免疫力アップ食品で、インフルエンザ予防

プロバイオティクスやビタミン・ミネラルを日常の食卓に

免疫機能が低下したとき、病気は起こりやすくなる。免疫力アップ食品を上手に食べて、感染症を予防しよう

免疫機能を高める食品成分で、感染症を予防

 新型インフルエンザの流行に加え、季節性インフルエンザや一般的なかぜの流行期でもあるこの季節。これらの感染症予防には「こまめな手洗い・うがい」がすすめられ、多くの人々が実行しています。
 新型インフルエンザについては、予防ワクチンの接種が可能になったとはいえ、優先接種対象者に該当しない多くの人々にとっては、自力で感染を予防し、この冬を乗り切ることになります。
 また、新型や季節性のインフルエンザの予防ワクチンは、重症化予防が主目的であり、接種したからといって、必ずしも感染や発症自体を完全に予防できるというわけではないといわれています。予防接種がすんでも安心せずに、予防策の継続は必要です。「こまめな手洗い・うがい」のほかにも、手軽にできる予防策があれば実行したいところです。

 インフルエンザやかぜなどの感染症は、免疫機能が低下するとかかりやすくなります。免疫機能が低下する要因には、加齢、質・量ともにバランスを崩した食事、ストレスなどが考えられ、とくに食事バランスを改善することが大切です。
 免疫機能に関係する体の器官の中で最大の器官は腸で、免疫機能を支配するリンパ球の60%以上がここに集中し、細菌やウイルスを攻撃する抗体全体の約60%も腸で作られます。食事バランスを改善して腸内環境を良好に保つことが、免疫機能を高めることにつながります。

 免疫機能を高めて感染症の発症リスクを低減させる食品成分が存在することが、多くの臨床試験などを通じて明らかになっています。その代表的なものは、腸内細菌由来のプロバイオティクス、ビタミンA・C・E、亜鉛、セレンなどです。

腸内の免疫機能を高めるプロバイオティクス

 腸内には500種類以上、約100兆個の腸内細菌が棲んでおり、腸内菌叢(種類ごとに集まった細菌のグループ。腸内フローラともいう)を作っています。この腸内菌叢には、健康に有益に作用する「善玉菌」と、有害物質を作り出し病気を起こしやすくする「悪玉菌」が混在して、勢力争いをしています。健康の維持・増進のためには、腸内の細菌バランスを善玉菌優勢に保つことがカギになります。

 プロバイオティクスとは、腸内細菌のバランスを改善し、宿主(人や動物)に有益な作用をもたらす生菌(有用菌)をいいます。
 プロバイオティクスの機能は多岐にわたり、たとえば、感染症のリスク軽減作用、炎症性大腸炎や便秘、下痢症状の改善などが認められます。また、免疫系のバランスの異常はアレルギー発症のリスクを増大させますが、プロバイオティクスは免疫系のバランスの異常を修復することにより、アレルギー発症を予防する効果が報告されています。

 プロバイオティクスの最も代表的なものは、乳酸菌やビフィズス菌です。これらの有用菌を含んだ食品をとることで、腸内の免疫機能を高め、それが全身の免疫系の機能を高めることにつながります。身近な食品では、乳酸菌飲料やヨーグルトなど。プロバイオティクス効果を期待できるかどうかは、食品に下記の種類の細菌が含まれているかをチェックするとよいでしょう。

免疫細胞の活性化や酸化ストレス除去に役立つビタミン、ミネラル

 免疫系のシステムは複雑です。それぞれの食品成分が、免疫細胞を活性化したり、免疫細胞の機能を低下させる酸化ストレスを除去する働きをしたり、免疫バランスの異常を修復するなど、複合的に作用し、免疫機能を維持・増進させ、感染予防に役立つことがわかっています。
 とくにビタミンA・C・Eは、免疫系を構成するT細胞をはじめとした免疫細胞の働きを高め、体の免疫機能の低下を防ぐことがわかっています。
 また、酸化ストレスを除去する酵素の構成成分である亜鉛やセレン(ミネラル類)をとることで、免疫細胞の機能低下を防ぐこともわかっています。
 ビタミンAはレバーや緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃなど)など、ビタミンCは果物やブロッコリーやピーマンなどの野菜、ビタミンEはアーモンドやピーナッツなど、亜鉛はレバーやカキ、ココア、ごま、大豆など、セレンはイワシやカレイなどの魚、コンブ、大豆などに多く含まれます。

 プロバイオティクスとこれらのビタミン類やミネラル類を日常的かつ手軽にとるには、食事は野菜や魚を中心とした献立を選び、ヨーグルト、果物、ごまやナッツ類、海藻類を加える食習慣をつけることが秘訣です。野菜不足を感じたら、野菜ジュースで補う方法もいいでしょう。

 なお、乳酸菌やビフィズス菌などプロバイオティクスのエサになるオリゴ糖(糖質の一種)を積極的にとることで、腸内の善玉菌を増やすことにつながります。オリゴ糖は大豆、とうもろこし、ごぼう、玉ねぎ、にんにく、ハチミツ、バナナ、牛乳などに多く含まれています。
 プロバイオティクス食品、ビタミンA・C・E食品、オリゴ糖食品を上手に組み合わせた、手軽で継続しやすい免疫力アップ食で、感染予防を強化しましょう。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
上野川 修一先生


日本大学生物資源科学部教授・東京大学名誉教授
1968年東京大学大学院農学系研究科修士課程修了。同年同大学農学部助手、76年助教授に。79年オーストラリア国立大学ジョンカートン医学研究所客員研究員を経て、89年東京大学農学部農芸化学科教授に就任。同大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻教授、同大学生物生産工学研究センター長、同大学アジア生物資源環境センター長を経て、2003年現職に。現在、日本食品免疫学会会長、日本学術会議連携会員、日本免疫学会評議員、(財)日本ビフィズス菌センター理事長ほか多数を兼務。著書に『免疫と腸内細菌』『食品とからだ―免疫とアレルギー』『人生は運命ではなく「腸」が決定する』ほか多数。

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