日本人の8割は腰痛持ち? 腰痛を改善する簡単ストレッチ

慢性腰痛の改善には、運動と姿勢で腰の負担を減らす

歯みがき同様に腰の手入れも日頃の気配り。背骨を支える腹筋・背筋を鍛え、姿勢や動作にもみがきをかけて

男も女も“泣きどころ”

 いきなりですが、クイズを一つ。

【質問】いろいろな体の不調感がありますが、日本人でいちばん訴えの多い不調感は次の4つのうち、どれでしょうか?
 (1)「頭が痛い」(2)「腰が痛い」(3)「肩がこる」(4)「疲れやすい」

【答え】男性では(2)「腰が痛い」、女性では(3)「肩がこる」でした(「平成19年 国民生活基礎調査」)。

 この程度のクイズなら、多くの人が正解だったのではないでしょうか。何しろ、回答者自身がその不調感に悩まされている可能性が高いのですから。そこで今週のこのコーナーでは、男性1位の「腰痛」について考えていきます。実は腰痛は、女性でも第2位にランクされていて、人数では男性を大きく上回っているのです。ちなみに男性の2位は「肩こり」です。

85%以上が慢性腰痛

 さて、日本人に多い腰痛ですが、その85%以上は特定の病気などに原因を絞りきれない腰痛で、これを専門用語では「非特異的(ひとくいてき)腰痛」と呼びます。いわゆる「慢性腰痛症」といわれているものです。逆に、これが原因で腰が痛くなったのだ、とはっきり原因がわかるものは「特異的腰痛」と呼びます。主な原因としては椎間板(ついかんばん)ヘルニア、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、圧迫骨折などがあり、腰痛全体の15%以下といわれています。多くは老化に伴うものですが、これらの説明はここでは省きます。

 ところで、「ロコモティブシンドローム」という言葉をご存じでしょうか。日本語では「運動器症候群」と訳されています。骨、関節、筋肉、腱(けん)、靭帯(じんたい)、神経など、運動にかかわる器官や組織を総称して「運動器」といいます。それらが衰えて立ったり歩いたりすることが難しくなり、要介護や寝たきりになったり、そうなる危険の高い状態のことをロコモティブシンドローム(略称:ロコモ)と呼んでいます。メタボリックシンドローム(略称:メタボ)とともに、高齢化が進む現代社会での重要な問題とされているのですが、今週のテーマである慢性腰痛は、このロコモを悪化させる要因の一つと考えられているのです。ですから慢性腰痛もメタボ同様に、その改善に積極的に取り組んでいただきたい、というのが今週のこのコーナーのお願いです。

毎日の運動と姿勢で腰みがき

 慢性腰痛の改善に有効なのは運動療法です。たとえば歩いて買い物に行くとか、デスクワークの途中立ち上がって背伸びをするなど、毎日の生活の中のささいなことでも、広い意味での運動療法として慢性腰痛の改善に役立ちます。そこで、あたかも毎日の歯みがきで口の中のケアをするように、毎日腰のケアを意識しながら体を動かすことで慢性腰痛を改善しよう、という趣旨から“腰みがき”というフレーズを使っています。

 腰みがきの柱になるのは「運動」と「姿勢」です。運動では腹筋と背筋を鍛えます。この2つの筋肉は背骨を支え体幹筋と呼ばれます。背骨がしっかり立っていないと、その根元である腰への負担が大きくなります。そこで体幹筋を強くして、背骨がグラつかないようにしなければなりません。専門医の学会では、体幹筋強化に次のような腹筋体操、背筋体操と2種類のストレッチングを推奨し、それぞれ10回を1セットとして1日2セット以上行うことをすすめています。

●腹筋体操
(1)あおむけになり膝を立てる
(2)あごを引き、上半身をゆっくり起こす
(3)45度くらい起こしたところで5秒間保つ
*腹筋の弱い人は上半身を起こすように腹筋に力を入れるだけでもよい。

●背筋体操
(1)うつ伏せになり、へその下に枕などを置く
(2)あごを引き、上半身をゆっくり起こす
(3)顔が10センチくらい上がったところで5秒間保つ
*背筋の弱い人は上半身を起こすように背筋に力を入れるだけでもよい。

●腰・背中・おなかのストレッチング
(1)あおむけになり、片膝を両手で抱える
(2)膝をゆっくり胸のほうに引きつけ、10秒間保つ
(3)左右の脚で行う

●太もも裏側のストレッチング
(1)あおむけになり、片脚を膝を曲げたまま立てて膝裏を両手で支える
(2)そのまま膝を伸ばし10秒間保つ
(3)左右の脚で行う

 姿勢については、普段から次のような「腰みがき10カ条」を意識して生活してください。

■腰みがき10カ条
(1)背すじを伸ばす
(2)おなかに力を入れる(立つ)
(3)お尻をすぼめる(立つ)
(4)膝を軽く曲げる(立つ)
(5)いすには深く腰かけ、机に近づく(座る)
(6)膝を曲げて寝る(寝る)
(7)うつ伏せでは寝ない(寝る)
(8)荷物に十分近づき、膝を曲げ腰を下ろして持つ(持ち上げる)
(9)急に体をひねらない
(10)毎日欠かさず運動をする

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
白土 修先生


福島県立医科大学会津医療センター準備室 整形外科教授
1981年北海道大学医学部卒業後、米国Johns Hopkins University 整形外科留学、米国ニュージャージー医科歯科大学留学、北海道大学医学部附属病院リハビリテーション部助教授、労働福祉事業団美唄労災病院腰痛背損センター部長、北海道大学医学部附属病院整形外科講師などを経て、2004年埼玉医科大学整形外科学教室准教授、10年より現職。日本整形外科学会、日本脊椎脊髄病学会、日本腰痛学会、日本脊髄障害医学会、日本運動器リハビリテーション学会ほか多くの学会で要職を務める。

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