美しい歯は日頃のお手入れが肝心-定期的な検査と歯磨きのコツ

年に1回は、体の健診並みに歯科健診も

歯科医なら無自覚の初期のむし歯や歯肉炎でもすぐわかる。できれば集団健診以外にもかかりつけ医を受診して

むし歯も歯周病も、初めは自分ではわからない

 6月4日から10日までは「歯の衛生週間」。歯の大切さは今さら言うまでもないでしょう。私たちは食物を摂取することで生命を保っています。それには健康な歯と歯ぐきの存在が欠かせません。健康な歯で食物を十分にかみ砕き、消化器に送り込み、体を形づくり活動のエネルギーにもなる栄養を吸収しています。

 ところで、私たちは消化器をはじめとする内臓の病気については、定期健診を受けたり人間ドックに入ったりして予防と早期発見に努めようとします。ところが、歯や歯ぐきの健康について同じように注意を払っている人はそう多くはないのではないでしょうか。むし歯は痛み出してから、歯周病も歯がグラグラし始めてから、あわてて歯医者に駆け込むというようなケースは珍しくないでしょう。むし歯や歯周病も、内臓の病気と同じように、初期のうちははっきりとわかる自覚症状がなく、自分で気づくということはなかなか難しいからです。

成人の10人中8人が歯周病の危険

 自分のむし歯に最初に気づくきっかけの多くは、冷たい水がしみるようになることでしょう。この段階は、歯の表面のエナメル質に穴が開いて、その下の象牙質にまでむし歯菌の侵食が進んでいる状態です。この段階の治療は、むし歯の部分を削って、そこにプラスチックや金属を詰めます。穴が開く以前の本当の初期のころに見つけられれば、治療はより簡単に済ませることができます。それには、歯に何の症状も感じられなくても、定期的に歯科健診を受けることでしか見つけることはできません。

 成人が歯を失う大きな原因である歯周病も、前段階の歯肉炎の症状は歯ぐきが少し赤く腫れぼったくなる程度なので、ふつうの人が鏡で見たくらいでは気づくことは無理かもしれません。いまや成人の8割が、歯周病かその予備群といわれるくらいですから、これも定期健診を受ければ多くの人に注意信号か危険信号がともるはずです。

かかりつけの歯科医をもとう

 職場や地域では、体の健診とともに歯の定期健診も行っているところがあります。こうした集団健診では、一人当たりに割ける時間はごく短時間に限られますが、歯科医であれば自覚症状が現れる前のむし歯や歯肉炎を見つけることは難しくありません。

 さらに望ましいのは、こうした集団健診以外に、1年に1回は自分自身で歯科医院に行って定期的にチェックを受けることです。そのためには、ふだんから気軽に受診できるかかりつけの歯科医を見つけておくことが大切。こうした歯科医院に個人的に受診すれば、時間をかけて口の中の健康状態を調べてもらえるので、より効果的な早期発見・早期治療が可能になります。

 歯科医院では一般的に次のような検査や指導を行います。

●むし歯の検査 かみ合わせの面や根元だけでなく、自分では気づきにくい歯と歯の間、治療済みの歯の治療部分の周辺なども調べます。
●歯ぐきの検査 歯ぐきの色・腫れの有無、歯のまわりの溝(歯周ポケット)など。歯周ポケットが深いと、歯垢(しこう)がたまり、歯肉炎から歯周病になりかねません。
●歯垢・歯石を取る 歯垢はきちんと歯みがきしているつもりでも、取りきれないことが多いもの。赤い染め出し液を塗って、残っている歯垢やみがき残しになりやすい所を調べます。歯垢から歯石になってしまうと歯みがきだけでは取れないので、健診はそれを取ってもらうよい機会です。
●歯みがき指導 歯並びや歯の形は人それぞれ。みがき方の癖(くせ)によって、みがき残しになりやすい所もいろいろです。自分に合ったみがき方や、デンタルフロス、歯間ブラシの使い方を教えてもらえます。

毎日のケアの基本は正しい歯みがき

 歯の健康を守るには、定期健診とあわせて自分自身による毎日のていねいなケアが必要です。健診での歯みがき指導をもとに、以下のことにも注意してみがきましょう。
 歯みがきは、しっかりみがいているつもりでも、正しくみがかないと必ずみがき残しが発生します。みがき残しが多い場所は、下の奥歯の内側と、上の奥歯の外側です。奥歯をみがくときは、口は閉じ加減にします。大きく開けるより、ほおや口もとがリラックスして口の中で歯ブラシを動かしやすくなります。

