スイッチOTC薬とは?効き目はいいが副作用も、安全に飲む方法

花粉症などアレルギーの予防にも

医療用医薬品として実績のある成分が配合されたOTC薬は、適切に薬を選び、用法・用量を守ることが大切

医療用医薬品の成分を配合した薬が市販薬に

 「スイッチOTC薬」という言葉を耳にしたことがありますか? OTC薬のOTCとは、「Over The Counter」の略で、薬局の“カウンター越し”に売られる一般用医薬品(市販薬)を意味します。別の説明では、薬剤師がいない、カウンターの向こうで消費者が自由に買える薬と説明されることもありますが、いずれにせよ、OTC薬が一般の市販薬を指すことに変わりありません。そこで、スイッチOTCとは、これまではお医者さんの処方せんがなければ手に入らなかった医療用医薬品を、一般用医薬品に切り替えて(スイッチして)、薬局でも買えるようにしたものを指します。

 医療用医薬品として使用が認められている成分の中から、豊富な使用実績があって、比較的副作用が少なく安全性が高い成分が、スイッチOTC薬として配合できるよう認可されています。

 ここ10数年でさまざまなスイッチOTC薬が登場し、以前に比べ効き目の高い薬が薬局で手軽に手に入るようになりました。これによって、高齢化により増加する一方の医療費の抑制効果も期待できるはずです。

セルフ・メディケーションによる医療費削減効果が期待されている

 日本でスイッチOTC薬が認められたのは1983年ですが、当時製薬企業からは、その申請にあたって医療用医薬品並みの臨床データが必要で開発コストがかかることなどから敬遠され、あまり普及は進みませんでした。
 2002年に厚生労働省は、スイッチOTC薬などの積極的な開発促進によってセルフ・メディケーションを勧めることを提言(「セルフ・メディケーションにおける一般用医薬品のあり方について」)。2006年の薬事法の改正では、一般用医薬品を3つのグループに分け、スイッチ化されて間もない(一定の期間を経過していない)医薬品や、使用にあたって特に注意が必要な医薬品については、販売時には薬剤師による文書での情報提供を義務づけるなど、消費者が安全に安心して購入し使用できるように配慮しています。

 セルフ・メディケーションとは「からだの軽度の不調であれば、一般用医薬品などを利用して自分で手当てをすること」ですが、さらに「早めに休む、生活習慣を改善し病気にならないように自分で健康管理をする」ことも大切です。このセルフ・メディケーションが普及すれば、国の医療費が抑制でき、国民皆保険制度が守れることになります。もちろん、私たちも病院に行く時間を節約できることにもなります。

 スイッチOTC薬としては、CMなどでよく聞く胃腸薬のH 2ブロッカー、筋肉痛などの痛みに用いる貼り薬や塗り薬のインドメタシンなどのほか、かぜ薬や水虫の薬など数多くの薬が市販されています。最近では、抗アレルギー作用をもち花粉症などに使用される、塩酸アゼラスチンやフマル酸ケトチフェン、再発した口唇ヘルペスに用いられるアシクロビルなどもスイッチOTC薬として販売されるようになり、スイッチOTC薬の活躍の場は広がりをみせています。ただし、販売されている薬に「スイッチOTC薬」と表示があるわけではありませんから、見た目では区別がつきません。店頭で薬剤師などに確認されるとよいでしょう。

薬を安全に使用するには

 スイッチOTC薬は効き目が良いだけに、副作用が問題になることもあります。さらに、切れ味のよい薬は、重大な疾病を気づきにくくする可能性もあります。例えば、H 2ブロッカーは、胃酸を抑える作用が高いので、胃の痛みなどの症状を抑えてくれますが、がんなどほかの消化器疾患を見過ごすおそれもありますから、長期間使用し続けないほうがよいこともあります。セルフ・メディケーションの限界を知ることも大切です。

 スイッチOTC薬に限らず、一般用医薬品を購入するときには、必ず自分の症状や体質などを薬剤師などに伝え、適切な薬を選ぶようにしましょう。このとき過去の副作用の経験や現在服用(使用)している薬、食品や医薬品のアレルギーの有無なども忘れずに伝えます。できれば、いつも行く「かかりつけ薬局」を決めておくとよいでしょう。

 また、薬は説明書をよく読んで服用方法を守りましょう。正しく選んだ薬でも飲み方を間違えれば、効かなかったり、かえって具合が悪くなったりすることもあります。

●薬の使用期限をチェック
 使用期限・有効期限の表示を見て使用する。表示がなければ、製造年月日から3年が目安(開封以前)。開封後はビン入りの内服薬で約半年、点眼薬は約1カ月
●薬を飲むタイミングに注意
 薬は1日何回、いつ飲むのかを必ずチェック。食前とは食事の30分くらい前から、食後は食後30分後くらいまで、食間とは食事と食事の間、食後2時間後くらいをいう
●副作用に注意
 どんな副作用がある薬なのかを確認しておく。発疹やかゆみ、むくみ、吐き気などの異変が出たら使用をやめ、病院を受診する。これ以外にも、服用後の体調変化に注意し、症状が良くならない場合や、不都合な症状が出た場合は使用を中止する
●子どもには子ども用の薬を
 子どもの用量が書かれていない薬は、子どもには使わない
●薬はコップ1杯の水やぬるま湯で飲む
 チュアブル錠(水なしで飲める錠剤)以外は、水なしで飲むと、食道の途中で粘膜に貼りついて炎症を起こすことがあるので危険。お茶やジュース、酒などで飲むのも避ける

 市販薬で様子をみる場合、薬を2~3日服用しても症状が改善しないときはお医者さんにかかりましょう。いつもと症状が違う、我慢できないほど辛いというときは自己判断せず、すぐに受診を。

【監修】
堀 美智子 先生


医薬情報研究所/(株)エス・アイ・シー 医薬情報部門責任者
薬剤師。薬科大学の医薬情報室に20年勤務の後、1998年より現職。薬局を運営しながら、各種データベースの作成や書籍作成に携わっている。1998~2002年、日本薬剤師会常務理事を努めた。「日刊ゲンダイ」に『くすりの悩みに答えます』を連載中(毎週水曜日号)。近著に『医薬品・食品 相互作用ハンドブック』、『OTC薬販売の実践問題集』、『OTC薬ガイドブック』(以上、じほう)、『サプリメント大事典』(保健同人社)など。

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