男性の更年期障害の症状とは-治療法と生活習慣から改善するコツ

更年期の自覚がなく、年だからと見逃されやすい

治療はホルモン補充療法や漢方薬、抗うつ薬など。ストレスを解消し、生活習慣を改善することが大切。

疲労感、気力の減退、性欲の低下などがあったら疑って

 更年期障害といえば、以前は女性だけが抱える問題だと考えられていました。ところが最近、男性にも更年期障害があることがわかり、注目されています。

 症状で多いのは、疲れやすい、何事にもやる気が起きない、気分が沈みがち、性欲が低下した、勃起(ぼっき)障害がある、怒りっぽくなった、寝付きが悪く熟睡できない、トイレが近くなった、突然汗をかくなどといったことです。このような訴えは、50代から60代の男性に増えています。

 男性の場合、このような症状があってつらく感じていても、なかなか更年期障害であることを自覚しにくく、放置してしまいがちです。女性なら閉経という明らかな体の変化がありますが、男性にはそれがないからです。また、男性にも更年期障害があることがあまり知られていないことも一因です。

 男性更年期の特徴的な症状があっても、「年のせい」と片づけているケースが少なくありません。自宅に引きこもりがちになり、物忘れがひどくなったり、何をするにもおっくうがる夫に愛想をつかし、熟年離婚に至る例もみられます。
 このような不幸を招かないためにも、男性の更年期障害について正しい知識を持ち、疑わしい症状がある場合は、医師の診察を受けることです。本人にその自覚がなく、家族が症状に気づいて治療を受けるきっかけになることも少なくありません。

男性ホルモン値が低い場合は、ホルモン補充療法が有効なことも

 男性の更年期障害は、男性ホルモン(テストステロン)の低下や過度のストレス、生活習慣病の発症、老化による体力の衰えの実感など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。同程度に男性ホルモンが低下し、ストレスを過度に受けていても、発症する人とそうでない人がいます。個人差が大きいのです。女性でも、更年期障害に苦しむ人とそうでない人がいるのと同じです。

 男性の更年期障害が注目されるようになって以降、男性更年期外来やメンズヘルス外来を設ける病院が、だんだん増えてきました。もし、気になる症状がある場合は、ためらわずに早めに受診してください。本人が自覚していない場合は、家族が付き添って受診するとよいでしょう。

 病院では検査の結果、男性ホルモンが基準値よりも低い場合は、ホルモン補充療法を行うのが一般的ですが、この治療法は、前立腺がんや前立腺肥大症がある場合は行えません。また、血液が濃くなる多血症、肝機能障害、睡眠時無呼吸症候群の悪化、手足や顔のむくみ、皮膚の発疹やじんましんなどのアレルギー症状が副作用として起こることがあります。ホルモン補充療法を受ける場合は、医師の指示に従って必要な検査を受け、副作用に注意することが大切です。

 ホルモン補充療法のほかに、漢方薬、カウンセリングや抗うつ薬による治療が有効なこともあります。治療法については担当医と十分に相談してください。

生活習慣の改善だけで症状が軽くなることもある

 男性ホルモンが低下すると、更年期障害だけでなく、メタボリック症候群や糖尿病になりやすくなり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気につながるおそれがあります。こうしたことも考え、更年期の症状が現れたら早めに受診するとともに、これまでの健康管理、生活習慣について見直す必要があるでしょう。

 男性ホルモンの分泌は30代から徐々に低下しますが、ストレスの影響を受けると大きく減少することがわかっています。50~60代の男性では加齢による分泌の減少に加え、仕事の重圧や家族間の問題、定年を迎えることによる目標の喪失など、さまざまな問題が大きなストレスとなり、それが男性ホルモンの急激な低下につながっていると考えられます。

 こうしたストレスを少しでも解消するには、リラックスすることが第一です。食事と睡眠は規則正しくとり、適度の運動を定期的にするようにしましょう。食事はとったりとらなかったりで、加えて睡眠不足ぎみだった人が、生活習慣を改善しただけで、更年期障害の症状を軽くすることができた例が少なくありません。
 休日は、家でゴロゴロしてばかりいないで、ウオーキングに出かけてみませんか。ジョギングやサイクリング、ゴルフ、何でもかまいません。体を動かし、気分をリフレッシュできることを見つけましょう。

 更年期障害のさまざまな症状は、不快でつらいものですが、決してマイナス面ばかりではありません。発症をきっかけに健康管理について考え、生活習慣を改善し、家族との関係を見直すことができれば、その後の生活をいっそう充実したものすることができるでしょう。家族や周囲の人の理解と協力を得ながら、更年期を乗り切ってください。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
堀江 重郎先生


帝京大学医学部泌尿器科学講座主任教授
1960年生まれ。東京大学医学部卒業後、国立がんセンター、東京大学講師、杏林大学助教授などを経て現職。医学博士。日本泌尿器科学会指導医。日本抗加齢医学会理事、日本性機能学会理事、日本Men's Health医学会理事、日本腎臓学会理事。帝京大学病院は日本ではじめてのメンズヘルス外来を設け、男性の健康を総合的に診療している。

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