介護用品を買う前に確認すること-レンタルや購入費の補助もある

本人の自立を助け介護者の負担を減らす、在宅介護の強い味方

本当に必要なもの、身体状況や住環境に合ったものを選ぶ必要がある。介護保険制度で利用できる福祉用具も

何が必要なのかをしっかり見極めて選択しましょう

 前回の「高齢期の住環境を整えるリフォーム」では、高齢期には体の状況に合わせて住環境を整える必要があることを書きました。住環境の整備において、リフォームとともに導入を検討したいのが、福祉用具などの介護用品の活用です。
 福祉用具とは、車いすや介護ベッドなど加齢や病気などで低下した身体機能を補って日常生活の自立を助ける用具(機器)、義肢などの補装具、食事や身支度など日常生活動作を補う自助具などのことをいいます。この福祉用具を含み、紙おむつや介護食品など、介護に役立ち広く使用されているものを介護用品と呼んでいます。今回は、介護用品の上手な活用方法についてご案内します。

 介護用品は、本人の動作の安全や自立を助けるだけでなく、介護する方の負担も軽減できる、在宅介護の心強い味方です。でも、家族への思いが強い人ほど、家族に介護が必要になったとき慌てて介護用品を揃えてしまいがち。本人の体の状態もわからないまま思い込みで準備してしまった・・・。そんな状況をよく目にします。その結果、事故につながったり、自立を妨げてしまう、「年寄り扱いされた」と拒否される、利用されない、というような残念なケースも少なくありません。
 加齢や病気によって生じる生活上の問題は一人ひとり異なるため、介護用品も必要なもの、適切なものは異なります。まずは使う人の身体状況をよく確認し、介護用品の特徴を理解したうえで、目的と使う人に合ったものを選択しましょう。

介護用品選びは専門家の力を借りて

 介護用品にはさまざまな種類があり、近年は手軽に入手できるようになりました。介護用品そのものだけに目が行きがちですが、利用者の状態、介護する人の能力、利用する介護サービス、住環境などにも配慮して総合的な視点で選ぶことが大切です。
 たとえば、介護用品には使用にあたって知識や技術を必要とするものがありますが、本人や介護する方の知識が不十分では適切に使用することができません。また、車いすの大きさが住環境に合っていなければ使用は難しいですし、入浴時に使用する福祉用具の購入を検討する前に、自宅での入浴が本当に適しているのか検討が必要ということもあります。
 本当に必要なもの、体に合ったものを選ばないと、役に立たないばかりか、かえって身体機能が低下してしまうこともあります。その介護用品が本当に必要か、利用者の状態や住環境に合っているか、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターの相談員、福祉用具専門相談員、理学療法士などの専門家に相談しましょう。

<介護用品を購入する前に整理すること>
●介護される人の体の状態は?
●介護する人が負担を軽減したい点は?
●介護される人、介護する人が利用できますか?
●自宅で使えますか? 住宅の環境に合っていますか?
●機能性・安全性に優れていますか?
●介護生活が豊かになりますか?
●デザイン性はすぐれていますか?
●介護保険制度を上手に活用していますか?

介護保険制度を利用して福祉用具のレンタル・購入費の補助が受けられます

 介護保険制度の要介護認定を受けている人は、介護保険制度の福祉用具の貸与(レンタル)、購入費の支給の制度が活用できます。ただし、要介護度に応じた利用限度額が定められていたり、要介護度によっては利用できない用具もありますので、担当のケアマネジャーなどの専門家によく相談しましょう。

<福祉用具をレンタルする場合>
 介護保険制度でレンタルの対象となる福祉用具は13種目。ケアマネジャー(要支援者の場合は地域包括センターの相談員)が作成したケアプランに基づき、福祉用具の指定事業者からレンタルできます。レンタル料の1割が利用者の自己負担となります。

