赤ちゃんを欲しい人が妊娠の前にしておくべき7つのこと

妊娠前に知っておきたい、やっておきたい8つのこと

妊娠してから後悔しないために、妊娠前に必要な知識を持ち、実行することが大切

妊娠がわかったとき、後悔するのは……

 春は出会いの季節です。幸せな出会いの先には、妊娠や出産、結婚があるかもしれません。結婚式については詳しく調べていても、妊娠や出産については、何も調べないまま、知らないまま妊娠する人がたくさんいます。
 病院で妊娠した女性を診察したときに、妊娠する前に対策を講じておけば良かったのに! と思うことがあります。それを重要と思う順に挙げていくと、次の8つになります。

1.風疹ワクチンを打っていなかった
2.葉酸を飲んでいなかった
3.大きな子宮筋腫が見つかった
4.子宮頸がんが見つかった
5.卵巣のう腫が見つかった
6.虫歯を治療していなかった
7.禁煙していなかった
(番外) 保育園の数や場所を調べないで引っ越した

妊娠前にやっておくべき8つのこと

 妊娠前に知っておけば、もっと有利に妊娠・出産ができたのに、後手に回ってしまったために苦労することがあります。妊娠なんてまだまだ先のことと思っている人も、知っておいて損はありません。役に立つ知識を持ち、実行しましょう。

1.風疹ワクチンを打っておく
 風疹の免疫を持たないまま妊娠した女性が、妊娠初期に風疹ウイルスに感染した場合、80%程度の赤ちゃんが障がいを持つとされています。これを先天性風疹症候群といいます。主な症状は白内障、難聴、心疾患です。
 2012~2013年にかけて風疹が大流行したために、2014年4月現在で少なくとも全国で44人の障がいを持った赤ちゃんが生まれています。そして、その数倍の中絶があると考えられます。一般的に100人の赤ちゃんが生まれれば、2~3人が障がいを持つとされています。避けようのない障がいが大半です。しかし、先天性風疹症候群は「予防できる障がい」であるために、母親が深く後悔することになるのです。
 予防にはMRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)を一生のうちに2回接種することが必要です。しかし、日本の予防接種制度の変遷のために、現在24歳以上の人は必要な2回のMRワクチンの接種が終わっていない人が多いのです。また、もし妊娠初期に風疹の免疫がないことがわかっても、妊娠中のワクチン接種はできません。妊娠前のMRワクチン接種の後は2カ月の避妊が必要ですから、早めに接種しておくのが良いですね。
 そして、男性もMRワクチンを打たなくてはいけません。今回の大流行では、患者の8割以上が男性でした。私の勤める病院でも、夫が風疹にかかった妊婦が2人いて、とてもヒヤリとしました。妊婦の父親の感染もありました。妊婦に多少の免疫があっても、隣でウイルスをまき散らされれば、おなかの赤ちゃんに感染する可能性があります。妊婦への感染源とならないために、男性もMRワクチンを打ちましょう。(「風疹が大流行! 成人男性も予防接種を」
 大事なことだからもう一度言います。MRワクチンを打ってください。一生で2回打つことが世界の標準です。

【参考】NHK(http://www.nhk.or.jp/
NHK web news特設「ストップ風疹」のページ(http://www3.nhk.or.jp/news/stopfushin/

2.葉酸を妊娠前から飲み続けておく
 無脳症という赤ちゃんの障がいがあります。脳ができない障がいで、おなかの外ではほとんど生きることができません。妊娠前から葉酸を飲み続けることで、無脳症の確率を低くすることができます。通常の食事に加えて、1日400μg以上の摂取が必要とされています。
 気をつけなくてはいけないのは、妊娠の1カ月以上“前”から飲み続けておく必要があることです。1カ月後の妊娠なんて誰にもわかりません、避妊を失敗するかもしれません。よって、セックスをしている時期には常に飲み続ける必要があります。

【参考】厚生労働省 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について

3.大きな子宮筋腫がないかチェックしておく
 子宮筋腫は、妊娠や出産の邪魔になることがあります。妊娠前であれば、筋腫をそのままにして妊娠を目指すのか、手術などの治療をしてから妊娠したほうが有利なのかを検討し対処してから妊娠することができます。何の症状もなくても大きな筋腫がある人もいますから、予め産婦人科でチェックしておきましょう。

