RSウイルスに赤ちゃんが感染すると重症化の危険-予防法とは

ありふれた感染症だが、乳幼児の肺炎原因の約半数を占める

生後数カ月以内、低出生体重児、心臓や肺の病気がある乳幼児は要注意! 病気をよく知って予防対策を

最近は流行時期が早まっている

 「RSウイルス感染症」の流行が始まっています。国立感染症研究所の調査によると、今年(2014年)は患者数(報告)が8月下旬から急増し、9月中旬には流行期に入ったとみられています。例年晩秋から春にかけて流行し、冬季にピークがみられましたが、2011年以降流行の時期が早まっています。

 RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症で、通常かぜのような症状を起こします。感染力が強く、1歳までに半数以上、2歳までにはほぼ全ての子どもが感染すると言われています。一度かかっても免疫ができにくく、大人になっても何度も感染・発症をくり返しますが、年齢が上がるほど軽い症状ですむようになります。

 このようにRSウイルス感染症は、子どもから大人まで年齢を問わずかかるありふれた感染症ですが、油断は禁物! 乳幼児では、重症化することもあるのです。

 そのため、乳幼児のいる家庭ではもちろん、子どもに接する機会のある大人はRSウイルス感染症のことを良く知って、対策をとる必要があります。

初感染の赤ちゃんの30%が重症化。肺炎などを起こすことも

 RSウイルスに感染すると、4~6日の潜伏期間をおいて鼻水、せき、発熱などかぜに似た症状が現れます。多くは軽症のまま回復しますが、初めて感染した乳幼児の約30%は症状が重くなるとされ、肺炎や細気管支炎を起こすことがあります。RSウイルスは、乳幼児の肺炎の原因の約50%を、細気管支炎の50~90%を占めるという報告もあります。

 特に生後数週から数カ月の赤ちゃんは、母親からもらった抗体を持っているにもかかわらず、感染すると最も重症になりやすいので注意が必要です。また、低出生体重児、心臓や肺などの病気がある乳幼児も重症化のリスクが高まります。
 生後1カ月未満の感染は頻度が低いものの、呼吸器症状が出ない場合も多く、診断が遅れたり、突然死につながる無呼吸発作を起こすこともあります。

 次のような症状が出たら悪化しているサインと捉え、早めに医療機関を受診しましょう。

 ●咳がだんだんひどくなる
 ●「ゼイゼイ」と苦しそうに呼吸する
 ●呼吸が浅くなる
 ●呼吸数が増える など

 なお、乳幼児だけでなく、肺や心臓の病気を持つ高齢者なども、RSウイルスに感染すると重症化する傾向があります。

赤ちゃんにかぜをうつさないことが大切

 現在RSウイルス感染症の予防ワクチンや特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心になります。ただし、重症化のリスクの高い乳幼児には、予防薬が投与されることもあります。

 RSウイルス感染症は、感染者のせきやくしゃみなどを吸い込んだり、ウイルスがついた手指や物を介して広がります。家庭では、年長の兄弟や両親などから乳幼児への感染に注意しましょう。年長児や大人は、症状が軽いため感染に気がつかないまま乳幼児にうつしてしまうことがあります。

 乳幼児の家族(または日常的に乳幼児に接する人)は、かぜのような症状のあるときには次のような予防対策を心がけましょう。

 ●手洗いやうがいを徹底する
 ●咳やくしゃみのしぶきが乳幼児にかからないようにマスクをつける
 ●おもちゃや手すりなど乳幼児が触れるものは、こまめにアルコールなどで消毒する

【参考】
厚生労働省 RSウイルス感染症に関するQ&A(平成25年9月25日)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html

国立感染症研究所 IDWR 2013年第36号<注目すべき感染症>RSウイルス感染症
http://www.nih.go.jp/niid/ja/rs-virus-m/rs-virus-idwrc/3972-idwrc-1336-01.html

(編集・制作 (株)法研)

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