脂っこいものが好きな人の腹痛は胆石症かも

脂っこい食事は胆のうを疲れさせ、胆石症や胆のう炎の原因に

高脂肪、高エネルギーの食事は控え、40歳をすぎたら定期的に腹部超音波検査を
(2009年09月15日)

食後の腹痛や下痢が増えたら要注意

 食事の後、みぞおちや右上腹部が痛んだり、下痢になったりすることはありませんか? 「何か悪いものを食べたのだろうか」と心配になることでしょう。しかも、1回だけでなく、何回も同じような痛みを感じるようになると、放っておくわけにはいきません。

 食後の腹痛や下痢が増えた場合、胆石が原因のことがあります。胆石による痛みは、脂っこい食事の後、みぞおちや上腹部に起こりやすく、黄疸(おうだん)を伴って、時には右肩や背中、胸にまで広がることもあります。
 特徴的なのは突然の激しい右上腹部の腹痛で、脂汗をダラダラかいたり、体をくねらせ、その場にうずくまってしまうほどの激烈な痛みに襲われます。

 最近、こうした激痛に襲われ、救急車で病院に運ばれる人が増えています。食生活の欧米化により、肉類中心の脂っこい食事をする人が多くなったことが大きな要因といわれ、日本人の胆石症の割合は、成人人口の10%に達しています。

 とくに胆石ができやすいのは40歳以上の女性で、活動的、肥満ぎみの人だといわれています。男性に比べ、1.5倍も多いことがわかっていますが、どうして女性のほうが多いのか、原因ははっきりしません。40歳以上に多いということから推測すると、女性ホルモンとの関係も考えられます。また、加齢とともに胆石を持つ人の割合は増えていきます。
 いずれにしても、脂っこい食事や、からだに脂肪を蓄積しやすい生活が、胆石の危険性を増すことは間違いありません。

胆汁に増えすぎた成分が、胆汁の通り道にたまって胆石に

 胆石とは、胆汁の中の成分が固まってできる石のことです。胆汁はたんぱく質や脂肪の分解・吸収を助ける消化液で、肝臓でつくられ、肝内胆管や胆管、胆のう管を経て胆のうにためられ、濃縮されます。食事をすると胆のうが収縮し、胆汁が総胆管を通って十二指腸へと送られます。胆石はこれら胆汁の通り道にでき、できる場所によって胆のう結石、総胆管結石、肝内結石などと呼ばれます。

 また、胆石はその成分によって大きく3種類に分けられますが、最近の日本人ではコレステロール結石が7~8割と多くみられます。

 十二指腸に食べ物が運ばれてくると、胆のうが胆汁を分泌して十二指腸に送り、脂肪の分解・吸収を助けます。食事の内容に偏りがなく、脂肪分が過剰でなければ、この仕組みは問題なく働きます。ところが、脂っこいものばかりを食べていると、胆のうは胆汁を分泌し続けなければならず、過労に陥ってしまいます。
 こうしてオーバーワークになった胆のうが通常どおりに機能しなくなると、胆汁の分泌が滞ります。そのため、食事でとった脂肪分が十分に吸収されないまま大腸に送られて、下痢を起こすことになります。

 脂っこい食事は、胆汁の成分にも変化を及ぼします。通常は胆汁の中に溶けているコレステロールが増えすぎると、過剰な分が結晶化し、胆汁の通り道で胆石となってしまうのです。脂っこい食事の後に起こる激痛は、この胆石が胆管などに詰まることが直接の原因です。
 胆石が胆管などをふさいで胆汁が胆のうにたまったままになると、細菌感染から胆のう炎を引き起こし、命にかかわることもあります。

 突然の腹痛はもちろん、食後に腹痛や下痢が気になる方は、早めに消化器内科や消化器外科などを受診しましょう。黄疸や発熱がある場合は、すぐに受診してください。

 胆石があるかどうかは、腹部の超音波検査でわかります。治療は、内服薬で胆石を溶かす方法、胆石に衝撃波を当てて粉砕する方法、手術で胆のうをとってしまう方法などがあります。胆石があっても自覚症状がない場合、多くは定期的に検査をしながら経過観察をします。

高脂肪、高エネルギーの食事を避け、栄養バランスのとれた食事を

 脂肪分は、食事のおいしさを左右するだけに、全くゼロにすることは不可能ですし、必要もありません。注意が必要なのは、脂肪分が過剰な食事です。1日3食、脂っこいものばかりを食べたり、毎日、肉類や油で揚げたものばかりをとるのは考えもの。高脂肪、高エネルギーの食事は避け、いろいろな栄養素をバランスよくとるようにしましょう。

 また、女性に限らず、肥満の人に胆石症の人が多いのも事実。脂肪に偏った食事を控えるとともに、適度の運動を定期的に行い、体重をコントロールすることが大切です。

 ただし、肥満ではない人にも、あまり脂っこいものを食べない人にも、胆石症になる人はいます。むしろ、40歳前後を境目に胆石症の人が増える傾向にありますから、40歳を迎えたら、定期的に腹部超音波検査を受けて、胆石の有無をチェックすることをおすすめします。

(編集・制作 (株)法研)
【監修】
柁原(かじわら)宏久先生

柁原医院副院長
東邦大学医学部卒業。1985年同大学医学部外科学第三講座入局。同医局長、東邦大学医学部講師などを経て、現職。専門分野は肝胆膵外科、消化器外科。著書に『胆のうの病気―胆石、胆のう炎、ポリープ、ガンとのつきあい方』(共著、講談社)など。

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