その眼の疲れと痛みはVDT症候群かも? 腰痛や心の不調も

パソコン作業による疲れは、ほうっておくと大変!

じわじわと心身に現われる諸症状。まずは思い当たる点をチェックしてみましょう。

VDT症候群って、いったいなに?

 私たちの日常生活に、もはやパソコンは欠かせない存在となりました。しかし、同じ姿勢で集中し続けるパソコン作業は疲れがたまりやすく、心身にさまざまな症状を引き起こす「VDT症候群」が問題となっています。

 VDTとは、Visual Display Terminals(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)のことで、パソコンをはじめ、テレビ、携帯電話、ポータブルゲームなどの情報端末をさします。これらのVDTを使って行う作業が「VDT作業」で、パソコンでは、データの入力・検索・照合、文章・画像の作成・編集、プログラミング、監視作業などが含まれます。

 パソコン作業は長時間、座ったままの同じ姿勢で、ディスプレイ(画面)を注視し、キーボードやマウスを操作します。その結果、目や上半身に肉体的疲労が発生しやすく、さらに操作中に情報処理のスピードや高度な判断などが必要となるので、精神的疲労も生じてきます。
 「VDT症候群」でもっとも多く見られる症状は「目の疲れと痛み」です。ほかに、首や肩のこり・痛み、腕、手、指の痛み・しびれ、腰、背中の疲れ・痛み、さらに、頭痛、めまい、イライラ感など、多岐にわたっています。
 あなたも最近、このような症状に悩まされていませんか?

目の疲労やドライアイが起こることも

 パソコン作業をしているとき、私たちの視線は、ディスプレイ、キーボード、資料の間を頻繁に行き来しています。そのため目の疲労が起こりやすく、目の痛み、充血、かすみ、視力低下など深刻な症状が現われることがあります。

 また、目を見開いた状態でディスプレイを凝視していることが多く、自然と、まばたきの回数が通常の4分の1ほどに減ってしまいます。そのため、涙の供給が減るうえに蒸発する分が増え、目の表面が乾いた状態になってしまい、ドライアイになりやすくなります。
 ドライアイとは目が乾燥することで起こるさまざまな症状をいい、パソコン作業に限らず、コンタクトレンズやエアコンなどもドライアイを助長する大きな原因となっています。涙が不足して目全体に行きわたらず、角膜の一部が空気に触れるために目がショボショボしたり、ゴロゴロしたり、重い感じになるのが特徴で、さらに重症化すると、眼球に傷がつきやすくなったり、細菌の感染によって感染症が起こることもあります。「ドライアイ」と診断されたことがある人は特に注意が必要です。

極端に動きが少ないことが血行を悪くし肩こり、腰痛の原因に

 長時間、同じ姿勢をとり、キーボードを叩き続け、マウスを操作し続けることで、首、肩、腕などのこりや痛みを訴える人も増えています。その原因は、姿勢保持のために首、肩、腕の筋肉に力を入れ続けなければならないことにあります。筋肉は動くと血液循環を行いますが、パソコン作業のように動きが極端に少ないと、血行が悪くなり疲労物質がたまって肩こりなどが起こるのです。特にノートパソコンでの作業では、画面が下方にあり距離も短いため首への負担が大きくなります。同様に動きが少ないことは腰にも負担をかけ、腰痛を引き起こす原因になります。

 首や肩がこると、次第に腕にも痛みが広がるようになります。その症状は、だるい、しびれ感があるなどから始まり、放置しておくと、首や肩、腕に激痛を伴う、頸肩腕(けいけんわん)症候群に悩まされることもあります。

 また、入力作業などの同じ動作を繰り返していると、腱鞘炎(けんしょうえん)という手指の炎症に発展することもあります。これは、筋肉と骨をつないでいる腱とそれを包む腱鞘がこすれて炎症を起こし、指の付け根に痛みや腫れ、熱感が生じる病気です。

心の不調につながることも

 このような体のトラブルが、心の不調につながることもあります。頭痛、睡眠障害、不安感、抑うつ感などさまざまなストレス症状が現われてきます。「テクノストレス」という心の病も出てきています。なかでもパソコンに過剰に適応し、対人関係が上手に結べなくなる「テクノ依存症」は深刻だとされています。

 上記のストレス症状以外にも、めまい、吐き気、疲れがとれない、食欲がない、倦怠感などの症状があったら注意が必要です。

パソコン作業の快適度をチェックしよう

 VDT症候群は、座ったままの同じ姿勢で、長時間パソコン作業をすることによる疲労から起こります。ですから、VDT症候群にならないためには、作業時間が適切であることと、作業環境が快適であることが必要です。

 下の表であなたのパソコン作業の快適度をチェックしてみましょう。当てはまる項目が多いほど快適度が高く、少ないほど快適度が低いことになります。当てはまる項目が少ない人は、どうすればもっと快適になるか考え、少しでも快適度を上げるようにしていきましょう。


          パソコン(PC)作業の快適度アセスメント

(1)PC作業時間が1日5時間を超えるのは、週に2日以下である
(2)自由にPC作業が中断でき、席を離れることができる
(3)好きなタイプのPC(ブラウン管、液晶、デスクトップ型、ノート型など)で作業ができる
(4)PC作業用の机の広さが1平方メートル以上あり、机上に書類やひじを置くスペースが十分にある
(5)いすは座面およびひじかけの高さが自由に変えられ、背もたれはリクライニングで、ヘッドレストもある
(6)PC操作やソフト上の問題が起きたとき解決してくれる人がすぐ近くにいる
(7)電子メールの受信や送信が大好きである
(8)エアコンからの冷気や暖気が直接体に当たることはない
(9)PC表示画面は見やすく、またその明るさや文字サイズを自由に変えることができる
(10)VDT作業に関する人間工学的問題およびその対策を知っている

   *特に(1)と(2)、次いで(10)の重要度が高い
                                      (城内 博先生 作成)


 次回は、パソコン作業の快適度を上げるためのポイントを紹介します。

(「パソコン作業 快適トラの巻」城内 博 監修、法研より)

【監修】
城内 博先生


日本大学大学院理工学研究科 医療・福祉工学専攻 教授
早稲田大学大学院理工学研究科(応用化学修士)および秋田大学医学部卒業後、労働省産業医学総合研究所で17年間職業病について研究。2002年4月から現職。専門は人間工学(腰痛対策、VDT作業の健康障害防止など)、電磁場の生体影響、化学物質管理など。腰痛治療器(プロテック)や介護用マット(メディマット)を共同開発。国連「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」委員会委員など。

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