病気による休職から復帰するときの確認したい7つのこと

病気休職から仕事に復帰するために知っておきたい7つのこと

うつ病、がん、心筋梗塞などすべてに共通する、復職のための7つのポイントを紹介

仕事に復帰するタイミングや準備は周到に

 働く世代でも、時に病気やけがにより会社をある期間休まなければならなくなることは珍しいことではありません。現代では、休職が必要な代表的な病気といえばうつ病ですが、その他にがん、心筋梗塞、脳梗塞、胆のう炎、腰痛といったさまざまな病気があります。けがも交通事故から骨折までさまざまです。

 2週間以上休むと、だいぶ体の調子が変わります。2、3カ月休職した場合にはなおさらです。仕事に復帰するタイミングや準備は周到に行わないと、復帰してすぐにまた会社を休んだり、うつ病の方では再度休職になったりすることがあります。

 本稿では、病気やけがで仕事を休んだ人が、仕事に復帰するために知っておきたい7つのポイントをご紹介します。

復職には、3つの条件がそろうことが必要

 復職には3つの大事な条件があります。これらすべてがそろわなければ復職を試してはいけません。

1.主治医が復職について同意している
 まずは、主治医が復職について同意していることです。特にうつ病などのメンタル疾患においては大事なことです。手術後なども主治医に相談するとよいでしょう。
 主治医は時に「あなたが仕事に戻れると思うならいいよ」と安易に答えることがありますので、注意が必要です。最近は、主治医も「まだ早い」などと適切なタイミングを教えてくれるようになってきましたが、患者さんのほうから復職について話題にすることも大事なことです。

2.「働きたい!」という意欲がある
 私は産業医として、ずばりお聞きします。「働きたいという意欲がありますか?」と。そこで、力強く「働きたいです!」と回答があればいいのです。
 「そろそろ働かないとやばいかなと思って」、「働かないと生活が・・・」というような理由が並ぶ場合には、まだ十分な回復がないと考えています。

3.雇用契約に定められた就業時間(例:9時から17時、月曜日から金曜日)に毎日「出社できる」
 これを安易に考えている方が多いです。元気な人がお正月休みなどで1週間近く休んだ場合でも、仕事のリズムを取り戻すのに数日かかったりします。病気や手術などで休んだ場合にはもっと体力を失います。2、3カ月も休職すると、体力の低下は非常に大きいです。

 そろそろ復職かなと思ったら、まずは外出の練習をしましょう。本来は月曜日から金曜日まで仕事に出る時間を、家にいないようにしましょう。朝の通勤練習をしてもいいでしょう。日中は図書館など自宅以外の場所にいることです。
 こうしたことをある日だけやるのではなく、月曜日から金曜日まで「連続して」、勤務時間に通勤時間(例:片道1時間×2)を足した時間を外にいるようにします。もちろん土日はお休みです。これで疲れているようでは、復職はできません。

 安易に考えていると書きましたが、たとえば「週に3日はやってみました」「10時から14時はジムに行きました」と不十分な状態で合格と思っている人が多いです。図書館で9時から17時まで居眠りをせずにいられたとしても、職場となると、その5倍から10倍くらいの体力が必要になります。だからこそ、条件の2番の「働きたい」という意欲が不可欠なのです。

 一般に、女性の方は家庭のなかでも大きな役割を担っていることが多く、その場合は特に大変です。食事を準備したり、洗濯をしたり、場合によっては介護や育児をこなさなければならないこともあるでしょう。
 家族の支援も得られるといいのですが、まずは家庭での役割をどのようにこなせるかを調整し、その上で仕事ができるかを試さないといけません。たとえば、家族の家事の支援が得られない場合で、さらにフルタイムで働くなら、復職したときの条件で定時間勤務をしたとして、日中は家を出て、さらに家事をやってみて、月曜日から金曜日が過ごせるかです。パートやアルバイトの方で毎日勤務でないかたは、それぞれのスケジュールに合わせてというのは言うまでもありません。

 また、復職が近くなったら日記をつけることもおすすめです。どんなことを考えたか、なにが不安か、課題かなどを言葉にすることはとても大事です。

成功する復職のためのポイントとは?