●福祉用具レンタルの対象となる13種目
(1)車いす
(2)車いす付属品(クッション、電動補助装置など)
(3)介護用ベッド
(4)介護用ベッド付属品(マットレスやサイドレールなど)
(5)床ずれ予防用具
(6)体位変換器
(7)手すり(取り付けに工事を伴わないもの)
(8)スロープ(取り付けに工事を伴わないもの)
(9)歩行器
(10)歩行補助つえ(多点杖、松葉づえなど)
(11)認知症高齢者徘徊感知機器
(12)移動用リフト
(13)自動排泄処理装置
※1~6、11、12については要支援と要介護1の方は、原則として全額自己負担となります。13は原則として要介護4、5の方のみ利用できます。

 たとえば、車いすを購入すると一度に5~20万円程度の費用がかかりますが、介護保険制度を利用すれば毎月1000円程度でレンタルできます。自立と認定された方は原則として介護保険が適用されませんので、全額自己負担となりますが、一般レンタルという方法が利用できる場合があります。介護用品売り場などでお尋ねください。

<福祉用具を購入する場合>
 介護保険制度で購入費支給の対象となる福祉用具(特定福祉用具という)は5種目。直接肌に触れて使用する入浴・排泄用品などレンタルには不向きなものです。指定事業者から購入でき、購入費の1割が自己負担となります。いったん費用の全額を支払ったうえで9割の払い戻しを受ける償還払いで、支給の上限額は10万円(年度内)です。

●特定福祉用具購入費支給の対象となる5種目
(1)ポータブルトイレ
(2)特殊尿器(自動排泄処理装置の受け口)
(3)入浴補助用具(シャワーチェア・浴槽用手すり・浴槽内いす・バスボードなど)
(4)簡易浴槽(空気式、折りたたみ式などで容易に移動でき、工事を伴わないもの)
(5)移動用リフトのつり具

 たとえば、浴室に安定して座ることのできるシャワーチェア(例:1万円)を購入する場合、利用者はいったん店舗で費用の全額1万円を支払い、後日市区町村に申請を行うことで、9割(9000円)の払い戻しを受け、自己負担は1000円ですみます。購入費支給の申請のため、購入店で必ず領収証など必要書類をもらいましょう。
※市区町村によっては最初から1割で購入できる場合もあります。

介護生活を豊かにしてくれる介護用品

 介護保険制度で活用できる福祉用具以外にも、多種多様な介護用品があります。たとえば、使いやすく工夫された食器やスプーン・フォーク、食べやすい介護食品、エプロンなど食事動作をサポーするもの、歩きやすいシューズやつえなど外出を安全にサポートするもの、体型を考慮した着やすい衣類など、さまざまな暮らしのシーンをサポートしてくれる介護用品があります。
 一度介護用品売り場(ショッピングセンターやデパートなどにある)に出かけて、実際に見て触れてみるとよいでしょう。

 介護用品の上手な活用は、利用者や家族の生活をより豊かなものにしてくれます。でも、最初からあれもこれもと準備するのはよい方法ではありません。初めから完璧を目指すのでなく、暮らしの様子やタイミングをみながら、少しずつ介護用品を足していくくらいがちょうどいいと思います。なにより、高齢者の暮らしには、どんな状態になっても本人のプライドを保つことも大切だということを忘れないように心がけましょう。

【お役立ち情報】
HCR/国際福祉機器展
 世界3大福祉機器展の一つとされるHCR/国際福祉機器展が、毎年東京で開催されています。
 世界の福祉機器を実際に見て触れて体験することができます。
 *2013年開催予定:9月18~20日/東京ビックサイトにて入場無料
厚生労働省 介護事業所検索(介護サービス情報公表システム)
公益財団法人テクノエイド協会 介護保険対象福祉用具情報

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
川上 由里子先生


ケアコンサルタント
ケアマネジャー、看護師、産業カウンセラー、福祉住環境コーディネーター2級。1984年より13年、大学病院、高齢者住宅(聖路加レジデンス)などで看護師として勤め、三井不動産(株)ケアデザインプラザの立ち上げに参画。現在はUR都市機構や各企業の高齢者、介護関連のアドバイザーとしても活躍し、シニアライフに関するコンサルティングの他、講演、執筆も多数。高齢者支援のみならず、支える人を支えるメッセージを各方面に発信している。希望は心と心を結ぶケアを広げていくこと。著書に『介護生活これで安心』(小学館)。2008年より自身も父親の遠距離介護を体験中。

