あなたの水分のとり方、大丈夫?

健康管理のため知っておきたい正しい水分補給の仕方

のどの渇きを感じたとき、寝る前と朝起きたときには、コップ1杯の水を飲もう

失った水分はこまめに補給を

 たくさん汗をかいたあとに水を飲むと、生き返ったような気がしませんか? 人は水がないと3日と生きていられない、と言われるくらい大切な水。最近は、ダイエットやデトックスなどを目的に「とにかく水をたくさん飲むのがよい」という話をよく耳にしますが、水分はとりすぎても不足してもよくありません。では、どれくらいの水を飲んだらよいのでしょうか?

 私たちの体の約60%は水分でできています。水は体そのものを構成しているだけでなく、栄養分の運搬や老廃物の排泄、体温調節など、大切な働きをしています。体内の水分量は常に一定に保たれている必要がありますが、水分をためておくことはできないため、尿をはじめ汗や排泄などで失った水分は、こまめに補給する必要があります。

 普通に生活していても、毎日汗や尿などで成人では平均約2.0~2.6リットルもの水が失われるといいます。それなら1日2.0~2.6リットルも水を飲まなければいけないのかというと、そんなことはありません。水分は食事からもとれるし、食べ物の代謝のときに体の中で作られる水分もあるので、バランスのよい食事をしていれば、平均で1日1.3~1.5リットル程度の水を飲めばよいのだそうです。
 ただし、暑い夏やスポーツなどで大量に汗をかいたときは、その分の水分補給が欠かせません。補給が十分でないと熱中症を起こすこともあるため注意が必要です。

こんな水分のとり方は間違い!

 水分補給は量だけでなく、何をどれくらい、いつ飲むのかも重要です。さて、あなたの水分補給の仕方は大丈夫? 次にあげるのはよくありがちな例ですが、どれも間違っています。

●水はおいしくないので、ジュースや甘いものばかり飲んでいる
⇒糖分のとりすぎで血糖値が上がり、空腹感を感じず夏バテの原因に

●暑いときは大きなペットボトルを一気飲み
⇒一度に大量の水分をとると、胃液が薄まって食欲が低下したり、消化に時間がかかったり、胃の働きが悪くなる。一度に飲む量はコップ1杯(150~200ミリリットル)程度が適当

●スポーツしているとつい夢中になって、水分をとるのを忘れてしまう
⇒体重の2%の水分を失うと軽い脱水状態になるため、大量の汗をかいて水分を補給しないのは危険。汗をかくとナトリウムも失うため、スポーツドリンクや、少量の塩を加えたミネラルウォーターで水分補給を

●朝は時間がないから何も飲まない
⇒寝ている間はかなりの量の汗をかくので、水分が不足して血液の濃度が高くなっている。朝起きたら必ず水分補給

●夜中にトイレに起きるといやだから夜は水分をとらない
⇒夜寝る前の水は、夜中に血液がドロドロになるのを防いでくれる大切な水

●デスクワークでのども渇かないし、仕事中はトイレが近くなると困るので水分はあまりとらない
⇒座っていても吐く息や汗で水分は失われているので、水分補給は必要(特に冷房で除湿をしていると水分をたくさん失う)。外回りで汗をかく人は、脱水症状を起こさないよう積極的に水分補給を

●お風呂上がりはビールで水分補給。ビールをおいしく飲むため入浴前も水分はがまん
⇒アルコールには利尿作用があるので水分補給にはならない。入浴中は汗をかくうえ、お風呂にも利尿作用があるため、入浴前後の水分補給が必要

●水は冷たいほうがおいしいので、いつも冷蔵庫で冷やしている
⇒水の温度は5~15度くらいが腸で吸収しやすい。冷たいものばかり飲むと胃の働きが悪くなったり、腸を刺激して下痢の原因にも

水が防ぐ体の不調はこんなにある

 水分を十分にとることは、脱水症状だけでなく、さまざまな体の不調を防ぐことにつながります。

動脈硬化:血液がどろどろになるのを防ぎ、血流をよくする
膀胱炎(ぼうこうえん):尿量を増やすことで膀胱内や尿道についた細菌を洗い流すのに役立つ
尿路結石:尿を薄めて結石をできにくくしたり、小さな石ならば尿と一緒に排出されやすい
疲労:体内の老廃物の排出が活発になったり、新陳代謝がすすんで疲労回復に効果が
便秘:便をやわらかくして排泄しやすくする
肌の老化:肌のうるおいを保つのに役立つ

 体内の水分が不足して血液が濃くなると、のどの渇きを感じる脳の中枢が刺激されます。だから、のどが渇いたと感じたときが水分補給のタイミング。飲む水は水道水でも市販の水でも、麦茶や緑茶などでも結構です。自分がおいしいと感じるものを少量ずつ、こまめに飲みましょう。

 暑い季節です。外出中はときどき涼しいところで水分補給をして、熱中症にならないように気をつけましょう。

(「ジャストヘルス」法研より)

【監修】
飯野 靖彦 先生


日本医科大学腎臓内科教授
1973年東京医科歯科大学医学部卒業後、横須賀共済病院、自治医科大学、米国国立衛生研究所、ハーバード大学、東京医科歯科大学などを経て、89年日本医科大学第二内科助教授、93年同第一病院透析室室長、94年同付属病院腎臓内科部長、98年より現職。専門は内科学、腎臓病学、水電解質酸塩基平衡、透析療法、腎移植、高血圧。著書に『水・電解質がわかる輸液ケアQ&A』(中山書店)、『専門医が答えるQ&A腎臓病』(主婦の友社)など多数。

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