健康診断の検査結果から病気リスクを読み解く-高血圧と高脂血症

数値が高まると心疾患・脳血管疾患の引き金に

高血圧、高脂血症は、糖尿病、肥満(内臓脂肪型肥満)とあわせて「死の四重奏」と呼ばれています。これらの因子を複数もっていると、互いに影響しあって動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞など死に至る病気のリスクを高めます。日ごろから、自分にとっての基準値を知り、問題があれば薬や生活療法でコントロールすることが大切です。Part1では、血圧と高脂血症に関わる健診データの読み取り方を紹介します。

高血圧―血管に与える圧力が高い状態

 血液が、心臓から全身に送り出されるときに、血管に与える圧力が「血圧」です。心臓が収縮して動脈に送り出すときの圧力を収縮期血圧(最高血圧)、また、心臓がもとに戻ったときの血圧を拡張期血圧(最低血圧)といいます。血圧は、高ければ高いほど、血管が厚く硬くなり、血液の通り道が狭くなる「動脈硬化」が進行している可能性が高くなります。動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳梗塞など血管が詰まる病気や脳出血や大動脈瘤など血管が脆くなったり、破れたりする病気の引き金になります。

 日本高血圧学会ガイドライン(2004年版)の診断基準(図1)によれば、正常血圧は、収縮期血圧が130mm/Hg未満かつ拡張期血圧85mm/Hg未満です。この数値を超えていても、収縮期130~139mm/Hg、拡張期85~89mm/Hgに収まっていれば、やや高めではあるものの治療はせず、要注意の段階(正常高値血圧)としています。しかし、その上の軽症高血圧の段階になると、多くの場合、生活療法を中心に治療が必要になります。

高脂血症―血液中の脂質が一定以上に増えた状態

 血液中に含まれる脂質の量が一定以上に高い状態が「高脂血症」で、動脈硬化を促進し、さまざまな生活習慣病を引き起こすことが問題になります。脂質は、そのままでは水に溶けないため、たんぱく質と結びつき、リポたんぱくという状態で血液に溶け込んでいます。その代表がHDL(善玉)コレステロール、LDL(悪玉)コレステロール、トリグリセリド(中性脂肪)です。高脂血症では、これに総コレステロール値を加えた4つの数値が指標になります(図2)。このうち、動脈硬化の要因になる総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリドは高すぎることが問題になります。

 反対に、動脈の内側に溜まったLDLコレステロールを取り除く作用のあるHDLコレステロールは、低すぎると問題になります。

(「へるすあっぷ21」、法研より)

【取材協力】
昭和大学医学部医学教育推進室 高木 康氏

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