介護用品を買う前に確認すること-レンタルや購入費の補助もある 関連コラム

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

高齢期の住宅リフォーム失敗しないための7つのポイント

住まいは暮らしの拠点です。高齢になったからこそ住み慣れた地域に、愛着のある自宅に、長く安心して住み続けたいと願う人は多いでしょう。ところが、加齢により身体機能が低下したり介護が必要となると、住み慣れた住まいにも不便や危険が生じることをご存... 続きを読む

在宅介護で利用できるサービスの種類は?手続きの流れや料金など

このシリーズではこれまで、初めて家族に介護が必要になった場合を想定し、まず何を知っておくべきか、高齢期にはどんな住まい(生活の場)を選択できるのか、在宅介護にはどんな準備が必要か、遠距離介護に役立つ情報は、などをお伝えしてきました。
そ... 続きを読む

介護が必要になったときの負担を軽減 介護保険で家族を支えあおう

介護給付と予防給付
介護保険の給付は、モノかサービスで行われ現金の給付はありません。
介護給付は在宅ケアや施設型サービスです。
予防給付は、日常生活で支援が必要な場合の要支援認定された場合に支援のサービスとして給付されます。
5段... 続きを読む

在宅サービスを利用するために-実際の利用例からみるケアプラン

自宅で介護保険のサービスを利用するには、要介護認定を受け、ケアプランを作成する必要があります。ケアプランとは、どのサービスをどの程度利用するかというスケジュール計画のこと。自分で作成することもできますが、専門的な知識が必要で煩雑な事務作業... 続きを読む

未来の介護はロボットが担う?生活支援やリハビリを助けるロボット

少子高齢化が急速に進む中、介護の「手」となってくれるロボットの開発と普及が進んでいます。すでに、2015年からの介護ロボット(ロボット介護機器)への介護保険適用の拡大が検討されており、条件を満たせば、家庭での介護においても、ロボット介護機... 続きを読む

働きながら介護をする人なら知っておくべき「介護休業制度」とは

皆さんは自分の勤務先に、介護離職を防ぐための制度やサービスがあることをご存知でしょうか。介護保険制度のほかにも、民間企業などで働く人は「育児・介護休業法」によって定められた「介護休業制度」を利用することができます。
「介護休業制度」は企... 続きを読む

介護で悩んだら…まずは『地域包括支援センター』へ相談してみよう

親の心身の機能が低下し、将来への不安を感じるようになったとき、皆さんは誰に(どこに)相談するでしょうか?
相談窓口で「ここは担当ではない」などと言われ、相談をあきらめてしまった経験をもつ方もいるかもしれませんね。
2006年(平成18... 続きを読む

高齢者の歩行を助ける-運動前の足浴や足裏のマッサージが効果的

2013年の日本の高齢化率は25%を超え、介護保険受給者も増加の一途をたどっています。2014年の国立社会保障・人口問題研究所の報告では、2035年には全世帯のうち高齢世帯(世帯主が65歳以上の世帯)の占める割合は40%を超え、そのうち一... 続きを読む

年金制度のしくみ

年金制度の仕組み
年金制度とは、簡単に言えば若い世代がリタイヤ世代の生活をみんなで支えていこう、という理念の元に成り立っています。
20歳以上のすべての人は国民年金保険料を負担しなければならず、会社員や公務員はさらにプラスして厚生年金... 続きを読む

目覚めスッキリ、脳も筋肉も活性化!布団でヒップリフト


多くの筋肉を動かすことで、筋肉の中にあるセンサーを刺激し脳を活性化させるので、スッキリとした目覚めが得られます。また、布団の重さを利用してお尻周りの筋肉、太ももの裏側の筋肉、ふくらはぎの筋肉、背中の筋肉など、多くの... 続きを読む