足の爪の正しい切り方って知ってる? 巻爪や変形の原因と予防

変形、巻爪、陥入爪、変色など、足爪に生じるさまざまな問題

足爪の問題は歩行やスポーツにも影響。足爪の役割がわかると、爪のケアの重要性が理解できる

足爪には変形や変色などさまざまな問題が生じる可能性がある

 足に合わない靴を履いたり、間違った爪の切り方を続けていると、足爪にさまざまな問題が生じてきます。図1は足爪が厚くなり、硬くなった厚硬爪(こうこうそう)です。爪の水虫である爪白癬と区別が難しいことが多いのですが、爪白癬は時間の経過とともに図2のようにボロボロに削れてきます。爪白癬は白癬菌(カビ)によるもので、他人に感染させるリスクがあるため、皮膚科での治療が必要です。

 図3は足爪の脱落です。脱落の原因は、図2の爪白癬が進んだ結果爪がなくなってしまったり、足爪自体や足爪の付け根に強い加重が加わった結果はがれてしまうことなどが挙げられます。図3の足第2趾の丸で囲った部分は赤く変色しています。靴を脱いだ後などに、このような状態であれば、靴の中で足と靴が当たっているのだろうと推定できます。これは靴の選び方や履き方の問題でもあります。踵の高い靴を履いて足指が痛くなった経験はありませんか? 足爪を作っている爪の付け根の爪母(そうぼ)に強い力を繰り返し加えると、爪の変形の要因となります。

 図4は足爪の変形と変色です。図4の状態まで変化するのはまれと思われるかもしれませんが、研究で協力していただいている地域の高齢者の足元を観察していると、よく見かける症状です。原因はさまざまですが、図1の厚硬爪が長い時間をかけて変化し、このような状態に進展することもあります。
 図5は巻爪です。このケースでは足拇趾だけでなく、足第2趾も巻爪になっています。これが進むと皮膚に爪が刺さり込み、強い痛みを生じる陥入爪(かんにゅうそう)になります。主に爪の切り方や靴、けがなどが原因と考えられます。図6は足爪の変色です。

足爪には3つの役割がある

 ここで爪の役割について考えてみましょう。これがわかると、なぜ爪の切り方やケアに注意が必要なのかが理解できます。足爪には神経が通っていないので足爪自体に痛みはありません。そのため、図1のような厚硬爪でも放置されることが多く見られます。
 爪の役割には次の3つが挙げられます。
1)靴や外部の衝撃などから指先を守る役割
2)指先から力を発揮しやすくする力の増幅効果
3)触覚というセンシング機能の向上

 1)は、硬い爪が皮膚から変化したことから、直感的にわかりやすいと思います。指先に傷などで痛みが出ると、歩行などに支障をきたすことは経験的にも理解できるでしょう。

 2)は立位や歩行、スポーツまで関係してくるため、大変重要です。指自体は肉の塊に骨という棒が刺さっている、いわゆるみそ田楽の状態です。柔らかいこんにゃくに棒が刺さっている構造はまさに指そのものです。指の骨と同様に、ほとんどの田楽の棒は先端までありません。その田楽を2本持って、何かをはさんでつかもうと思っても、すぐひしゃげてしまいうまくつかめません。つまり、田楽の先端から力が逃げているのです。
 田楽の片面に板をつけて、ひしゃげないように加工した後に、同じ動作をしたらどうでしょう? 多少こんにゃくの弾力性で衝撃を吸収しますが、大きな変形もなくモノがつかめるようになると思います。この板の役割をしているのが爪です。足爪は、足自体から発揮される力を適切に地面に伝え推進力を得るために、支えになっているのです。

 図2の足爪の先を見てください。爪よりも皮膚が盛り上がっています。歩行中、足は地面からの圧力(反力)を受けて、歩くという行為が実現できます。田楽の先端まで板が届かなくなることで、田楽の先端が図2のようにひしゃげてしまいます。
 こうなると少し問題で、爪は前方に向かって伸びていきますが、皮膚がその進路を阻害することになります。爪が伸びていくその先に皮膚の盛り上がりがあるため、抵抗を受けてうまく伸びることができません。するとどうなるでしょうか? 図1のように爪が厚くなったり、図4や6のように色が変化したり、図5のように巻爪になることが考えられます。
 図2は爪白癬のために爪が短くなっていますが、爪切りで深爪をしてもこれと同じ状態が起こります。深爪をしていると深く切られた部分は支えがなくなり、スポーツのパフォーマンスなどにも影響を与えることは容易に想像できます。

 3)については、指先に限らず皮膚には触覚がありますが、田楽のように、外部からの刺激の大きさによって皮膚の形自体が変化したら、その刺激をうまく受け取れません。特に歩行や立位では足裏の情報は重要です。通常の2足歩行では、地面に接地しているのは足裏だけなので、地面からの情報をとらえる方法も足裏の触覚しかありません。この観点から、爪がしっかりと刺激の入力信号を受け取ることができ、皮膚にタコや傷などがなくきれいな状態にあることで、正しい情報が得られると考えられます。

 こういった理由で、爪と皮膚を正しくケアすることは重要なのです。

指より少し長めで両サイドを落とさないのが正しい足爪の切り方

 それでは爪の切り方を考えてみましょう。ざっくり簡単に表現すると、正常な爪や指の状態であれば、爪は指の形に切るのがよいでしょう。ただし指は床面からの加圧により変形します。指先と爪先がぴったり同じ長さだと、加圧により変化した指先の大きさに爪の長さが対応できません。したがって、指の大きさの変化を考慮して、指先よりも1~2mmくらい長めに切るのがよいでしょう。

 図 aのように爪を切ると、両サイドの爪の先がとがってしまいますので、爪やすりを使用して矢印の方向に向かって一方通行に削り、角を整えてください。面取りをするイメージです。爪やすりは100円ショップなどでも売っていますので、爪切りについているものではなく、目の細かいものを選んで使ってください。
 図 bはよく見かけるバイアス切りです。爪の先端はよい長さに切られていますが、両サイドをバチンバチンと落としてしまい、爪が皮膚の内側に入っている状態です。歩行中などは爪の両端に加重が加わってしまいます。
 図 cは最もやってほしくない深爪です。理由はもうおわかりですよね?

 さて、さまざまな爪の問題を紹介し、その原因などに触れてきました。では、どうやったらこれらのケアが実現できるのか?というところに興味があると思います。次回は爪のケアについて触れ、その効果と身体機能の改善について考えてみたいと思います。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
山下 和彦先生


東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科准教授
2005年東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科講師、07年から現職。専門分野は医用生体工学、高齢者福祉工学。特に身体機能計測を用いた高齢者の転倒予防指導やメディカルフットケアおよび子どもの身体発達支援、リハビリテーション支援の技術開発など。日本生体医工学会、日本生活支援工学会、日本医療機器学会などに所属。

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