子どもの髪にアタマジラミ急増中!

清潔にしていても感染。専用のシャンプーやすきぐしで駆除を

子どもの洗髪はときどき大人が手伝って、卵や幼虫、成虫の存在をチェックしよう

集団生活を送る子どもたちに集団感染しやすい

 最近、幼児や小学生の間で、アタマジラミが増えています。アタマジラミは頭髪にすみつく昆虫の一種。かっ色で体長3~4mm、頭皮から血を吸って生きています。1カ月に卵を100個くらい産み、大量に発生してくり返し吸血されると、激しいかゆみが生じます。

 「不潔にしているために感染するのでは?」と思うかもしれませんが、アタマジラミは清潔にしていても感染します。
 とくに、保育所や幼稚園、小学校など、子どもたちが集団生活を送る場所での感染が多くみられます。集団生活の場では、頭を接触させて遊んだり、集団で昼寝をしたりして、ほかの子どもにアタマジラミが移動しやすいからです。
 集団感染した子どもが自宅に帰り、感染したことに気づかないまま何も対策をとらないでいると、家族にも感染する可能性もあります。

 アタマジラミが増加している原因は明らかではありませんが、その背景には、親がアタマジラミを知らない世代で、子どもが頭をかゆがっているのを見過ごしてしまうことがあげられます。
 アタマジラミには、市販のピレスロイド系駆除薬が有効ですが、海外の先進国ではこの薬が効かない抵抗性アタマジラミが蔓延して、わが国以上に被害が大きくなっています。
 日本でも近年、この抵抗性タイプのアタマジラミが徐々に増加していることが確認され、全国的に広がることが懸念されています。これは、海外からわが国に持ち込まれたシラミが発端となっていることが、シラミの遺伝子に生じた変異の共通性から推測されています。わが国では、抵抗性タイプのシラミにかかったケースが現在約8%の割合で見つかります。

退治は駆除薬またはシラミ専用のすきぐしで

 小さい子どもがいる場合は、ときどき大人がシャンプーを手伝い、アタマジラミがいないか、卵がないか確認しましょう。頭をかゆがっているときには、とくに注意が必要です。
 髪の毛をかき分け、とくに耳の後ろから後頭部にかけて、あるいは子どもがかゆがっている部分を念入りにチェックしてください。もし、虫を見つけたり、白いフケのようなものが頭髪についていて、指でしごいても取れにくいときは、アタマジラミの可能性が高いですから、皮膚科を受診しましょう。頭髪をはたいて、フケのようなものがパラパラ落ちるときは、アタマジラミの卵ではありません。

 アタマジラミが見つかったときは、駆除薬、または目の細かい専用のすきぐしを使って駆除します。

 薬の効くタイプ(抵抗性ではないタイプ)のアタマジラミであれば、アタマジラミ用として市販されている、ピレスロイド系フェノトリン含有のシャンプー(医薬品)を使用書どおりに使えば、処理を始めてから10日間のうちに、確実に駆除することができます。

 駆除薬を使うシャンプーは必ず大人が行いましょう。使用書には、2日おきに3~4回の処理を行うように指示されています。薬の効くタイプであれば、1回目の処理でほとんどの幼虫と成虫を取り除くことができます。駆除薬に同梱されている目の細かいくしを使い、シャンプーの後で髪が乾いていないうちに、ていねいにすいてください。初回の処理の後ですと、まだ完全には死んでいないが動きの鈍くなったシラミがくしに引っかかってくるはずです。
 駆除薬は卵に対しては効果がありません。卵の期間は8~9日間あります。2回目以降の処理では、おもに卵からふ化して間もない幼虫を取り除くことを目的としています。

 2回目以降の処理で、成虫やふ化から日数がたった幼虫がくしで取れる場合、また、くしですき取れるシラミの数が激減しない場合は、注意が必要です。最終回の処理を終えてもまだシラミがすき取れる場合は、抵抗性シラミの可能性が強く疑われます。
 このような場合は、駆除剤のさらなる使用は控え、駆除薬同梱のすきぐし、または、シラミ駆除専用のすきぐしを購入して、すきぐしのみを使った駆除に切り換えてください。新札をくしの目にはさんでも落ちないほど目の細かいシラミ駆除専用のすきぐしには、虫だけでなく卵を取り除く効果もあります。

 駆除薬には、使用書どおりに処理すれば、あまり労を要せず駆除を行える利点がありますが、抵抗性のシラミにかかっていた場合、または、薬剤に過敏な体質が心配される場合には、専用のすきぐしのみでも駆除することができます。この場合の問題は、寄生するシラミの数やくしの使い方により、どのくらいの期間で駆除に成功するか予測が難しい点にあります。

 正しいすきぐしの使い方については、東京都豊島区の指針(*)がインターネットで公開されているので、参考にしてください。リンスやベビーオイルなどであらかじめくしの通りをよくしておき、くしですくことが推奨されています。(* 資料編「アタマジラミ駆除方法の手引き」http://www.city.toshima.lg.jp/koho/hodo/2002/001672.html

 アタマジラミの卵は通常の洗髪やブラッシングでは髪の毛からなかなか取り除けません。シラミは頭皮の間近で毛髪に卵を産み付け、髪の毛は1日に約0.5mm伸びます。このため、ふ化前の生きた卵は、ほとんどの場合、頭皮から6mm以内にあります。それよりも遠くにある卵の抜け殻や死んだ卵を見つけて、駆除に失敗したと間違った判断をしないようにしてください。見栄えの問題だけでなく、駆除の効果を正しく見きわめるためにも、駆除を始めるときには、卵の付着した髪の毛を1本ずつ切って取り除いておくとよいでしょう。

 アタマジラミをもっているか、または、駆除できたかどうかに確信がもてない場合は、皮膚科を受診して確認してください。

アタマジラミの感染を防ごう

 家族にアタマジラミが見つかった場合、次のような対策が必要です。

●タオルとくしは共用せず、専用のものを使う
●マフラーや帽子など、頭や首筋に触れるものも共用を避け、洗濯して清潔なものを使う
●シーツや枕カバーにはアタマジラミが落ちるので、1週間くらい毎日交換し、床やたたみに掃除機をかける
●寝具、下着などを洗濯するときは、まず60度の温水に5分間つける。こうすると、アタマジラミは卵も虫も死滅するため、このあと普通に洗濯する

 アタマジラミは、清潔にしていても感染しますし、1人だけが駆除をしても、またすぐにうつる可能性があります。うつる可能性も、うつす可能性もあるのです。集団の中で発生したら、発生している子どもだけでなく、みんなで一斉に駆除に取り組まなければ感染を食い止めることはできません。

 アタマジラミが発生した子どもが仲間はずれにされたり、いじめられたりすることのないように、周りの大人が細かい心配りをすることが大切です。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
冨田 隆史先生


国立感染症研究所昆虫医科学部
研究分野は遺伝学、昆虫毒物学、衛生動物学。研究テーマは、殺虫剤抵抗性の分子機構、殺虫剤抵抗性の分子検出法、衛生害虫の化学的防除法など。
*国立感染症研究所では、アタマジラミの薬剤抵抗性を調査するため、成虫や卵を集めています(http://www.nih.go.jp/niid/entomology/headlice/headlice.html