4.職場と連絡をとりましょう
 主治医にも復職の話をし、月曜日から金曜日まで定時間を外に出るような訓練を始められるようになったら、職場の上司または人事と連絡をとりましょう。会社によって復職のルールが異なります。産業医の面談や、上司の面談が必要だったりします。

 会社には、自分の言葉で治療の見通しを伝え、いつ頃復職ができそうかを伝えます。また、治療によって配慮が必要な業務(例えば重量物運搬や立作業の軽減、出張の制限など)があれば伝えます。配慮が必要な場合、上司としてはほかの社員にもある程度は「理由」を伝えなければなりません。もちろん個人情報保護もありますが、一方でこのご時世は職場の納得感を得ることも上司としては必要になります。
 どのように、だれにまで伝えてもよいのかを、自分自身が言語化しなければなりません。女性のがん(乳がん、子宮がん)などは特に伝えづらいのが現状です。上司や人事ともよく相談することが必要です。

5.復職する曜日は、タイミングのよい「木曜日」にしましょう
 どうも多くの人は、復職というと「月曜日から」を連想するようです。それは職場の上司も、本人もそうです。しかし、月曜日から始めると最初から5日間働かなくてはなりません。多くの人が水曜日や木曜日には大きな疲労を感じて、場合によっては休んでしまいます。
 復職は、自分のためにも、会社のためにも、成功させなければなりません。会社によっては「月初めの1日からにしてほしい」、「月曜日からにしてほしい」などと人事の都合を言ってくることがありますが、よく相談してみましょう。

 タイミングのよい木曜日とは、暦の中で例えば、次の週に祝日があるなどです。そうすると、まず復職の第1週目は2日働いて、次の週は4日働いて、そしてさらに次の週は5日と、段階をつけて勤務する日を増やします。
 年末年始やゴールデンウィークがすぐに控えている場合には、それが終わってから復職する方が、リズムが崩れずによいようです。多少休職は伸びても、一度で復職することを会社は望んでいます。

6.身の周りを見渡してみましょう
 復職すると何かと忙しく、余裕がないものです。休職している間に身の周りを見渡してみましょう。たとえば、掃除。復職に向けて体を動かすトレーニングとしても最適です。いらないモノを捨てたり、整理したりすると生活も快適になります。
 また、たとえば介護が必要な親がいるなら、確実にサポートしてくれる体制を整えておくなど、家族の課題をきちんと解決しておきましょう。休職中はついつい自分のことばかり考えてしまいますが、家族にいろいろと課題があると復職にも影響します。

7.周囲に感謝しましょう
 そして、最後に、職場や同僚に休職している間のことや復職の際の配慮に感謝しましょう。「私は病気だから周りはいろいろとしてくれて当たり前」などという考えが思い浮かぶ間は復職しないほうがいいのかもしれません。また復職していろいろと課題が出た際に感謝の度合いが下がり、「職場が悪い」などと思う場合は、復職がうまくいっていないと考え、いろいろと考え直してみる時期です。

 感謝とは、具体的には、上司や同僚に積極的に「ありがとう」や挨拶など声に出して伝えることです。声に出さないと伝わりません。
 もちろん、家族にも感謝をするというのは言うまでもありません。

 以上、自分自身の状況と照らし合わせながらこの7つを確認して、成功する復職をめざしてください。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
和田 耕治先生


北里大学医学部公衆衛生学 准教授
2000年産業医科大学医学部卒業。臨床研修医、企業での専属産業医を経て、06年 McGill(マギル)大学産業保健修士、ポストドクトラルフェロー。 07年北里大学医学部衛生学公衆衛生学助教、09年講師、12年より現職。専門は公衆衛生、産業保健、健康危機管理、疫学。医学博士、労働衛生コンサルタント(保健衛生)、産業保健修士、日本産業衛生学会指導医、日本体育協会認定スポーツ医。著書に『保健・医療従事者のための自然災害において被災者や自分を守るためのポイント集』、『医療機関における暴力対策ハンドブック』(ともに中外医学社)など多数。

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