腹痛の原因となる病気 1-痛む場所から分かる病気と症状とは?

おなかの痛む場所から考えられるのはどんな病気?

突然の痛みや今まで経験のないような強い痛み、痛みが持続したり悪化するときは、できるだけ早い受診を

腹痛の原因は必ずしも胃腸の病気とは限らない

 腹痛とは腹部に感じる痛みのこと。経験したことがない人はいないといってもいいくらい、日常的に起こる症状ですが、その原因は食べすぎ・飲みすぎなど自然に回復するものから、緊急に治療を必要とする疾患までさまざまです。
 また、腹痛、お腹が痛いというと胃腸の不調や病気をイメージしがちですが、必ずしもそうとは限りません。

 腹部と一言でいっても、肋骨の下から恥骨の上まで広い範囲が含まれます。専門的には、へそ周り(へそ部)を中心に上下左右に分け、上から順に次のように呼んでいます。
 (1)心窩部(しんかぶ=みぞおちあたり)、(2)右上腹部、(3)左上腹部、(4)へそ部、(5)右側腹部、(6)左側腹部、(7)右下腹部、(8)左下腹部、(9)下腹部

 ここには、消化器だけでも胃、小腸、大腸以外に食道、十二指腸、虫垂、胆のう、膵臓、肝臓などがあり、ほかに腎臓、尿管、膀胱などの泌尿器、女性では子宮、卵巣、男性では前立腺、さらに血管、筋肉、腹膜など、あらゆる臓器・器官があります。

 腹痛のある場所(部位)に痛みの原因となる臓器があるとは限らないのですが、痛みのある部位と痛みの程度、一緒に起こる症状などを手掛かりに、ある程度原因となる臓器や病気の見当をつけることができます。(「おなかが痛い―病気検索 腹痛」「下腹部痛―病気検索 女性に特有の症状」参照)

 ただし関連痛と言って、痛みの原因がある臓器とは離れた場所に痛みが起こることもあります。たとえば心筋梗塞や狭心症などの心臓の病気でみぞおちや左肩が痛むといったこともあるため、注意が必要です。

痛む場所から考えられる病気は?

 腹痛を感じる部位によって、考えられる病気には以下のようなものがあります。受診の際はどの部分が痛むのか、正確に伝えることが大切です。また、どのように痛むのか、どんな症状を伴うのかも伝えましょう。

(1)心窩部:胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がん、胃アニサキス症などのほか、食道や膵臓、胆のうや胆管の病気など。虫垂炎の初期や、心筋梗塞など心臓の病気の場合もある

(2)右上腹部:胆石症や胆のう炎、胆管炎、肝炎、胃や腎臓、膵臓の病気、骨盤腹膜炎の波及(クラミジア感染症)など

(3)左上腹部:膵炎や膵がん、胃や腎臓、脾臓の病気など

(4)へそ部:腸炎、虫垂炎の初期、腸閉塞、腹部大動脈瘤、胃の病気など

(5)(6)右・左側腹部:腎梗塞や腎がん、腎臓結石、尿管の病気など

(7)(8)右・左下腹部:潰瘍性大腸炎、虚血性大腸炎(左)、過敏性腸症候群、クローン病、大腸がん、虫垂炎(右)、尿管結石、卵巣腫瘍など婦人科系の病気など

(9)下腹部:膀胱炎、子宮筋腫、月経困難症、子宮外妊娠、骨盤腹膜炎、前立腺炎、便秘、鼠径ヘルニア、大腸や尿管の病気など

(10)腹部全体:過敏性腸症候群、腸閉塞、腹膜炎、腹部大動脈瘤など

★虫垂炎では右下腹部が痛むことが知られていますが、初期には心窩部やへその周りが痛むことがあります。
★みぞおちから前胸部にかけて締めつけられるように痛み、吐き気や冷や汗を伴う場合は心筋梗塞や狭心症など心臓の病気の場合があります。

こんなときは医療機関を受診しよう

 次のような症状がみられるときは、緊急に手術や処置などが必要な場合がありますから、できるだけ早く医療機関を受診してください。

・腹痛が突然起こり、しかも痛みが激しい
・強い痛みが続いたり、悪化していく
・意識がもうろうとする
・持続する吐き気や嘔吐(おうと)、冷や汗を伴う
・発熱や黄だんを伴う
・血を吐いたり、赤色や真っ黒い便を伴う

 また、痛みはそれほど強くなくても、何日も続くときや繰り返し痛むようなときも、早めの受診がすすめられます。

子どもや高齢者には特に注意が必要

 子どもや高齢者の場合、同じ病気でも症状の現れ方や経過が異なる場合が少なくありません。子どもは急に発症して経過も早いことが多く、病気の種類も大人とは異なることがあります。(「おなかが痛い―病気検索 子どもの症状」参照)

 また、高齢者は痛みに対する感覚が鈍くなっているため、症状が軽く見えても重症な場合もあり、注意が必要です。(「おなかが痛む―お年寄りの病気」参照)

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
石井 敦先生


社団医療法人養生会 かしま病院総合診療科 部長代理
福島県生まれ。福島県立磐城高等学校卒業。1998年聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、いわき市立総合磐城共立病院初期研修医、聖マリアンナ医科大学総合診療内科病院助手、福島県立医科大学医学部 地域・家庭医療学講座助教を経て、2013年より現職。日本プライマリ・ケア連合学会認定 プライマリ・ケア認定医、プライマリ・ケア指導医。生まれ育った福島県で働ける喜びを胸に、福島県全域に家庭医療が普及・定着し、さらに日本全国へと拡がっていくことを夢見て日々活動している。日々の活動の詳細はブログ「いわきで創る家庭医療」をご覧ください。

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