40歳以上はウイルス性肝炎の検査を-B型・C型肝炎の基礎知識

B型肝炎、C型肝炎について正しい知識を持ちましょう

一度はウイルス性肝炎の検査を受け、感染していたら専門医を受診し治療を継続。正しく知れば差別偏見も改善

症状がなくても放置すれば、慢性肝炎から肝臓がんを発症するリスクが

 ウイルス性肝炎にはA型からE型まで5種類あり、日本でのウイルス性肝炎感染者はB型とC型がほとんどです。そのうちB型肝炎の感染者は130~150万人、C型肝炎の感染者は150~200万人と推定されています。
 B型肝炎、C型肝炎(以下、B型・C型肝炎)の感染者は、40歳未満では0.5%未満と言われていますが、年齢が高くなるにつれて増える傾向にあり、50歳代では1%(100人に1人)程度にもなると考えられています。

 何かの検査の機会に、B型・C型肝炎に感染していることを指摘されたが、体調も悪くないから特に受診していないという人や、どうしていいかわからず放置しているという人がいます。また、以前受診したが、「特に治療法がない」と言われて様子を見ている人もいます。
 しかし近年、B型・C型肝炎の治療法が開発され、感染の影響をかなり抑え込むことができるようになりました。また、かつて治療については「高額」「副作用が強い」「入院が必要」と言われ、ハードルが高かったのですが、副作用が改善され、外来で治療ができるようになり、さらに治療費への公的な補助も行われています。
 特にC型肝炎の場合、従来の治療はインターフェロン(点滴投与)やインターフェロンに経口薬を併用する方法が中心でした。今年(2014年)は、インターフェロンを使わず、治療期間も短縮でき、副作用も少ないとされる新たな治療薬が発売される予定です。

 一方で、症状がないからと放置した場合には、慢性肝炎から肝臓がんを発症するリスクがありますから、きちんと検査をして治療を受けることがすすめられます。
 ここでは、B型・C型肝炎の検査の受け方について、そして感染の可能性が明らかになった場合どのようにすべきか、そしてB型・C型肝炎の基礎知識について紹介します。

肝炎ウイルス検査は自治体や職場の健康診断でも受けられる

 厚生労働省では、平成14年より「C型肝炎等緊急総合対策」を開始し、すべての国民が一度は肝炎ウイルス検査を受けられるよう推奨しています。特に40歳以上の人は、一度はウイルス性肝炎の検査を行うのがよいでしょう。

 わが国の20~69歳の約3,000人を対象とした調査によると、一度でも肝炎ウイルス検査を受けたことがある人は20%程度でした。実際には、手術時や妊娠時、献血時などに、医療機関や血液センターなどで肝炎ウイルス検査を受けているにもかかわらず、検査をしたことを認識していない人が30~40%程度存在するという報告もありますので、皆さんも一度は検査を受けているかもしれません。職場の健康診断の項目に入っていることもありますので、健康診断や人間ドックの結果を確認してみてください。

 肝炎ウイルス検査として実施されることが多いのは、血液中に「B型肝炎の抗原(HBs)」や「C型肝炎の抗体(HCV)」があるかないかを調べる血液検査です。いくつかの検査手法がありますが、健康診断ですでに採血している場合、「HBs抗原検査」は500~2,000円程度、「HCV抗体検査」は1,500~3,000円程度の追加料金で実施できるようです。
 ほとんどの自治体で費用の助成を行っており、保健所や一部医療機関では無料で検査を行っているところもありますので、お住まいの市区町村に問い合わせるとよいでしょう。

感染の可能性がわかったら、できるだけ早く専門医を受診しよう

 「HBs抗原検査」、「HCV抗体検査」のいずれかが陽性と言われた場合には、肝臓専門の医師を受診するようにしましょう。肝臓の専門医は、「日本肝臓学会肝臓専門医一覧」で探すことができますが、基本的には、かかりつけ医から紹介してもらうか、比較的大きな病院への受診となることが多いです。

 私たちが行った調査では、B型・C型肝炎に感染していることを認識している人の多くが、必要な定期的な受診を行っていないことが示されました。その背景にある理由は、「医師に受診するように言われていないから」ということでした。かつては、B型・C型肝炎に感染していたとしても治療法が限られていたので、受診をしなくてよいと言われた可能性もあります。
 また、特に健康診断や人間ドック、献血などで感染を指摘された場合、ウイルス性肝炎の治療をするために別の医療機関に行かなければならないこともあり、治療につながっていない人が多い傾向にあります。

 現在、B型・C型肝炎は治療によりかなりの改善が期待できるようになりました。もしも感染の可能性がわかった場合には、できるだけ早く肝臓の専門医を受診してください。さらに、肝臓がんなどの発症を早期に見つけるため、定期的に受診しましょう。

B型・C型肝炎に関する正しい知識が感染者への差別偏見を減らす

 職場において、B型・C型肝炎に感染した同僚に対する不適切な認識や態度が報告されています。その背景には、ウイルス性肝炎に関する知識不足があるようです。そこで私たちは、「B型・C型肝炎に関する知識の程度と感染者に対する不適切な態度との関連」を調べるため、20~69歳の働く男女3129名を対象にインターネット調査を行いました。
 下の表は、B型・C型肝炎に関する基礎知識について、知っていたと回答した人の割合を示したものです。ここに書かれていることはすべて正しい内容です。あなたはどれくらい知っていたでしょうか?

 この表から、B型・C型肝炎の感染経路に関する知識の程度が比較的高いのに対し、病気の進行や治療といったB型・C型肝炎そのものについての知識の程度は低いことがわかります。
 また同調査で、一緒に仕事をしている人がB型・C型肝炎に感染していた場合に、「不安に思う」「接触を避ける」「偏見の目で見てしまう」など、何かしらの偏見がある人が2割から3割いることがわかりました。
 さらに、病気に対する知識の程度が上がると、感染者に対する偏見や不適切な態度が改善することも示されました。

 一般的には、職場にB型・C型肝炎に感染していた人がいたとしても、周囲の人が感染する可能性は基本的にはありません。そして、治療により病気の完治や症状の進行を遅らせることが可能で、通常通りに仕事を続けることができるのです。感染がわかった人への差別偏見は、絶対に許されません。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
和田 耕治先生


独立行政法人国立国際医療研究センター国際医療協力局 医師
2000年産業医科大学医学部卒業。臨床研修医、企業での専属産業医を経て、06年 McGill(マギル)大学産業保健修士、ポストドクトラルフェロー。 07年北里大学医学部衛生学公衆衛生学助教、09年講師、12年より准教授。13年8月より現職。専門は公衆衛生、産業保健、健康危機管理、疫学。医学博士、労働衛生コンサルタント(保健衛生)、産業保健修士、日本産業衛生学会指導医。著書に『保健・医療従事者のための自然災害において被災者や自分を守るためのポイント集』、『医療機関における暴力対策ハンドブック』(ともに中外医学社)など多数。

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