有料老人ホームってどうやって探す?-チェックリストと手順など

自分らしいホーム選びに必要なポイントを紹介

ホーム選びの前に、どんな暮らしがしたいのか、何を重視するのか、予算など、一度整理しましょう。

有料老人ホームってどんなところ?

 もしも介護が必要となったとき、住まいという器にはケアの視点が必要となります。自宅での介護は難しいが、特養にはなかなか入れない……。そんなときどんな方法があるでしょうか。『高齢期に自分らしく暮らせる生活の場を選ぶ』では、高齢期の住まいとして、特養も含めどのような施設・住宅があるのか、それぞれどんな特徴を持つのかを紹介しました。今回は、その中でも近年最もニーズの高い「有料老人ホーム」について紹介しましょう。

 有料老人ホームは、おおむね60歳または65歳以上の高齢者が、食事の提供や入浴・排泄・食事の介護、家事や健康管理といった、必要なサービスを受けながら生活する場所です。主に民間企業や社会福祉法人などが経営し、入居条件やサービス内容、費用などは各施設によってさまざまです。

 2000年の介護保険制度の開始以降、有料老人ホームは増加し、2009年10月現在で4,864施設が都道府県に届けを出しています。1980年代後半のバブル期に出てきたいわゆる「高級有料老人ホーム」とは異なり、高齢期の新しい暮らしの場として定着しつつあります。
 核家族化が進行している現代、介護が必要になった高齢者とその家族にとっては心強く、関心の高い住まいです。ところが有料老人ホームは、それぞれが独自のサービスや料金体系で運営されていて、「選ぶのが難しい」「家族にあっているホームがわからない」という声が少なくありません。

 有料老人ホームは、入居後要介護状態になった場合の対応によって以下の3タイプに分けられます。まずはこの分類を理解しましょう。

●費用はどのくらいかかるの?
 気になる費用ですが、多くのホームは終身にわたる家賃相当額の全部、または一部を前払い金として一括で払う一時金方式をとっています。入居金は0円から数億円とサービスやタイプにより異なりますが、近年は低額なホームも増え、利用しやすくなりました。そのほかに管理費、食費、生活費などの月々の費用がかかります。
 現在、大半のホームが利用権方式をとっています。利用権方式とは聞き慣れない言葉ですが、“生活の場としての居住部分と、介護や生活支援などのサービス利用の契約が一体となっている方式”です。一般の分譲マンションとは異なり、不動産の所有権ではないので、相続や譲渡はできません。
 介護保険を利用する場合、別途介護保険利用料の1割負担がかかります。早い段階からの資金計画も必要となります。

ホーム選びの第一歩は、自分や家族のニーズを確認することから

 このように有料老人ホームには大きく3つのタイプがあるほか、立地や施設、サービス、スタッフ、料金、経営理念など、それぞれ大きく異なります。その中から自分に合うホームを選択するためには、何が必要なのか、どんなシニアライフを計画しているのか、地域、予算、入居期間、必要な介護や医療など生活像をまず明確にすることがポイントです。自分や家族のニーズを確認するためのチェックリスト、ホーム探しのステップを見てみましょう。

 

【相談・問い合せ先】
○各市区町村の介護保険窓口および地域包括支援センター
○(社)全国有料老人ホーム協会 入居相談 TEL03-3548-1077
○シニアライフ情報センター(会員制) 申込み・問い合せ TEL 03-5350-8491
○各施設
○民間の有料老人ホーム紹介センター
○インターネット
・WAM-NET(独立行政法人 福祉医療機構運営の情報サイト):http://www.wam.go.jp/
 「介護事業者情報」から検索
・各都道府県が開設するホームページの有料老人ホーム一覧など
 (お住まいの自治体にお問い合わせください)

*近年は有料老人ホームの紹介センターも増加しました。契約が成立するとホームより紹介料をとるシステムをとっている所も多くあります。体の状態などニーズの確認をせずに、ホームの紹介だけをするような紹介所にはご注意ください。

 有料老人ホームは「終(つい)の住処(すみか)」になる大切な環境です。自分や家族の意思を確認し、話し合い、よく調べ、専門家の知識も活用しながら、慌てずに“自分らしい老後の住まい”をお探しください。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
川上 由里子先生


介護コンサルタント
ケアマネジャー、看護師、福祉住環境コーディネーター2級、産業カウンセラー。1984年より13年、大学病院、高齢者住宅(聖路加レジデンス)などで看護師として勤め、現在は三井不動産(株)ケアデザインプラザにて、シニアライフ提案のコンサルティングや講演を行う。著書に『介護生活これで安心』(小学館)。08年5月より、ニッポン放送「ラジオケア・ノート」(奇数月第4週の月~金)にレギュラー出演中。08年春より自身も父親の遠距離介護を体験中。

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