 歯のかみ合わせの部分は汚れがつきやすいので強くみがきます。側面は強くみがくと歯がすり減ったり歯肉を傷つけやすいので、軽く小刻みに横に歯ブラシを動かします。歯垢や歯石のつきやすい歯と歯肉の境目は、歯ブラシの毛先を押し込むようにして小刻みに動かしましょう。前歯の裏側は歯ブラシの毛先のかかと部分を使ってかき出すようにみがきます。また、どんなにていねいに歯みがきしても、歯と歯の間についた食べ物かすや歯垢をきれいに取り除くことは難しいものです。このため、デンタルフロスや歯間ブラシなどの小道具も積極的に利用してください。

(「すこやかファミリー」法研より)

【監修】
梅本 祐司先生


医療法人社団 保歯会 梅本歯科医院理事長
鶴見大学歯学部卒業後、同大学歯周病学教室医局員。1984年梅本歯科医院開業。90年医療法人保歯会設立。大田区で一番患者さんの多い開業医として、保険治療中心でかつ矯正、インプラント、口腔外科、入れ歯、小児治療など地元に根付いた開業医をモットーに診療。各種ネットランキングで常に上位に位置している。

コラムに関連する病名が検索できます。

美しい歯は日頃のお手入れが肝心-定期的な検査と歯磨きのコツ 関連コラム

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

歯周病を予防する歯磨きの仕方-歯垢を確実に落とす方法とは

6月4日から6月10日は「歯の衛生週間」。歯周病は、歯を失う大きな原因となるだけでなく、全身に影響を及ぼす“口のなかの生活習慣病”。日本では中高年の80%以上がかかり、その危険性は20代から高まっていると言われています。歯周病は症状がかな... 続きを読む

よい歯医者さんを見分ける4つのポイント-かかりつけ医の探し方

「次に歯医者さんに行くのはいつ?」と尋ねると日本では怪訝な顔をされる方が少なくありません。欧米では「次の歯科のチェックアップは……。」と手帳を見てくれる、日本でもそれが当たり前になればいいと思います。日本では、かかりつけの歯医者さんで定期... 続きを読む

毎日歯磨きしても歯周病になる-歯のケアはどこまですればいい?

頑張って歯磨きをしているはずなのに、ふと気がついたときに歯がしみたり、歯茎がはれたり、歯茎から血が出たりします。
日本では、毎日2回以上歯磨きをしている人の割合が7割を超えています。しかしながら、歯周病に侵されている割合は、20歳台で1... 続きを読む

歯周病とメタボの意外な関係-お口の健康が体を守る

内臓脂肪型肥満に高血糖、高血圧、脂質異常などが重なった状態である「メタボリックシンドローム」と、歯ぐきに炎症などがおこる「歯周病」。一見なんの関係もなさそうですが、最近、両者の間には深い関係があることがわかってきました。
そもそも生活... 続きを読む

口臭や歯のくすみ大丈夫? 加齢とともに口内環境は悪化する

「平成17年歯科疾患実態調査」(厚生労働省:6年ごとに行っている調査)によると、1日の歯みがき回数は調査ごとに増加し、口の中の健康に対する意識が高まっていることがうかがえます。
一方、別の調査では、毎日歯みがきしているのに、口の中のネ... 続きを読む

あなたは大丈夫?歯周病が分かる10個のチェックポイント

歯周病は、歯ぐき(歯肉)など歯を支える歯周組織が歯周病菌による炎症で徐々に破壊されていく病気の総称で、成人の抜歯原因の第1位です。虫歯と違って痛みなどの自覚症状がほとんどなく、見た目でも進行がわかりにくいため、気がつかないうちに抜歯が必要... 続きを読む

かかりつけ医のすすめ-信用できるお医者さんを探す3つの秘訣

皆さんは病院にかかる前に、いろいろと情報を集めていると思います。評判のいいといわれる病院にかかったとしても、病院は大きい組織のため、いい医師にめぐり合えるとも、望む医療を受けられるともかぎりません。
しかし本来、病院とは大きな検査や治療... 続きを読む

女性の病気|こんな症状はすぐに病院へ|不正出血など5つの症状

何となく気になる症状があっても、忙しい毎日の中でついつい取り紛れて見過ごしてしまうことがあります。どんな症状に注意すべきなのか、何に気を配っておくといいのかを知っておくと、病状が進んでしまう前にスムーズに対処できるでしょう。
とくに婦人... 続きを読む

40才になったら定期健診を!緑内障に注意

緑内障ってどんな病気?

ヒトがものを見ることができるのは、角膜・水晶体を通って網膜上で結んだ像の情報が眼球から脳に向かって延びている「視神経(ししんけい)」に入り、脳に色や形の情報を送るからです。伝わった情報が脳で画像として組み立て... 続きを読む

冷たいものが歯にしみる「知覚過敏症」-歯ブラシや歯ぎしりが原因

冷たいものを飲んだりうがいをすると歯にしみてズキンとする、歯ブラシがふれただけで痛いという人はいませんか?
そんなとき、むし歯かなと思って歯科医を受診すると「知覚過敏症」といわれることがあります。知覚過敏症とは、むし歯ではないのに歯がしみ... 続きを読む