“腸内洗浄”にはリスクがいっぱい!

安易な“腸内洗浄”には、危険がつきモノです。

お腹の不快感、肌荒れ、肩こり…さまざまな症状を引き起こす便秘を手っ取り早く解消したい!でも大丈夫…?

腸洗浄はあくまでも非常手段

 腸の病気の治療や出産などで医学的に便の排出を促す必要がある場合に、「腸洗浄(浣腸や高圧浣腸ともいいます)」を行うことがあります。
 その方法は、レバー付の管を肛門に入れ、温めた滅菌蒸留水またはコーヒーを主成分とする溶液を断続的に注入し排便を促すというもの。これはれっきとした医療行為で、専門医の領分です。
 あくまでも直腸の下のほうでカチカチになってしまった便が出口を塞いでしまい、どうしても排便できなくなってしまった、といった場合の非常手段で、4日以上排便がみられずおなかが張って苦しい、痛いといった症状がひどいとときに限られます。

 一方、市販しているキットなどを求めて、個人で行う「腸内洗浄」は、民間療法と呼ばれるもので、リスクは自己責任を伴います。
 ダイエットやちょっと便秘ぎみというだけで、こうしたキットを常用すると自力で排便できなくなったり、腸の粘膜を傷めることにもなるので、日常的に使用するのはおすすめできません。

自分で行う“腸内洗浄”の落とし穴

 腸内洗浄など外からの強い刺激で排便することに慣れてしまうと、腸の働きが鈍くなり排便が起こりにくくなってしまいます。
 また、それとは逆に、腸の粘膜が過敏になり、1日に何度も便意が起きてトイレに駆け込まなくてはならなくなったケースや、ノズルで腸の粘膜を傷つけて感染症を起こしたり、腸に穴があくといったケースもあります。

 どうしても自力で排便できなくなり非常手段として腸洗浄を受けるのなら、せめて個人や医師免許のないエステなどで行わず、必ず医療機関で受けるようにしたいものです。美肌やダイエットなど、美容効果を期待して受けるのはおすすめできません(もちろん、浣腸についても同様です)。

便秘を防ぐ食生活

 ひどい便秘はゆううつなもの。便秘になると、腸内で発生するメタンガスなどの有害物質が腸壁から吸収され、それが全身に運ばれて吹き出もの、肌荒れ、頭痛や肩こりといったさまざまなトラブルの原因になるのです。便秘解消するためには、食生活から改善する工夫をしましょう。

 便秘解消に効果的な食品のNo.1は、食物繊維です。日頃の食事で、意識して摂るようにしましょう。
 食物繊維を多くふくむ食品は、玄米、全粒粉パン、とうもろこし、そば、いも類、ほうれん草などの青菜、にんじん、ごぼうなど根菜類、大豆、煮豆、納豆など豆とその加工食品、わかめ、のりなど海藻類です。
 忙しくて調理している時間がない、という人には、シリアル類がおすすめ。食物繊維を豊富にふくむシリアルに牛乳をかけただけで、朝の便秘対策はOKです。また、1日3食、規則正しく食べることも心がけておきましょう。

 1日3食の食事など、生活習慣から便秘が解消すれば、お肌もキレイになり、ダイエットにつながりやすくなります。くれぐれも“腸洗浄”は最後の手段、と心得ておいてください。

(「腸をきれいにする本」金子実里、法研より)

【著者】
金子実里


金子病院医師
帝京大学医学部卒業後、東京慈恵会医科大学麻酔科を経て、現在、医療法人和好会金子病院にて、大腸・肛門科を担当。夫(院長)も消化器の専門医。トータルな検査・診断・手術を手がけている。

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