糖尿病を予防する-8つのあぶない生活習慣をチェック

まだ大丈夫と安心せず、今のうちから始めよう

遺伝体質+不適切な生活習慣で発症、適量の食事と栄養バランス、適度な運動の習慣化が予防の基本

こんな生活をしいていたら要チェック

 一口に糖尿病といっても、いくつかのタイプがあります。日本糖尿病学会ではこれを発症した原因別に、「1型糖尿病」、「2型糖尿病」、「特定の原因によるその他の型」、「妊娠糖尿病」、という4種類に分類しています。

 一般に糖尿病という場合は、このうち2型糖尿病のこと。元来、糖尿病になりやすい遺伝的な体質があるうえに不適切な生活習慣が加わり、多くは中高年になってから発症するもので、日本人の糖尿病患者の95%はこのタイプといわれます。ここでは、この2型糖尿病の予防法について解説していきます。

 そこでまず、誘因となる生活習慣を振り返ってみることからスタートしてみましょう。以下のような生活習慣がないかどうか、チェックしてみてください。これらに一つでも当てはまるようなら、糖尿病になる危険があります。

●糖尿病を招きやすい生活習慣
(1)食事のリズムが不規則で、そのうえ一度にたくさん食べることがたびたびある
(2)夜遅く食べ、すぐに寝てしまうことがよくある
(3)人より食べるスピードが速く、長くても15分とかからない
(4)脂っこい料理が好きで、反対に野菜はあまり食べない
(5)簡単に食べられるラーメンや丼物が好き
(6)甘い清涼飲料を1日に2回以上飲む
(7)アルコールが好きで、週に5日以上飲む
(8)車での移動が多く、歩くのは1日に2000歩以下

糖尿病を防ぐ食生活は、ほかの生活習慣病予防にもなる

 血液中のブドウ糖の量をコントロールするホルモン、インスリンの働きが悪い状態が糖尿病です。症状が進むと外からインスリンを補ってやらなくてはなりませんが、初期のうちなら、生活習慣の改善で今の状態をそれ以上悪化させないようにとどめ、合併症をおこさないようにすることが可能です。予備群といわれる血糖値が高めの人なら、生活習慣の改善によって元の健康な状態に戻ることも可能です。

 その基本は食生活の見直しです。肥満や動物性脂肪のとりすぎはインスリンの分泌や作用の低下につながるなど、食事は血糖値を大きく左右するからです。毎日の食事で次のことを注意しましょう。これらは、糖尿病だけでなくほかの生活習慣病を予防するうえでも有効です。

(1)エネルギーをとり過ぎない
 肥満を防ぐため、自分の体格や活動量に合わせたエネルギー量(食事量)を知って食べすぎない。甘いものなど間食もその範囲内で。
(2)栄養バランスに注意する
 炭水化物、たんぱく質、脂質をバランスよく、ビタミン、ミネラルを欠かさない。そのためには主食、副菜(野菜中心)、主菜を毎食とり、量もこの順に多く。主食は、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする食物繊維が豊富な玄米や発芽玄米などがよい。
(3)食事のリズムを規則正しく
 決まった時間に1日3食とることで血糖値の急激な変動を防ぐ。

自分に向く運動を続け、ストレス、喫煙にも注意する

 糖尿病予防には適度な運動をすることも重要です。適しているのは、負荷が軽くて長く続けられる運動。一般的には有酸素運動といわれ、ウオーキングや軽いジョギングのようにリズミカルに呼吸をしながら連続的に行える種目です。これによって血液中のブドウ糖はエネルギーとして消費され、インスリンを分泌しているすい臓の負担を軽くすることができます。できれば1回20分以上、週に3回以上行うと効果的といわれています。

 よく「以前やっていたから」と、瞬間的に力を発揮する短距離走やサッカーなどのような激しい運動を選択する人がいますが、このような運動はむしろ高血糖を招きかねません。糖尿病予防のための運動は、実感的に「楽に続けられる」あるいは「ちょっときついかな」と感じる程度で、一定時間続けて行える種目がよいのです。

 このほか、過剰なストレスにさらされることは、自律神経や内分泌機能の乱れを招くため、高血糖の誘因の一つとされています。ストレスは人によって感じ方が異なります。社会生活を続けるうえでストレスを避けて通るわけにはいきませんが、ストレスの受け止め方を和らげることは可能です。心身の疲れを感じたら無理をせずに休息をとる、ふだんから気分転換の方法を身につけておく、などがその方法。先に紹介した運動を行うことも、気分転換に適した方法としてすすめられます。

 また、喫煙はあらゆる病気に悪影響があるといってよく、特に高い濃度のブドウ糖にさらされて動脈硬化になりやすくなっている血管は、喫煙によってさらに動脈硬化を進めるというハンディを負うことになります。禁煙などできそうにないという人は、市販の禁煙補助剤を利用するとか禁煙をサポートする外部の助けを借りる、あるいは思い切ってニコチン依存症として治療を受けるなどのことを考えてもよいでしょう。

