低い山も甘く見ると遭難事故に-安全な山歩きのコツとは

初心者が山歩きを安全に楽しむために

山ガールも山ボーイも準備・装備は怠りなく。おしゃべりや鼻歌ができるくらいのペースが疲れにくい

人気の低山でも事故や遭難の危険がないわけではない

 梅雨が明ければ本格的な夏山のシーズン。昨年は、華やかなウエアで楽しそうに山道を行く「山ガール」たちが大いに話題になりました。それに釣られてか、おしゃれな「山ボーイ」も少なからず見かけられるようになりました。ファッショナブルに登山を楽しもうという傾向は、今年も続きそうです。

 さて、格好から入る山の楽しみ方も結構ですが、気をつけていただきたいのは山を甘く見ないということ。たとえ標高が1,000mに満たないような低い山でも、油断すれば事故や遭難に見舞われる危険性はあります。家族連れや恋人同士、ファッションから入った初心者などには、楽しさ優先ということから、まずは比較的名前の知られている低山がよく勧められます。そういうところは登山道が整備されていて訪れる人も多く、日帰りで山登りを楽しめます。
 ただし、そんなラフなイメージで下調べや準備・装備にあまり気を配らないまま出かけてしまうと、山から手痛いしっぺ返しを食らうこともあるのでご用心。山歩きを安全に楽しむために、どのような注意が必要かまとめてみました。

初めは経験者に連れて行ってもらうのがよい

 どちらも山歩きは初めてという初心者同士とか、ガイドブックさえあれば1人で平気、などというのはあまり感心できません。目的の山を決めたら、体力に見合ったルートを探し、しっかりした計画を立てる必要があります。そういう準備段階のアドバイスをもらうことも考えると、初めは登山経験者に連れて行ってもらうのがよいでしょう。

 身近に経験者がいない場合は、登山用品店、旅行会社、カルチャーセンターなどが主催するツアーや登山教室に参加する方法もあります。その場合でも、事前に配られる登山計画書をよく読んでおくこと。行った先では主催者に頼りっきりで後をついていくだけというのでは、何回行っても永久に初心者のままでしょう。

ウエアは速乾性があるもので重ね着が基本

 たとえ低山でも、安全のためには必要な最低限の装備というものがあります。山ガール、山ボーイをターゲットにしたウエアや装備なら、お店から勧められるままのものを購入しても大きな間違いはないかもしれません。しかし、それらの製品が用意されている理由は知っておいたほうが、その後に自分で買い足していくときの知識として生きてきます。

ウエア 下着やその上のシャツ類は速乾性のものを。綿製品だと汗が乾きにくく体を冷やす原因に。夏以外は中間着に保温効果のあるフリースがあると便利だし、夏でも2,000m級の高山へ行くなら必携。気温は標高が100m高くなるごとに0.5~1度C下がるといわれる。下界は猛暑でも、山の上は春の気温。風が吹けば体感温度はもっと下がる。これらの重ね着の脱着で体温調節を図るのが山歩きの服装の基本。ジーンズやチノパンツ、コーデュロイのパンツなどは伸縮性や速乾性が悪いので避けたい。さらに、上下セパレーツでフード付きのレインウエアも必携。雨以外にも、気温が下がったときや風の強いときの防寒具になる。
帽子 障害物や落下物から頭を保護するためと、夏は日射病、それ以外の季節は防寒対策に必要。
 スニーカーは疲れやすく滑りやすい。水にも弱い。滑りにくくて硬い靴底のトレッキングシューズや軽登山靴が望ましい。
ザック ウエストベルトのある登山用のザックを。日帰りなら20~30リットルの容量があれば足りる。街歩き用の小さなザックでは容量が足りないし、疲れやすい。
水、食料 昼食以外に予備の食料として、ビスケットやチョコレート、チューブ入りのコンデンスミルクなどがおすすめ。水は水分補給以外に、ケガをしたときの傷口洗浄用にも必要。日帰りなら最低でも1リットルは持って行く。

上りは鼻歌ペース、下りは小また歩き

 山歩きでは、当然のことですが街中とは違う歩き方になります。上りは前かがみにならず、足裏全体で地面を踏むようにします。おしゃべりや鼻歌でも歌える程度のペースが息が上がらず疲れにくいでしょう。下りは上り同様に足裏全体で着地。小またで歩くと、太ももに無理がかかりにくく疲れを少なく抑えられます。かかとに体重がかかると、ぬれた地面や木道、踏み石の上などでは後ろに転倒しやすいので注意しましょう。むき出しの木の根も滑りやすいので踏まないように。

 初めての山歩きだと、かなり疲れるはずです。2~3時間歩くコースで、30分~1時間に1回は休憩をとるような計画がよいでしょう。帰りは薄暗くなると危険なので、午前中に出発するようにしてください。

(編集・制作 (株)法研)

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