セックスのとき出血した原因と対処法-子宮頸がんの疑いあり?

怖いのは子宮頸がん。ポリープや偽びらん、炎症なども原因に

出血に気づいたら早めに婦人科へ。対処方法を知ることができたり、重大な病気の早期発見にもつながります

性交時の出血で最も怖いのは子宮頸がん

 セックスの最中やそのあと、出血に気づいたことはありませんか? 性交時の出血にはさまざまな原因が考えられます。主なものをみていきましょう。

 まず、最も怖いのは子宮頸がんです。子宮は腟の奥にあって、腟の長さは8~9cmくらいあります。その腟に面した部分に発生するがんが子宮頸がんで、セックスのときやそのあとに、おりものに血が混じる場合があります。

 子宮頸がんはかなり進行しない限り、痛みや違和感といった症状が出ないため、性交時の出血が病気に気付く重要なきっかけとなります。進行すると、セックスに関係なく出血することがあります。

 子宮頸がんは定期的に婦人科の検診を受けることで早期発見が可能です。初期の段階で発見できれば軽い治療ですみます。上皮内がんという表面だけのがんの場合には、腟を通して、おなかに傷をつけることなく子宮頸部だけを手術し、子宮本体を残すことができるので、その後に妊娠や出産も可能です。

 子宮の入り口にできる子宮頸がんに対して、子宮の奥のほう(体部)にできる子宮体がんでは、早期から月経以外の出血がみられます。月経以外の時期に出血や茶色いおりものがあるようなら婦人科を受診してください。

子宮頸部の入り口にできものができる、子宮頸管ポリープ

 子宮頸管ポリープといって、子宮頸部の入り口に小さないぼ状のできものがある場合も、性交時出血が起きます。この病気は婦人科で診察を受けないと発見できません。

 よほどポリープの茎が太い場合は、麻酔をかけ手術室で切除することもありますが、たいていの場合麻酔は不要で、見つけたその場で切除してがんではないかどうかを調べるための病理組織検査を行います。
 子宮頸管ポリープは良性の腫瘍ですが、まれに子宮頸がんがポリープ状になっていることがあるため検査がすすめられます。

粘膜が薄くちょっとした刺激で出血する子宮腟部びらん

 子宮腟部は子宮の入り口で腟のほうに飛び出した部分です。「びらん」とは粘膜がはがれた状態を言いますが、子宮腟部びらんの場合は粘膜がはがれたように見えるだけの偽びらんで、病的なものではありません。
 ただ、病的なものとそうでないものは症状だけでは判断できません。婦人科で診察を受けるようにしましょう。

 この部分は粘膜が薄くなっているためにちょっとした刺激で出血することがあり、セックスのとき挿入が深くなるような体位だと出血しやすくなります。女性が強く脚を持ち上げたり、女性上位で座り込んだりするような体位がそれにあたります。

腟や子宮頸部あたりに炎症やただれがあっても出血する

 腟や子宮頸部あたりの炎症やただれも出血の原因になります。ただれて本物のびらんができていると、ちょっとしたことで出血が起こります。
 おりものが多かったり、いつもと違うにおいがしたり、おりものが黄色や茶色がかっているようなら婦人科で診察を受けましょう。

 腟は肛門に近い場所にあります。下痢や便秘をよく起こす方はそのぶん陰部に大腸菌などの雑菌がたくさんいるので、それが腟に入り込んで炎症を起こすことがあります。
 中には腟炎があるため腟のすぐ隣にある膀胱に菌が入ってしまい、くり返し膀胱炎を起こす方がいます。

 また、閉経の頃から女性は腟炎を起こしやすくなります。腟の中は多くの善玉菌の働きで酸性に保たれ、雑菌の繁殖が抑えられているのですが、閉経で女性ホルモンが減少すると善玉菌も減少してしまうからです。

セックスの刺激で出血する場合は、パートナーとよく話し合って

 セックスの刺激で腟や子宮の周囲に傷が付いた場合にも出血することがあります。多いのは、女性側に体の準備ができていないまま挿入した場合です。
 また、閉経の頃には女性ホルモンの減少で腟や陰部の皮膚が薄くなることもあります。そうなると少しの刺激で傷つきやすく、性交痛を伴うこともあります。

 挿入までの時間を十分にかけて腟の準備が整うまで時間をかけたり、潤滑剤を利用するといった対策も重要ですし、パートナーとよく話し合うことが大事です。(「がまんしないで。セックスの痛みは病気かも」参照)

出血に気づいたらまずは婦人科へ

 このように性交時の出血には、工夫次第で対処できるものから、子宮頸がんの前駆症状まで含まれます。

 出血に気づいたら早めに、まずは相談だけでも、気軽に婦人科を受診してください。原因によっては対処方法を知ることができますし、たとえ重大な病気であっても早く見つかれば多くは軽い治療ですみます。

 ご自身の体に注意を向けて、そして大事にケアしましょう!

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
福本 由美子先生


松原徳洲会病院・済生会奈良病院婦人科医
奈良県立医科大学卒業。日本産科婦人科学会認定専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本性科学会認定セックス・セラピスト。共著に『女性泌尿器科外来へ行こう』(法研)、『30歳からのわがまま出産』(二見書房)など。

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