医療費明細書、調剤明細書の見方や役立て方のポイント

受けた検査や治療、薬を明示。ぜひチェックする習慣を

全国ほとんどの病院・保険薬局で無料発行、記載は専門的だが医療の内容や費用への意識高めるきっかけに

患者団体の医療の透明化を求める活動から

 病院や診療所に公的な医療保険を使って受診したとき、治療費の支払い窓口で領収証以外に「診療明細書」も発行されていることに気づいていますか? また、その後で薬をもらった薬局でも「調剤明細書」が発行されていることについてはいかがですか? 全国ほとんどの病院と薬局ではすでに1年以上前から行われていますから、この間に受診の機会があった人は受け取っているはずです。ただし、受け取ってはいても、大して気にとめていなかったかもしれませんね。しかし、「これからは、領収証以外に明細書もちょっと意識してください」というお願いです。

   診療明細書というのは、その日の診療において行われた検査、処置、投与した薬剤などを費用とともに記した明細書です。調剤明細書には医師の処方箋に基づいて調合された薬剤の名前と用量などが記されています。それらの費用は「点数」で記載されていますが、1点は10円に換算されます。
 これらの明細書を、レセプト(診療報酬請求明細書)のオンライン請求を義務付けられている保険医療機関と保険薬局は22年4月から、原則無料で発行しなければならないことになっています。また、レセプトのオンライン請求が義務付けられていない所でも、明細書を発行できるかどうか、発行の手続きはどのようにするか、発行の費用を徴収するのかどうか、などのことを院内に掲示しなければなりません。

 こうした措置が行われることになった背景には、薬害にあった患者の団体が医療の透明化を進めるために実施を強く求めていたという事情があります。医療事故が起こった場合、その内容を知る重要な手がかりになると考えられています。

検査、治療、医薬品などの名前と料金が全て分かる

 それでは、そのような重大な場合ではなく普段の私たちの生活のなかでは、どのように役立つでしょうか。領収証では、たとえば、初・再診料70点、医学管理○○○点、検査○○○点、投薬○○点などと記載され、治療、検査、薬などに実際にどれくらいの医療費がかかったのかを大まかに知ることができます。
 一方、明細書では、検査や治療の内容、使われた医薬品の名前と料金が詳しく記載されています。金額はどちらも自己負担の額ではなく、トータルの費用です。

●診療明細書に書かれている項目例
 ・初・再診料
 ・処方せん料
 ・検査料(生化学的検査や血液学的検査などの検査項目)
 ・画像診断料(X線やCTなどの項目、記録用フィルム)
 ・医薬品(投与した医薬品名と量)
 ・入院料(基本料、加算など)

●調剤明細書に書かれている項目例
 ・調剤基本料
 ・調剤料(内服薬や外用薬など薬の種類、後発医薬品調剤加算など)
 ・薬剤服用歴管理指導料
 ・薬剤情報提供料
 ・薬剤料(医薬品名と量)

 明細書の各項目は専門的な用語で記述されています。これを読んで、診療や処方された薬剤の内容、料金などが適正だったかどうかを判断するのは、実際にはよほどの専門知識がないと無理かもしれません。また、たとえば使われた薬剤の効果といった専門的な細かな部分は、明細書ではなく医師が直接記入するカルテを見ないとわからないでしょう。

 とはいえ、医師に直接聞きづらかった検査や治療の種類、その費用などが明記されている明細書の発行が、医療やそのコストに対して私たちが関心を持つきっかけになるものとしては十分です。厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)が患者約4,000人を対象に、明細書の発行について意識調査をしたことがあります。その結果を見ると、明細書を受け取ってよかった点について、「内訳がわかりやすくなった」「治療や検査の内容がわかりやすくなった」「薬剤師らに治療や投薬について質問・相談しやすくなった」などという回答が多く寄せられました。

 これからは、医療機関に受診するたびに領収証とともに明細書にも目を通し、疑問があれば医療機関に尋ねてみましょう。そうすることで、医療の内容や費用へのコスト意識は高まっていくに違いありません。

(編集・制作 (株)法研)

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

同じ保険商品はどこで加入しても料金は同じ?

保険はどこから加入する?
保険加入の窓口は、保険会社の営業マン、保険のセールスレディ、銀行の窓口(2007年から)、保険ショップ、保険代理店、ネットを利用した通信販売など実にたくさんあります。
それぞれが同じ商品を扱っていることも少な... 続きを読む

1日ダイエット!?オススメの3項目をご紹介

1日で必ず痩せる方法があると知ったら、どうしますか?やっぱりやってみたいですよね。ただし、1日限定で行いましょう。 やはり健康にかなり毒ですから、明日にはなんとかしたい!という場合に備えて1日ダイエットを行いましょう。一日で必ず痩せる!... 続きを読む

医療費控除で税金が安くなる? 計算方法や手続きの流れ

日頃から健康に気をつけているとはいえ、私たちの誰もが、不慮の事故や突発的な病気で多額の医療費を支払うリスクを持っています。そんなときの負担を軽減する制度として、前回は、1カ月に支払った医療費が一定額を超えた場合、超えた分が戻ってくる「高額... 続きを読む

医療費を安く抑えるポイント-こんな受診の仕方は費用がかさむ

診療所や病院への受診の仕方ひとつで医療費が大きく違ってしまうことを、ご存じですよね?
えっ、ご存じない!?
今までそんなこと全く気にせず、診療時間の後でも休日でも必要だと思えば駆け込んできた、ですって!!……(・|・;)
こんな感じで... 続きを読む

ジェネリック医薬品って知ってる? 効果は同じで薬代が安くなる

「ジェネリック医薬品」のことをご存じないという人は、もはやほとんどいないでしょう。「後発医薬品」とも呼ばれ、特許期限が切れた「先発医薬品」(新薬)と同じ有効成分を用いて製造され、新薬と同等の効果を獲得している薬です。新薬に比べて開発費が少... 続きを読む

知られざるデング熱の意外な名前の由来

デング熱とは
デングウイルスをもつ蚊に吸血される際に感染し、2〜15日の潜伏期間のあと突然の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹などの症状が現れる。多くは1週間程度で回復するが、一部は重症化して出血やショック症状をきたすことがある。デ... 続きを読む

入院時にかかる費用は?

入院費用の内訳① 公的医療保険の対象
入院費用として、入院基本料、治療費、食事負担代、差額ベッド代、雑費が含まれています。そのうち、公的医療保険の対象となるのは入院基本料、治療費、食事負担代の3点です。入院基本料は一般病棟や精神科病院な... 続きを読む

ジェネリック医薬品ってなに? 正しく理解して医療費を節約しよう

「ジェネリック医薬品」という言葉を、どこかで聞いたことがありませんか。テレビではたびたび、有名タレントによるコマーシャルが流されているので、「あっ、それ知ってる!」とピンとくる人も少なくないでしょう。
ジェネリック医薬品は、医師が処方... 続きを読む

公的医療保険で保障されない費用は?

先進医療の自己負担分
「先進医療」とは、厚生労働大臣が承認した医療行為で、高度な医療技術を用いた100種類以上の医療行為のことを言います。公的医療保険においては、先進医療の技術料が保障の対象外となっているため、全額が自己負担となります。... 続きを読む

入院費用を抑えるには-差額ベッド料を請求されたら確認すること

病院に入院するというとき、健康保険の適用される大部屋以外に、より快適な環境が整っているいわゆる“差額ベッド”というものがあります。個室または少人数の病室で、これにはもちろん、保険外負担となる差額ベッド料を覚悟しなければなりません。この請求... 続きを読む