人間ドックを受けてみますか? 健康診断との違いや費用について

お値段はオプションしだいでピンからキリまで

職場や地域の定期健診よりグレードアップした検査内容。ホテル宿泊や温泉・エステつきなど多彩なプランも

全国に広がる学会の“認定施設”

 職場や自治体が行っている定期健康診断とは別に、より詳しい内容で短期間に集中してチェックする健康診断に「人間ドック」があります。「ドック」とは、そもそもは船を点検・修理する施設のこと。人間の体もときどき綿密な点検が必要、ということからつけられた名称です。最初にこの種の施設が東京都内の国立病院に開設(1954年)されてから半世紀以上たち、今では日本人間ドック学会が認めている「機能評価認定施設」だけでも全国に266カ所(2011年3月現在)に広がっています。

 健康診断でも、職場、学校、地域などで毎年定期的に行われる定期健診は法律で義務づけられたもので、無料または比較的低額の料金で受けられます。これに対し、人間ドックは受診者が自らの意思で任意に受診するもので、費用は受診者負担です。ただし、人間ドックの健診は法律で義務付けられた定期健診の代わりにもなるため、一定額の補助をしている健康保険組合や共済組合などもあります。

日帰りから数泊するドックまでいろいろ

 それでは、定期健診と人間ドックの違いはどこにあるのでしょうか。定期健診は法律で定められた一定の項目に限られます。ですから、体の主要な部分を広くカバーするのには限界があります。一方、人間ドックはより多くの項目を詳しくチェックするので、定期健診では見つからない異常を発見できる可能性もあります。

 検査項目が多い分、人間ドックは定期健診よりも時間がかかります。項目数やオプション検査の数にもよりますが、1日ドック(1日病院外来ドック、日帰りドック、半日ドックなど)、1泊2日ドック、3日以上のドックなど、といくつかの種類があります。
 1日ドックの検査メニュー例を日本人間ドック学会のホームページから拾うと以下のようになっています(カッコ内は検査内容、検査で主にわかること、疑われる病気など)。

 身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)/血圧(心臓のポンプ機能や血管の状態)/心電図(心臓機能・心筋・冠動脈の異常、肺疾患、高血圧)/眼(視力、眼圧、眼底検査)/聴力(低音域、高音域)/肺機能検査(間質性肺炎、慢性閉塞性疾患)/胸部X線(肺炎、肺結核、肺がん、肺気腫、胸水、気胸)/上部消化管X線(胃・十二指腸のポリープ・潰瘍・がん)/腹部超音波(肝臓・胆のう・すい臓・腎臓の腫瘍や異常、結石)/血液検査(貧血、肝臓・腎臓の異常、脂質異常症、糖尿病)/尿検査(腎機能異常、糖尿病、甲状腺機能亢進症、尿路結石、膀胱炎、脱水症)/便(便潜血=消化管の出血性の病気・大腸ポリープ・大腸がん)/内科診療(視診・触診・聴診)
 1泊2日以上のドックはこれに直腸診(触診=痔疾患・直腸がん・直腸ポリープ・前立腺肥大)と女性検診(女性器診察・子宮頸部細胞診=子宮頸がん・トリコモナス膣炎・カンジダ膣炎)などが加わります。

 さらにオプション検査として乳腺(乳房触診=乳腺腫瘤・乳腺症、マンモグラフィー=乳がん)、前立腺(腫瘍マーカー検査=前立腺肥大・前立腺がん)、C型肝炎(C型肝炎ウイルスの感染)の3つが紹介されています。

 オプション検査はこのほかにも、脳、心臓、骨粗しょう症、肺、大腸など、いくつかの部位について行われています。例えば、MRI(磁気共鳴断層撮影)やMRA(脳血管撮影)などを用いて脳の血管などを詳しく調べる「脳ドック」は、脳卒中や脳動脈瘤、脳腫瘍など脳の病気の早期発見を目的に行われ、注目されています。
 ただしこれらのオプション検査については、名称や内容、料金などは統一されているわけではなく、施設によって異なるので受診に際しては詳しく問い合わせる必要があるでしょう。

費用は4万円以下から50万円以上まで

 一般的なイメージとして、人間ドックの料金は高いと思われがちです。それは人間ドックが健診であって治療ではないため健康保険が適用されず、基本的に費用は全て自己負担になることから出る感想かもしれません。一般的には1日ドックで4万円前後、1泊ドックで6万円前後というところでしょうか。中には、温泉宿に泊まって温泉を楽しみながら検査を受けて4万円以下というお得感のあるドックや、東京都心の高級ホテルに泊まり、美容医療やエステティックつきで50万円以上といった超高級ドックなどもあります。

 人間ドックを受診してみようかというとき、どんな施設を選ぶかは時間と料金が大きなポイントになるでしょう。しかし、検査の項目やクオリティーなどを考慮すると安ければいい、というものでもないかもしれません。一つの目安としては、前述の日本人間ドック学会による“お墨付き”ともいえる「機能評価認定施設」が参考になるでしょう。認定施設は、約180項目についての審査で平均以上の評価が学会から与えられた施設で、ピンクの輪の中にブルーとピンクで色分けしたハートを描いたロゴマークが掲示されています。

 ところで、2009年の1日ドックと2日ドック受診者約300万人の判定データの集計を見ると、全ての項目で「異常なし」か「心配ない」という人の割合は9.5%でした。つまり10人に1人もいなかったことになります。異常項目で多かったのは「高コレステロール」(26.5%)、「肥満」(26.3%)、「肝機能異常」(25.8%)の順でした。

 以上、一口に人間ドックといっても、検査項目、内容、料金などはさまざまです。しっかり確認して、目的に合ったものを選びましょう。

(編集・制作 (株)法研)

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