質のよい眠りは、質のよい仕事につながる

午後10時から午前3時は睡眠のゴールデンタイム

睡眠時間が短いと生活習慣病のリスクが高まります。
ライフスタイルに合わせて質の高い睡眠をとる工夫を。

睡眠不足は仕事の作業能率を下げる

 ある調査による日本人の平均睡眠時間は7時間22分。これは、世界的にみても短い時間です。アメリカの実験によると、6時間睡眠を2週間続けた場合、作業能率は一晩徹夜したのと同じくらい低下することが明らかになっています。

 また、1日の睡眠時間が5時間を切ると、脳・心臓疾患の発症を高めるとされ、新しい労災認定基準では、残業時間が月に100時間、2~6カ月で平均80時間以上の場合には、業務と脳・心臓疾患の関連性が高いと判断されることになっています。

 今や日本人の4人に1人は睡眠不足に悩んでいるといわれています。そして睡眠不足は、高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中、うつ病などの病気になる危険性を高めます。これらの生活習慣病と睡眠不足は、同じ健康問題としてとらえるべきなのです。

睡眠時間は人それぞれ、昼間の充足感が鍵

 人間には体温のリズムがあり、それに沿って生活するためには、夜中の12時までに寝て、朝7~8時に起きるのが理想的です。ただし、ライフスタイルの多様な現代人のなかには、昼夜逆転している人も多いはずです。

 夜型であっても、日中、仕事がしっかりできる人は無理して朝型に変える必要はありません。ただ、“睡眠の質”という点からいえば、午後10時から午前3時までの時間帯が睡眠の“ゴールデンタイム”です。夜型の人でも午前3時までには寝るようにして、それが難しい場合は、睡眠時間を長めにとるようにしましょう。

働く世代の快眠10か条

質の高い睡眠を確保するために、これだけは覚えておきましょう。

(1) 充分かつ快適な睡眠で仕事のやる気と効率がアップ
  疲労回復やストレス解消になり、翌日の仕事の能率を上げます。

(2) 睡眠時間は人それぞれ。日中の充足感が睡眠のバロメーター
  昼間に眠気がなく、気力の充実した状態で仕事がこなせるときの睡眠時間を基準にしましょう。

(3) 朝……目覚めとともに体内時計がスタート。快眠の秘訣は起床時間にあり
  毎朝、決まった時間に目覚め、しっかり日光を浴びると、14~16時間後に眠くなります。休日の寝だめは2時間以内にしましょう。

(4) 昼……わずかな昼寝が、午後の仕事効率を高める
  15分程度の昼寝は午後の眠気を減らし、仕事の効率をアップさせます。

(5) 夜……快適な眠りは自らの工夫で創り出す
  就寝前のコーヒー、紅茶、緑茶などからのカフェイン摂取、喫煙は寝つきを悪くし、睡眠の質を低下させます。睡眠薬代わりの寝酒も厳禁です。

(6) 寝る前……自分なりのリラックス法を見つける
  ぬるめの湯の入浴、軽い読書や音楽、香り、ゆったりしたストレッチなど、自分に合った方法をみつけましょう。

(7) 寝室……眠りやすい室内環境も大切
  騒音は40フォン以下(図書館程度)、照明は30ルクス以下(月明かり程度)、温度は20℃前後、湿度は50%くらいが快眠の条件です。寝室は睡眠以外に使わないようにしましょう。

(8) 眠れないときの対処……眠りは追いかけると逃げていく
  床に入っても30分以上眠れないときは、いったん床を離れましょう。睡眠が浅いときは、逆に遅寝・早起きを試みましょう。

(9) それでも眠れない場合は……早めに医師に相談を
  睡眠障害は「心や体の病気」のサインであることも。寝つけない日が続く、熟睡感がない、朝起きられない、十分眠っても日中の眠気が強いときなどは、早めに医師に相談をしましょう。

(10) 交代勤務の工夫……上手な休息と、睡眠時間の確保が大切
  夜勤明けで日が昇ってから帰宅するときは、サングラスなどで強い光を避けましょう。また帰宅後は、家族の協力を得て、快適な睡眠環境を整えましょう。

(「へるすあっぷ21」、法研より)

【取材協力】
内村直尚氏


久留米大学医学部精神神経科助教授
久留米大学医学部精神神経科で1981年より日本最初の睡眠障害専門外来を開設し、現在、そのチーフとして心療や研究に従事している。現在の主な研究内容としては、不眠と生活習慣病との関係、昼寝(午睡)の有効性の検討。