健診セーフでも油断は禁物‐生活習慣改善4つのポイント

メタボや生活習慣病に近づいていないかチェックして

「ぎりぎりセーフ」や「だんだん悪くなっている」場合は早めの対策を。できることから取り組もう

メタボは1日にして成らず

 「メタボリックシンドローム(メタボ)」――この言葉は、だれでも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。メタボは肥満による「内臓脂肪の蓄積」に加え、「高血圧」、「高血糖」、「脂質異常」の3つのうち2つ以上に当てはまる状態のことです。メタボは動脈硬化の原因となり、動脈硬化は心筋梗塞や脳血管障害など、命にかかわる重大な病気につながります。
 こうしたことから、メタボやその予備群の早期発見と生活習慣の改善を目的に、2008年4月から40~74歳の人を対象に特定健康診査(俗名“メタボ健診”)が行われています。

 それでは40歳より若い人はメタボと無関係かというと、そんなことはありません。内臓脂肪型肥満、高血圧、高血糖、脂質異常など、メタボの要因の発症は、40歳代以降急に増えますが、これらは長い間の生活習慣の積み重ねによって起こります。40歳になったら、急に内臓脂肪がたまるわけではありません。10代、20代、30代と積み重ねてきた生活習慣によって、内臓脂肪も蓄積し、正真正銘のメタボへと近づいていくのです。

 「ローマは1日にして成らず」という言葉がありますが、「メタボは1日にして成らず」というのも真実です。メタボへの階段を上るのも、健康な状態を維持するのも、若いときからの生活習慣の積み重ねにかかっているのです。

ぎりぎりセーフやだんだん悪くなっていたら要注意!

 自分が今健康かどうか、その一つの目安になるのが健康診断の検査値です。毎年定期的に受けていても、「異常なし」といわれると、検診結果は引き出しの奥にしまいこんで、二度と目にすることはないという人も少なくないのでは?
 異常があるかどうかを調べることも健診の目的の一つですが、毎回の検査値の変化をチェックし、将来、何かの病気になる危険性がないかどうかを知ることも重要なことです。

 とくに注意が必要なのは、「ぎりぎりセーフ」とか、以前の検査値と比べると「だんだん悪くなっている」という場合です。油断していると、本格的な異常事態に突入してしまいます。

 たとえばメタボ健診では、(1)腹囲が基準値を超え、かつ、(2)血糖値、(3)血中脂質、(4)血圧のいずれかが基準値を超えた場合に保健指導の対象となります。しかし指導対象にはならなくても、「腹囲は大丈夫だったが、血糖値、血中脂質、血圧とも基準を少しオーバーした」とか、「腹囲は基準オーバーだったが、ほかは何とか大丈夫だった」のような「ぎりぎりセーフ」の場合、または検査値が年を追ってだんだん悪くなっている場合は、メタボに近づいている可能性大です。本格的なメタボや生活習慣病を防ぐには、今すぐ、生活習慣の改善を始めることが大切です。

気になる検査値別の生活習慣改善ポイント

 軌道修正を始めるなら、善は急げ! 早く始めるに越したことはありません。
 まず、肥満は万病のもとですから、生活習慣に太りやすい原因がひそんでいないかチェックすることが必要です。朝食抜き、不規則な食事時間、早食い、寝る前の食事、テレビや雑誌を見ながらの間食、休日は家でごろごろ、あまり歩かないなど、いつの間にか太りやすい生活習慣ができ上がっているかもしれません。こうしたことを洗い出したうえで、気になる検査値の改善を図ることをおすすめします。

●血糖値が気になる場合
 食べすぎや肉類中心の食事を改めて摂取エネルギーを減らすことに加え、できるだけ体を動かすように心がけます。エスカレーターやエレベーターに頼らず、階段を使うようにしたり、食後に軽いウオーキングをするとよいでしょう。

●血圧が高めの場合
 まず肥満解消と減塩を目標にします。漬物、梅干し、ふりかけ、つくだ煮などを控えめにしたり、料理で使う塩分を少なめにします。だしを利かせる、酢や香辛料を使う、ゆずやレモンを利用するといった方法で、塩分を減らすことができます。

●脂質が気になる場合
 脂身の多い肉を控え、炭水化物のとりすぎに注意してください。肉の代わりに、魚、とくに青背の魚(さば、さんま、いわしなど)をとるようにするとよいでしょう。

●肝機能が気になる場合
 アルコールは適量にとどめ、週に1日か2日は休肝日にすること。お酒のつまみも、脂っこいものは控え、低エネルギーのものにします。

 どんな場合も適度の運動は欠かせません。激しい運動をする必要はなく、例えば30分程度のウオーキングを週3回程度の割合で継続しましょう。また、たばこを吸っている人は、禁煙に取り組んでください。たばこを吸うと、血管が収縮して血圧が上がるなど、メタボを促進してしまうことがわかっています。

 いくつか改善ポイントを上げましたが、すべてを一気に改善しようとすると、長続きしません。まずは、できること、取り組みやすいことを2つか3つ選び、取り組んでください。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
菅原 正弘先生


菅原医院院長
1980年順天堂大学医学部卒業後、内科講座入局。内科診療に従事。93年より現職。日本臨床内科医会学術担当常任理事、東京内科医会副会長、日本糖尿病協会理事・東京都支部長、東京都糖尿病対策推進会議幹事。第48回日本糖尿病協会総会会長。2001年度日本臨床内科医学会賞受賞。医学博士、日本内科学会評議員、日本リウマチ学会評議員・専門医、日本糖尿病学会学術評議員・専門医、日本消化器内視鏡学会専門医。著書に『よくわかる メタボリックシンドローム脱出法』(講談社)ほか。

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