乳幼児がかかる「川崎病」ってどんな病気?

全身の血管に炎症が起こり、まれに心臓に後遺症を残すことも

後遺症を防ぐにはできるだけ早い入院治療を。高熱と目や口、手足の発赤、首のはれに気づいたらすぐ小児科へ

乳幼児がかかる原因不明の病気「川崎病」が急増している

 「川崎病」という病気を知っていますか? 正式名称は「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」といいますが、1967年に川崎富作博士が世界で初めて報告したことから、博士の名をとって病名がつけられました。

 この病気は全身の血管に炎症を起こし、重症の場合は心臓の血管に後遺症が残ることがあります。0歳と1歳を中心に4歳以下の乳幼児がかかりやすく、女の子より男の子にやや多くみられます。
 原因はまだよくわかっていませんが、何らかの病原菌の感染に対して起こった免疫反応によって、全身の血管に炎症が起こるのではないかと考えられています。また、発症には体質が関係することもわかっています。

 この川崎病の患者数が近年急増しています。1982年と1986年に大きな流行があった後、1990年代半ばから増加傾向が続き、特に2000年以降急増しているのです。
 2000年に約8,300人だった患者数が、2005年には10,000人を超え、2010年12,800人、2012年14,000人となっています。2012年の患者数は、大流行のあった82年の15,600人に次いで多く、0~4歳の罹患率では過去最高となりました。

主な症状は高熱、目や口、手足の発赤、発疹、首のはれなど

 川崎病の主な症状は次の6つで、この症状が続く間を急性期といいます。

(1)高熱が通常は5日以上続き、解熱薬があまり効かない。
(2)両側の白目が充血して真っ赤になる。目やにはでない。
(3)くちびるが赤くなり、舌の表面にイチゴのような赤いブツブツができる。
(4)手足や体に大小さまざまな形の発疹ができ、かゆみを伴うこともある。
(5)手足が硬くはれ、手のひらや足の裏が指先まで赤くなる。熱が下がるころ指先の皮膚がむける。
(6)首のリンパ節がはれて痛くなる。

 これらのうち5つの症状があれば川崎病と診断されますが、症状が出そろわない場合もあります。ほかにも、腹痛や下痢、黄疸(おうだん)、関節痛、頭痛、けいれんなどの症状がみられることがあります。

怖いのは心臓の血管にこぶができて心筋梗塞を起こす恐れがあること

 川崎病で怖いのは、心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている血管(冠動脈:かんどうみゃく)に炎症が起こって、冠動脈瘤(りゅう)というこぶができること。
 ごくまれですが、大きなこぶができると血管が詰まりやすくなり、心臓へ十分な血液が送られなくなると、乳幼児でも心筋梗塞を起こす恐れがあるのです。

 急性期にはほとんどの患者で冠動脈に炎症を起こしていて、炎症がある程度以上強くなると冠動脈瘤ができ、それ以下の場合はそのまま治っていくと考えられています。
 治療の進歩によって冠動脈瘤が生じる子どもは減っていますが、冠動脈に後遺症をきたす割合は全体の約3%といわれています。

炎症を抑え、冠動脈瘤をできにくくする治療を行う

 川崎病は急性期の炎症が強かったり、10日以上発熱が続いたりすると冠動脈瘤ができやすくなるといわれています。そのため、できるだけ早く炎症を抑える必要があります。

 そこで早期に、炎症を抑えるアスピリンや、冠動脈瘤をできにくくさせるといわれる免疫グロブリン(血液製剤の一種)の大量投与を行い、冠動脈瘤の発生予防を図ります。
 重症例では免疫グロブリンが効きにくいことがあるため、免疫グロブリンとステロイド薬の併用療法が行われ、冠動脈瘤の発生率を低下させる効果が認められています。

 こうした治療は入院して行いますが、冠動脈瘤は症状がなくなったあとに生じることもあるため、退院後も定期的に心臓の検査を受ける必要があります。
 もしも冠動脈瘤ができてしまった場合は、症状に応じた治療と定期的な検査が必要で、運動が制限されることもあります。血管が詰まる可能性が高い場合は、カテーテルを使った治療や血管バイパス手術などが行われています。

高熱が続き目や口が赤くなったら必ず小児科へ

 心臓の後遺症を防ぐためには、できるだけ早く入院治療を受けることが大切です。それには川崎病の特徴的な症状を見逃さず、必ず小児科を受診すること。
 高熱が続いて機嫌が悪い、目や口、手足が赤い、首がはれて痛がるなどの症状があったら、迷わず小児科を受診してください。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
樋浦 誠先生


新潟医療生活協同組合木戸病院 小児科部長
 

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