庭やベランダでできるビオトープガーデンをつくる-睡蓮鉢の飾り方

ベランダに睡蓮鉢を置くだけで小鳥やトンボが遊びに来る

ミニ生態系のバランスが整うと水が透き通ってくる。あとはバランスを崩さないように見守るだけ。

ちょっとした工夫でベランダにも小鳥やチョウを呼べる

 暑くなってくると、透明な水は触って気持ちがいいのはもちろん、見ているだけでも涼しげです。そこで今回は、手軽に水辺の涼しさが味わえ環境にもちょっと優しい、ビオトープガーデン作りを紹介しましょう。

 ビオトープとは、ギリシャ語のビオ(bio=生命)とトープ(tope、top=場所)を組み合わせた造語で、「野生の生き物のためのすみか」という意味。本来は野生生物が食べる、休む、隠れる、繁殖するなど、すべての行為を支える空間のことですから、個人の庭に作るのはとても無理。

 でも、ビオトープの機能の一部を取り入れたビオトープガーデンなら、意外と簡単に作れます。庭やベランダに蜜の多い草花を植え、小さな水飲み場を置くだけでも、小鳥やチョウが遊びに来るビオトープガーデンに。睡蓮鉢を一つ置けば、トンボが産卵に来たり、小鳥が水浴びに来たりするかもしれません。これは、誰でもできる小さな自然保護といってもよいでしょう。

睡蓮鉢を使って手軽に水辺のビオトープガーデンを

 庭がなくても、屋上やベランダで、水辺のビオトープガーデンを楽むことができます。ここでは簡単にできる、睡蓮鉢を使ったビオトープガーデン作りを紹介します。小鳥が水浴びできるように、半分は浅瀬にしましょう。まず、次のものを準備します。

素焼きの睡蓮鉢(直径50cm、高さ20cm程度)/枯れ枝や流木(太さ1~4cmで鉢に入る長さ)/小石/植えつける植物/小魚/タニシ、ヌマエビなど

(1)睡蓮鉢を枝で仕切って小石を入れる
 睡蓮鉢に枯れ枝などで中仕切りをつくり、片側に小石を入れる。鉢は夏の日なたでも水温が安定する素焼きがよく、小石は花崗岩が風化した伊勢錆など、表面がざらざらしたものがバクテリアが繁殖しやすく水質浄化に役立つ。

(2)トンボなどの産卵や羽化のために水草を植える
 ガマ、アシや睡蓮などは、根についた土をある程度洗い落とすか、ビニールポットに入れたまま植えると、アオコの発生を抑え、水が濁らない。浮き草なども加えると水温の上昇を抑えることができる。水草は台所で余ったクレソンやミツバを植えても。

(3)水を入れて浅瀬をつくる
 小鳥の水浴びしやすい深さは1~2cm程度なので、小石が少し見える程度に水を入れる。

(4)ボウフラの発生を抑えるためヒメダカ、アカヒレなどの小魚を入れる
 オス・メス合わせて日なたなら10匹前後、日陰なら5匹前後がよい。いきなり睡蓮鉢に放たず、買ってきた袋のまま鉢の水に2時間ほど浮かべ水温を同じにしてから放つ。

(5)藻類の掃除のためタニシなどを入れる
 掃除係のタニシを入れる。タニシは雌雄同体なので2匹いればどんどん増える。タニシが手に入らない場合は、買ってきた水草などに着いていることも多いモノアラガイなどで代用しても大丈夫。ヌマエビなどもアオミドロを食べてくれる。

(6)水が減ったら補充する
 素焼きの鉢はどんどん水分を蒸発させるため、水がなくならないよう頻繁にチェックして補充する。

 ゆれる水草と泳ぐメダカたち。涼しげで、じっと見ていると気持ちまで癒されそうです。

手に入りにくい野生の動植物は使わない、屋外へ放さない

 睡蓮鉢のビオトープガーデンでは、特に水質管理の必要はありません。減った分だけ水を足し、外からエサを与えるなどよけいな手出しをしないでじっと見守ること―これが大切です。外からエサを与えると水の中の栄養分が偏り、アオコの異常繁殖の原因になったりします。
 水草、メダカ、プランクトンの間で、増えた栄養分を分解したり食べたりするサイクルがくり返されるうちに小さな生態系のバランスが整い、次第に水が透き通ってくるはずです。

 このように簡単に作れて手入れもいらないビオトープガーデンですが、必ず守ってほしいことがあります。それは、手に入りにくい野性の動植物は使わないということ。小魚はヒメダカのような観賞用のものを買ってきて利用し、増えたからといって野外に放流するのもダメ。小さな自然保護どころか自然破壊につながる可能性があります。

【監修】
泉 健司先生


有限責任中間法人 山岳環境研究所、NPO法人Green Works顧問
1954年愛知県豊橋市生まれ。東京農業大学農学科副手を勤めた後、環境アセスメントを始めとした各種植生調査、フロラ調査の仕事に従事。96年ビオトープガーデンを提唱し、TVを始めさまざまなメディアで紹介される。教育活動にも力を入れており、都立野山北・六道山公園や昆虫体験学習館(長野県佐久市)での講習会や企画展示なども手がけている。農学修士。同博士課程単位取得退学。マミフラワーデザインスクール登録講師。著書に『小さなビオトープガーデン』(主婦の友社)など。 ビオトープガーデン http://www.biotopegarden.jp/

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