【監修】
岩岡 秀明先生


船橋市立医療センター内科外来部長
1981年千葉大学医学部卒業後、同大学第2内科に入局し、内科各科を研修。その後、国立佐倉病院内科、成田赤十字病院内科、国家公務員共済組合三宿病院内科などを経て、2002年船橋市立医療センター内科副部長。2006年同センター内科外来部長に就任、現在に至る。専門は、糖尿病・内分泌疾患の臨床。日本内科学会認定内科医・認定総合内科専門医・指導医、日本糖尿病学会認定専門医・研修指導医、日本内分泌学会認定専門医。

コラムに関連する病名が検索できます。

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

尿路結石は若い女性にもできる!? 予防になる食事と生活習慣

尿は腎臓で作られ、尿管を通って膀胱(ぼうこう)に運ばれます。そして一定量の尿が膀胱にためられ、膀胱から尿道を通って排出されます。この腎臓、尿管、膀胱、尿道など、尿の通り道を尿路といい、尿路のどこかに石ができる病気が尿路結石です。症状は激痛... 続きを読む

1日に飲んで良いアルコールの量-飲みすぎ・食べすぎを防ぐコツ

12月から1月にかけて、パーティーや忘年会、新年会など、お酒を飲む機会が続きます。飛ぶように出ていく財布の中身も気になりますが、飲みすぎによる二日酔い、肝臓へのダメージ、エネルギーのとりすぎによる太りすぎにも注意が必要です。
意外にこう... 続きを読む

飲みすぎの人は気をつけて-すい炎を予防する7つの習慣

春は新人の入社や異動などで、サラリーマン社会にとっては人の動きの大きい季節。お酒を飲む機会も自然と多くなり、胃腸や肝臓がちょっぴり心配になる人も少なくないでしょう。ところで、心配するなら同時にすい臓のほうにも目を向けてください、というのが... 続きを読む

朝ごはんちゃんと食べてる? 早起きの4つのメリット

入学、入社、異動などで新しい生活が始まる人も多いことでしょう。環境が変わるとそれだけで疲れますが、だからこそぜひ実行していただきたいのが、毎日「ちゃんと朝ごはん」。
厚生労働省「平成17年国民健康・栄養調査」によると、朝食を食べない人... 続きを読む

がんにならない生活‐分かりやすい6つの予防法

9月は「がん征圧月間」です。日本人の死因の第1位を占めるがんに、まったく無関心の人はまずいないでしょう。「できれば、がんなんかにかかりたくない」という人に今回ご紹介するのは、日本人向けにまとめられた発がんの危険因子と予防法です。厚生労働省... 続きを読む

皮下脂肪、内臓脂肪に続く「第3の脂肪」が怖い4つの理由

東アジアと南アジアの約112万人を対象とするコホート研究のデータ解析を基に、BMIと心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)による死亡リスクの関連が検討されました。その結果、東アジア人(日本、韓国、中国、台湾、シンガポール)では、BMI*が25以上... 続きを読む

狭心症・心筋梗塞の原因は? 予防のための11個のポイント

日本人の死亡原因の第2位は心臓病。なかでも多いのが狭心症と心筋梗塞です。中高年に多い病気ですが、最近は若い人にも増えています。
狭心症は、心臓に酸素や栄養を運んでいる冠動脈が狭くなって血液が十分に流れなくなり、急に胸が圧迫されるような... 続きを読む

深呼吸のリラックス効果と健康効果-生活習慣病の予防にも

仕事や家事で疲れたとき、大きく息を吸ってゆっくり吐くと、体全体のこりがほぐれてゆったりした気分になります。こうしたリラックス効果は、深呼吸のもつ大きなメリットの一つです。
深呼吸をするとリラックスできるのは、自律神経のうち交感神経の働... 続きを読む

アンチエイジングに役立つ3つの基本-若返りのための生活改善法

白髪が目立ってきた、小さな文字が見えにくい、頻繁に物忘れをするなど、誰でも40歳ごろから、少しずつ老化現象を自覚し始めます。以前は「自然のなりゆき」とあきらめていたものですが、最近のアンチエイジング(抗加齢)医学の進歩によって、たとえ中高... 続きを読む

便秘がちな女性は痔になりやすい? 予防と治療に一番良いこと

痔(じ)は「お尻のかぜ」と言われるくらい誰でも普通にかかる病気。日本人の3人に1人が「痔主」と言われています。痔の最大の原因といえば便秘ですが、女性には便秘の人が多いため、たくさんの女性が痔に悩んでいます。しかし場所が場所だけに、「もしか... 続きを読む