ノロウイルスによる食中毒は冬場に増える-家族感染を予防しよう

食べ物による感染、人を介した二次感染、それぞれに要注意!

予防のポイントは、石けんによる手洗いの励行。感染者の便や吐物に触れない。カキなど二枚貝はよく加熱。

冬の食中毒の原因は、ほとんどがノロウイルス

 夏を中心に起こる食中毒は細菌(サルモネラ菌、カンピロバクター、病原性大腸菌など)によるものが多いのですが、冬になると細菌が検出されないものがかなりふえてきます。その大部分はノロウイルスによるものです。流行する時期は11月から3月くらいまでです。ノロウイルスによる食中毒の原因食品として多いのは、ウイルスで感染された生かき(すべての生かきではありません)などの二枚貝ですが、なんらかの理由で汚染された水やさまざまな食品も原因としてあげられます。

 ノロウイルスは口から入って小腸で感染し、人に急性の胃腸炎を引き起こします。そのうつり方はかぜやインフルエンザと同じように、感染した人から健康な人にうつるものが大部分で、ウイルスで汚染された食品を通してうつる食中毒の割合はかなり少なくなります。

 ノロウイルスといえば、すぐに食中毒と考える傾向がありますが、一番問題になるのは患者さんの便や吐物からの接触感染(さわった手から)や飛沫感染(まわりに飛び散ったものから)です。したがって、多くの人が一緒に生活する病院・乳幼児施設、老人施設や学校などで流行がおこりやすく、そこで適切な対処法が求められます。

オムツや吐物の適切な処理と速やかな手洗いが大切

 前に述べたように、ノロウイルスは感染者の糞便や吐物を介して人から人へ感染するかたちをとります。また、乳幼児から高齢者まですべての年齢層が感染し発症し得る特徴をもっています。さらに、その感染力は非常に強くて数十個という少ないウイルス量でも容易に感染します。したがって、家族の一人が外で感染を受けて家庭内にウイルスをもち込むと、他の家族への家族内感染も多くみられることになります。

 その感染ルートを考えると、家庭内に感染した人が出た場合でも、できればマスクをしてオムツや吐物の処理を行い、処理後は他のものに触れないうちに速やかに手洗いをすることが大切です。次亜塩素酸ソーダ(家庭用の塩素系漂白剤などを規定の濃度に薄めたもの、たとえば0.1%で1000ppm)がノロウイルスに有効なので、それを浸したペーパータオルなどで処理し、廃棄できない衣服などはその溶液に浸しておいてから洗濯するのが望ましいと考えられています。

吐き気・嘔吐で始まることが多く、初期の水分補給が大切

 ノロウイルス胃腸炎で、一番多い症状は突然始まる吐き気(気持ちが悪い)・嘔吐(吐いてしまう)です。腹痛や下痢をともなうことも多いのですが、発熱はあまりみられません。冬に多くみられることから、かつて、冬季嘔吐症と呼ばれたこともあります。一般的に数日以内に症状がなくなることが多く、重症化するものは少ないと考えられます。適切な対処を行ってさえいれば、日本のような先進国では死亡することはごくまれです。

 乳幼児と高齢者は脱水になりやすいので、吐き気や嘔吐がつづいて水分を十分にとれなくなったら、病院に受診する必要があります。これに下痢や発熱が加わるとさらに脱水が進むので、夜間であっても受診が必要な場合があります。目安としては、普段と比べて排尿の回数が減ったり、1回の尿量が少なくなったり(オムツの重さなど)、尿の色が濃くなったりした場合です。

 家庭でできる対処法として大事なのが水分の補給です。吐き気止めの坐薬があれば処方せんの指示(1回の使用量と、2回目を使う場合の十分な間隔)に従って使用してもよいのですが、吐き気が止まっても水分がとれなければ意味がありません。

(「クリニックQ&A」、法研より)

中田修二


なかた小児科院長/札幌医科大学医学部小児科

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