4.子宮頸がん検診を受ける
 妊娠初期に子宮頸がんが見つかって、対応に苦しむことがあります。タレントの向井亜紀さんは、妊娠と同時に子宮頸がんが見つかり、命を守るために子宮を摘出するしかありませんでした。そして、子どもを持つために代理母という選択をしました。
 20歳以上で、かつ性交渉のある女性は、2年に1回の子宮頸がん検診を受けましょう。妊娠と同時に子宮頸がんが見つかると、幸せな気持ちから、一気に奈落の底に突き落とされることになります。なお、自治体の検診は無料または安価で、節目の年齢では無料クーポンの配布も行われています。HPなどでチェックして、ここで税金を取り戻しましょう。

【参考】独立行政法人国立がん研究センター がん情報サービス 子宮がん検診の勧め

5.卵巣のう腫がないかチェックしておく
 大きな卵巣のう腫は、たとえ妊娠中であっても手術によって取り除かなければならないこともあります。妊娠する前ならば手術も比較的簡単ですが、妊娠して子宮が大きくなると手術がやりにくくなり、かつ流産のリスクも高まります。妊娠前に手術が必要な卵巣のう腫がないかどうか確認しておきましょう。

6.虫歯の治療を終わらせておく
 虫歯は早産と関連があります。そもそも、妊娠中にレントゲンを撮ったり、麻酔をかけたり、抗菌薬を飲んだりすることは、避けられるものなら避けたほうが良いです。安心して妊娠生活を送るためにも、妊娠前に虫歯の治療を終わらせておきましょう。

7.禁煙しておく
 タバコは胎児の成長の邪魔をしたり、障がいの可能性を高めたりします。また、生まれた赤ちゃんがタバコの煙を吸うと、中耳炎やぜんそくの確率が高くなることもわかっています。妊娠前に禁煙しておくことが大切です。
 しかし、禁煙は難しいものです。企業が「やめやすいタバコ」なんて作るはずはありません。タバコの中にはニコチン中毒になりやすいようにさまざまな物質が混ぜてあります。一度吸わされてしまうと大金を使ってしまうようにできています。
 妊娠中、そして赤ちゃんが生まれると、いろいろお金がかかります。タバコ代、もったいないですよね。その上、あのタバコの煙を赤ちゃんに吸わせるんですか? 外で吸っても、30分は吐く息の中に有害物質が含まれています。赤ちゃんが泣いていても30分は戻ってこないんでしょうか?
 さらにタバコを吸っていると、50歳代で命にかかわる病気になる確率が高くなります。赤ちゃんが生まれるのに、50歳代であの世に行ってもいいんでしょうか? はい、禁煙するしかありませんね。自分で禁煙するのが難しい人は、禁煙外来に行きましょう。

(番外) 保育園の数や場所を調べてから住む場所を決める
 出産したら、その後に子育てがあります。子育てママにとって気になるのが保育園や幼稚園です。自宅の周囲に保育園・幼稚園があるかないか、どんな園なのか、事前に調べてから住みましょう。妊娠してから、出産してから、では思い通りに動けませんから、妊娠する前に、引っ越しする前に、周囲の状況、特に保育園・幼稚園の状況を調べておきましょう。

 世の中には事前に対処しておくことによって、その後を有利に過ごせることがたくさんあります。みなさん、元気な赤ちゃんを産んでくださいね。よろしくお願いします。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
太田 寛先生


慈桜会 瀬戸病院産婦人科(所沢市)
北里大学医学部公衆衛生学 助教
1989年京都大学工学部電気工学科卒業後、日本航空株式会社羽田整備工場に勤務。2000年東京医科歯科大学卒業。茅ヶ崎徳洲会総合病院産婦人科、日本赤十字社医療センター産婦人科勤務を経て、2009年北里大学医学部公衆衛生学助教に。2012年瀬戸病院産婦人科勤務、現在に至る。平成21年度厚労科研費補助金「新型インフルエンザ対策(A/H1N1)妊娠中や授乳中の人へ」パンフレット作成委員。医学博士、日本医師会認定産業医、日本産科婦人科学会専門医。

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