主催のハイキングツアーに参加するのもおすすめ。
山は装備も重要です。最初にそろえたいものは登山靴。スニーカーで登れる山もあるにはありますが、疲労度が格段に違います。登山靴の靴底は、硬くてくっきりした凹凸があり、滑りにくく歩きやすい構造になっています。ウエアは上着もさることながら、下着が肝心。汗で濡れてもすぐ乾く速乾性のものを身につけたい。天候の変わりやすい山では、防寒具や雨具も必携です。上下に分かれたセパレート型のレインウエアがいいでしょう。
山グッズは値段も張りますが、その分機能に優れ、使い勝手がよいので、一通りそろえておくと安心です。
登ってみよう!
いざ山歩き。登りは踏み出した足に体重を移動させ、重心を体重を乗せた足の上に置いてしっかり歩きます。下りはひざを柔らかく曲げて重心を移し、腰を前に出して次の足を出します。歩幅は小幅に取ったほうがバテません。休憩は30分〜1時間に1回程度で、歩いた時間の1割を目安に。あまり長い休憩は体を冷やすので注意を。行動食にはナッツ類やドライフルーツなどを。紀村さんのおすすめは「それらを練りこんだハード系のパン」。これなら、スライスすればかさ張らず、おいしくて気の利いた行動食になりますね。
リフトなどの整備で以前に比べれば気軽に登れるようになりましたが、たとえ低山でも山は山。事前の体調管理や天候のチェック、初心者は一人で行かない、暗くなる前に下山する、など基本的なルールをしっかり守り、安全に楽しみましょう。
<初級者向きおすすめの山>
●八幡平(岩手県・秋田県)1613m
点在する湿原や沼をめぐるように遊歩道が整備されている。初夏のニッコウキスゲや秋の紅葉がみもの。雄大な自然を楽しめる。
●高尾山(東京都)599m
おなじみの山だが、ルートがいくつもあり、何度も楽しめる。ケーブルカーも利用できる。
●幕山(神奈川県)626m
ゆるやかな登りで、家族連れにも人気。山頂は草原広場になっていて広々。
●霧降高原・丸山(栃木県)1689m
丸山は日光連山の中のひとつ。リフトを乗り継いで登頂できるが、下りは少しきつい。ニッコウキスゲの名所。
●入笠山(長野県)1955m
南アルプスの山。標高は高いが、山頂近くまでリフトやバスがある。湿原のスズランの群生もみもの。
●葛城山(奈良県)959m
金剛山地にそびえる葛城山は、変化に富んだコースでハイカーに人気。なだらかな高原に咲くツツジが美しい。
●篠山(高知県・愛媛県)1065m
篠山スカイラインを利用すれば、8合目まで車で入れる。そこから山頂までは1.5kmほど。山頂は眺望が素晴らしい。
●阿蘇山(熊本県)1592m
世界でも有数のカルデラを持つ雄大な山。火口縁までロープウエーで結ばれていて、無理なく登れる。5月にはミヤマキリシマが咲き乱れる。
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鈴木 優子さん
医療ジャーナリスト
大学卒業後、JTB日本交通公社出版事業局(現・JTBパブリッシング)を経て、フリーに。「医療安全」「dancyu」「PRESIDENT」などの雑誌に寄稿。医療、健康、パン&スイーツ、旅などの取材執筆をする。2008年国際医療福祉大学大学院 医療福祉ジャーナリズム分野修士課程修了。東京大学医療政策人材養成講座5期生。産業カウンセラー。日本医学ジャーナリスト協会会員。山ガール歴&ランニング歴1年。

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