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医療と健康
身近な病気
20〜30代にも多発! 帯状疱疹
免疫力の低下で発症。早期治療で後遺症を残さないことが大切
水ぼうそうを経験した人なら、だれでも発症のリスクがあります。どんな病気なのか、知っておきましょう。

【監修】
本田まりこ先生
東京慈恵会医科大学附属青戸病院皮膚科 教授

帯状疱疹にはかかりやすい2つの年齢層がある

 帯状疱疹(たいじょうほうしん)はヘルペスともいいます。ヘルペスとは疱疹=小さい水ぶくれが集まった状態のことですが、ヘルペスウイルスによって起こる病気を指し、主に帯状疱疹と単純疱疹(口唇(こうしん)ヘルペス、性器ヘルペスなど)の2種類があります。

 帯状疱疹にかかると、からだの片側の一部に強い痛みと、その部分の皮膚に赤い発疹(ほっしん)や水ぶくれがあらわれます。発疹が神経の通っている場所にそって帯状(おびじょう)にあらわれる様子から、帯状疱疹と呼ばれ、日本では6〜7人に1人の割合でかかると言われるほどよくみられる病気です。かつては高齢者に多い病気とされていましたが、最近では若い人にも帯状疱疹にかかる人が増えています。

 帯状疱疹のリスクが高いのは、20〜30代と50〜60代、この2つの年代であることがわかっています。帯状疱疹の原因は、子どもの病気として知られる「水ぼうそう」のウイルス=水痘・帯状疱疹ウイルスです。水ぼうそうは治っても、ウイルスは体内から消えたわけではなく、痛みなどを伝える知覚神経のなかにひそんでいます。このウイルスは、ふだんは何か悪さをするわけではありません。初めて感染したとき、水痘・帯状疱疹ウイルスの情報を記憶して次の侵入に備える「免疫記憶細胞」がつくられ、ウイルスの増殖を抑えているからです。

 ところが、免疫記憶細胞は約20年で数が減少し、ウイルスの活発化を抑えることができなくなっていきます。日本では約95%の人が5歳までに水ぼうそうに感染していると言いますから、20〜30代になると、帯状疱疹のリスクが高くなってしまうのです。その年代の人でも、小さな子どもがいれば、子どもが水ぼうそうになったときにウイルスに接触し、また免疫記憶細胞の数が増えます。でも、それも20年で寿命を迎え、50〜60代になると、再び帯状疱疹にかかりやすい状態になると考えられています。

 免疫記憶細胞が減少した世代は、体の免疫力がウイルスの増殖を抑えていますが、免疫力が低下するようなことがあれば、ウイルスが活発になる可能性があります。免疫力が低下する原因としては、過労やストレス、抗がん剤やステロイド薬を使った後、手術後、重病にかかっている場合などがあげられます。若い世代では過労やストレスが引き金になることが多いようです。

まず体の片側に痛み、続いて発疹があらわれる

 帯状疱疹の症状は「痛み」からはじまります。症状が軽いと「違和感」や「かゆみ」としか感じない場合もありますが「ピリピリ」「ズキズキ」など、強い痛みを感じる場合がほとんどです。
 痛みがあらわれてから1週間くらいで赤い発疹や小さな水ぶくれが次々に出て広がっていきます。水ぶくれは初めは透明ですが、やがて膿をもって黄色くなり、それがやぶけてただれたり潰瘍(かいよう)になったりします。こうした症状は、通常体の左右どちらか片側にあらわれます。とくに症状が出やすいのは、胸からおなか、背中にかけてと、顔です。

後遺症を残さないために早期治療を

 帯状疱疹の治療は、できるだけ早期にはじめることが大切です。帯状疱疹が重症化した場合、心配なのは「帯状疱疹後神経痛」という後遺症が残ってしまうことですが、発疹が出て3日以内に治療を受ければ、後遺症が残る確率は低くなり、皮膚の症状も軽くてすみます。

 帯状疱疹後神経痛は、神経の炎症が続いた結果、神経が傷ついてしまうことで起こる痛みと言われ、初期の症状が重い人、高齢の人はとくに注意が必要です。ひどい痛みをがまんしていると、神経は痛みの刺激を受け続けることになり、その状態に耐えられなくなって変性を起こしてしまいます。こうなると痛みが慢性化して長期間続くことになり、これが帯状疱疹後神経痛です。この病気では、痛みをがまんするのは禁物で、早く痛みを取り去って神経を楽にしてあげることが大切なのです。

 帯状疱疹の治療には、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、炎症と痛みをしずめる抗炎症鎮痛薬が用いられます。薬だけで痛みが改善されないときは、「神経ブロック」という治療をして激しい痛みをとりのぞきます。この治療は、ペインクリニックや麻酔科などで受けることができます。

 早く症状に気づくには、帯状疱疹のサインを見逃さないこと。体の左右どちらかにピリピリした痛みや違和感が出て、その部分の痛みがだんだん強くなり、それが4〜5日続く場合、帯状疱疹が疑われます。注意して観察し、赤い発疹が出たら、すぐに皮膚科を受診しましょう。予防のため、できるだけ疲労やストレスをためないようにして、免疫力を低下させないように気をつけることも大切です。

 なお、帯状疱疹にかかった人が、水ぼうそうにかかったことがない人と接触すると、相手に水ぼうそうを感染させてしまうことがあります。水ぶくれが治るまでは、水ぼうそうの免疫がない人、とくに妊娠している人や小さな子どもとの接触は避けるようにしましょう。

(「帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本」本田まりこ著、法研より)

【監修】
本田まりこ先生

東京慈恵会医科大学附属青戸病院皮膚科 教授
東京女子医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学皮膚科学講座、共立薬科大学大学院非常勤講師を経て、2003年、東京慈恵会医科大学皮膚科助教授。2003年より現職、現在に至る。医学博士。日本皮膚科学会評議員、日本感染症学会理事、日本皮膚科学会代議員などを務める。
2007年7月3日
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