笑うことが健康に良い理由-がんやウイルス、リウマチにも効果的

作り笑いでも健康効果が

免疫力アップのほかにもたくさんあった、笑いの健康効果。

NK細胞が活性化され免疫力がアップ

 最近よく笑っていますか? 心から笑うと、いやなことを忘れて楽しい気分になったり、ストレスが発散できて、いかにも体によさそうです。英語では“Laughter Is The Best Medicine”ということわざがあります。「笑いは百薬の長」とでも訳せるでしょうか。実際、笑いは免疫力を高めて病気の予防・改善に役立つことから、「笑い療法士」という仕事も登場しているほどです。

 どうして笑うと免疫力がアップするのでしょうか。NK(ナチュラルキラー)細胞という言葉を耳にしたことはありませんか? NK細胞とは白血球をつくるリンパ球の一種で、ウイルスやがん細胞など、体に悪さをする物質を攻撃します。全身に50億個も存在するNK細胞が活発に働いていると、がんや感染症などの病気にかかりにくくなります。

 この免疫の要(かなめ)ともいえるNK細胞が、笑うことで活性化されるのです。笑うと、免疫をつかさどるセンターの役割をする「間脳(かんのう)」へと興奮が伝わり、情報を伝達する「神経ペプチド」がたくさん作られます。この神経ペプチドは、「笑い」というよい情報が与えられたことで善玉のペプチドになり、血液やリンパ液などを通して全身に運ばれ、NK細胞の表面にくっつきます。そして、よい情報を受け取ったことでNK細胞が活性化されて元気になり、病気のもとを退治するため、病気にかかりにくくなったり、治りやすくなる―つまり免疫力が高まり、健康になるということなのです。

大笑いのあと、免疫機能を示す値が正常値に近づいた

 笑いはがんやウイルスをやっつけるだけでなく、リウマチなど免疫異常を原因とする病気にも効果のあることが、実験によって明らかになっています。
 すばるクリニックの伊丹仁朗院長が行ったその実験は、ボランティアの男女に漫才や喜劇などで3時間たっぷり笑ってもらい、前後の血液を調べるというもの。その結果、18人中14人でNK細胞の活性が上昇、正常範囲を超えていた4人は下降して正常値に近づきました。また、免疫のバランスを示す値もほどんどの人が正常値に近づいていました。これは、低すぎればがんに対する抵抗力が弱くなりますが、高すぎてもリウマチなど免疫異常を原因とする病気になりやすいといわれています。

 「でも大笑いすることなんて、そうそうないんだけど…」という人にも心強い話が。笑いで免疫力がアップする仕組みには運動神経がかかわっていることから、伊丹先生はもう一つ、顔の筋肉の運動活動だけで笑い顔をつくることが免疫力に影響を及ぼすかどうかの実験を行いました。すると、表情だけ笑顔をつくっただけでもNK細胞が活性化する(高すぎる人は正常値に近づく)ことがわかりました。つくり笑顔でも免疫力が高まるのですから、楽しくなくても、いつも笑顔でいるって、本当に大切なのですね。

刺激とリラックスが交互におこって自律神経のバランスを整える

 笑うことによる健康へのプラス効果は、免疫力がアップするほかにも、まだまだたくさんあります。

(1)血行促進
 思いっきり笑ったときの呼吸は、深呼吸や腹式呼吸と同じ。一回に出入りする空気の量が多いため酸素がたくさん取り込まれる。すると血行が促され、新陳代謝が活発に。

(2)自律神経のバランスが整う
 自律神経には体を活動的にさせる交感神経と、体をリラックスさせる副交感神経があり、この2つの神経のバランスが適度に保たれていると体は正常に機能するが、バランスがくずれると体にさまざまな不調がおこる。笑っているときは刺激とリラックスが交互におこるため交感神経と副交感神経が頻繁に切り替わり、自律神経のバランスを整える。

(3)筋力アップ
 笑うときは、腹筋や胸の横隔膜、顔の表情筋など、さまざまな筋肉を使っていて、笑いすぎたときにおなかやほっぺたが痛くなるのはそのせい。笑うことでこれらの筋肉がきたえられ、多少なりとも筋トレ効果が。

(4)鎮痛作用
 笑うと脳内ホルモン「エンドルフィン」が大量に分泌される。エンドルフィンにはモルヒネの数倍もの鎮静作用があり、痛みを軽減する。

 こんなにある笑いの健康効果。とりあえずいやな思いをしたときも、気持ちを切り替えて笑ってみましょうか。

(「ジャストヘルス」法研より)

【監修】
伊丹 仁朗先生


すばるクリニック院長
1963年岡山大学医学部卒業後、精神医学教室で脳波大脳生理学の研究に取り組む。81年頃より、心身医学的側面からがん・難病治療に取り組み、生きがい療法を開発。がん闘病者とのモンブラン登山や笑いの研究で知られる。95年米国医学博士号を授与される。現在、すばるクリニックおよびルイ・パストゥール医学研究センターにおいて、がんの治療および研究にあたっている。著書に『大病院はなぜか教えてくれない ガン医療のスキマ30の可能性』(三五館)、『笑いの健康学』(三省堂)など多数。

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