災害時への備えについて-職場で災害にあったら、必要な備えは?

今日から始める無理に帰宅しなくてもよい態勢づくり

日本列島は地震の活動期。東日本大震災の教訓を生かす。安否確認の方法や一時滞在、備蓄品の点検など

家族間で安否確認の仕方を徹底

 東日本大震災から、早いものでもう3年が過ぎました。そのときの体験を教訓に、具体的・現実的な災害時への対応法が紹介されてきました。地震の活動期に入っているといわれる日本列島では、そう遠くない将来、東日本並みかそれを上回る巨大地震の発生が心配されています。私たちは改めて、災害時の心構えをしっかりと確認しておく必要があるでしょう。

 東日本大震災では、固定電話や携帯電話がつながらず、被災地にいる家族や親類、友人、知人などの安否確認に手間取りました。首都圏でも同様で、仕事や買い物で外出していた人々の中には、帰宅してはじめて家族の無事を確認し合った人もいたことでしょう。鉄道も止まってしまったため500万人を超える帰宅困難者が発生しましたが、家族間で無事を確認し合うことができていたら、必死で帰る必要はなかったかもしれません。
 そんな教訓から、いざというときの安否確認の方法を家族間で確認し共有しておくことの大切さが認識されました。災害時に連絡を取るには以下のような方法があります。複数の連絡手段を確保しておきましょう。

●災害用伝言ダイアル「171」…被災地の人が自宅の固定電話の番号をもとにして安否情報(伝言)を録音し、全国からこれを確認することができる。伝言録音時間は1伝言当たり30秒、伝言保存期間は48時間。

●災害用伝言板(Web171)…インターネット上の伝言サービス。被災地の人がパソコン、スマートフォンなどから固定電話や携帯電話・PHSの電話番号を入力して安否情報(伝言)を登録し、全国(海外含む)からこれを確認できる。1伝言は100文字以下。伝言をメールで通知することもできる。情報の更新・削除にパスワードの登録が必要。

 上記のダイアル「171」と「Web171」は一定の日時に体験利用ができるので、家族で試しておくとよいでしょう。

●災害用伝言板サービス…携帯電話各社による災害伝言板サービス。被災地の人が携帯電話・PHS、スマートフォンから安否情報(伝言)を登録し、全国からこれを確認できる。利用法や条件などは各社のホームページなどで確認を。体験利用サービスもある。

J-anpi電話番号か氏名から、災害用伝言板、報道機関、自治体などが提供する安否情報を一括検索できる。ただし、災害用伝言ダイアルに登録した音声データは対象外。パソコン、スマートフォン、携帯電話からアクセス可能。

●SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)…ツイッターやフェイスブックなどに投稿して、SNS上でつながりのある人に自分の安否を知らせるという方法も活用できる。

●三角伝言…電話回線は被災地から被災地外へのほうがつながりやすいことがあり、被災地から離れた親類や友人、知人などを連絡拠点にして安否を伝達する方法も有効。

職場にも一時滞在ができる備えを

 2011年3月11日のあのとき、東京のターミナル駅周辺では、一斉に止まってしまった鉄道に見切りをつけ、歩いて帰宅しようとした人々で歩道は時ならぬ歩行者ラッシュに。車道にまで人があふれた結果、車の渋滞に拍車がかかり、頼みの綱のバスも身動きがとれなくなりました。さらに大きな災害になれば、建物の倒壊や火災などに巻き込まれる恐れもあります。

 そこで東京都などの大都市では企業などに呼びかけ、災害時には社員の一斉帰宅をコントロールし、帰宅を思いとどまった社員の受け入れ態勢を整えるよう推進しています。東京都では企業などに3日分の水や食料の備蓄、従業員との連絡手段の確保などを勧めていますが、自分自身でも職場で一夜を過ごせるような準備はしておきたいものです。

●一時滞在するときに役立つグッズ
 飲料水、非常食(チョコレート、缶詰、栄養補助食品など)、毛布(コンパクトにたためるもの)、携帯ラジオ、携帯電話の充電器や予備バッテリー、懐中電灯、使い捨てカイロ、洗面道具など

 外出先で被災して職場や自宅まで戻れそうにないこともあるかもしれません。そんなときには、「帰宅困難者一時滞在施設」を利用することができます。これは、自治体などが協定を結んだ学校、ホテル、商業施設、図書館などで、休憩所やトイレが開放され、水道水や情報の提供などが行われることになっています。

 状況が少し落ち着いて徒歩で帰宅を試みるときには、「災害時帰宅支援ステーション」が利用できます。自治体などが協定を結んだコンビニエンスストアやファミリーレストラン、ガソリンスタンドなどが、トイレ・水道水・情報の提供をしてくれることになっています。自分でも、以下のような物を準備しておきましょう。

●徒歩帰宅するときのために用意したいグッズ
 ヘルメット、歩きやすい靴(底が丈夫で履き慣れたスニーカーなど)、雨具、ホイッスル、自宅までの地図、マスク、女性には歩きやすいパンツなど

備蓄品や非常持ち出し袋の中身は定期的に点検

 被災して自宅にとどまるにしろ避難所に入るにしろ、しばらくは公的な支援は望めないと覚悟しなければいけません。そんな認識が広まり、飲料水や食料をはじめ日常生活用品などを非常持ち出し袋に詰めておいたり備蓄しておこうという意識は高まっているようです。
 非常持ち出し袋に詰めておくものや備蓄品は基本的にどのようなものを準備したらよいかは、これまでさまざまに紹介されてきたので多くの人はすでにご存じでしょう。それに加えて、女性や乳幼児、持病をかかえている人などに必要なものも忘れてはいけません。

●非常持ち出し袋や備蓄品に加えておきたいもの
女性:生理用品、尿もれシート、ブラジャーやショーツなどの下着
乳幼児:紙おむつ、ベビーフード、粉ミルク、ほ乳びん、お尻ふき、母子健康手帳
持病のある人:健康保険証(コピー)、常用薬の予備、お薬手帳

 非常持ち出し品や備蓄品で注意したいのは、用意してあるものの保存状態。長期保存のできる飲料水や食料が数多く開発されていますが、真夏の時期の高温多湿の場所のように、保存環境や保存方法によっては表示通りに日持ちしないこともあるという指摘があります。口にするものに限らず、電池や燃料などもずっと保存できるわけではありません。懐中電灯や携帯ラジオ、その他の道具類なども期待どおりに機能してくれる状態になっているかどうか点検しておく必要があります。

 災害への備えは、備蓄するだけではなく利用できる状態になっていなければ無意味です。このため、年に1回だけというのではなく数カ月ごとに備蓄品の状態を点検し、常に利用できる状態かどうかを確認しておくことが望ましいでしょう。

(編集・制作 (株)法研)

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