かくれ貧血とは? だるい、疲れやすい原因は鉄分不足のせいかも

ヘモグロビン値は正常でも、貯蔵鉄が不足していることも

体内で鉄が不足すると貯蔵鉄「フェリチン」から先に減る。食事は鉄、たんぱく質をしっかり、バランスよく

体内の鉄が不足して起こる「鉄欠乏性貧血」は若い女性に多い

 涼しくなってきたのに何だか体がだるい、疲れやすいなどの不調が続き「きっと夏の疲れが今ごろ出てきたのだろう」と思って食事や睡眠などの生活を見直したら治まった。そうならばよいのですが、治まらないときは、もしかしたら「かくれ貧血」かもしれません。

 貧血は、血液中の赤血球や赤血球の中に含まれるヘモグロビンが減少した状態をいいます。貧血の中でも最も多いのが体の中の鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血で、若い女性に多くみられます。

 ヘモグロビンは鉄とたんぱく質が結合して作られる赤い色素成分で、体中に酸素を運ぶ重要な働きをしています。そのため体内の鉄が不足するとヘモグロビンを十分に作ることができず、体中の組織が酸欠状態になります。すると、軽く動いただけで動悸(どうき)や息切れがする、疲れやすい、集中力がない、不安な気分になるといった症状があらわれます。

ヘモグロビン値は正常でも、体内で鉄が不足している「かくれ貧血」の場合が

 貧血かどうかは血液検査で調べることができます。一般的な健康診断ではヘモグロビンの濃度が男性13g/dL未満、女性12g/dL未満の場合に貧血を疑います(検査機関により若干異なります)。
 しかしヘモグロビンの値は正常でも、実は体内で鉄が不足しているという状態も珍しくありません。これが「かくれ貧血」です。

 大人の体の中にはおよそ3~5gの鉄が含まれ、約2/3がヘモグロビンに組み込まれ、残りの大部分がフェリチンというたんぱく質に貯蔵鉄として肝臓や脾臓(ひぞう)、骨髄(こつずい)などに蓄えられています。
 通常は、古くなった赤血球を壊して新しい赤血球をつくる代謝によって失われる鉄の量とほぼ同量の鉄が毎日の食事から吸収され、鉄量のバランスが保たれています。しかし、食事による鉄の摂取不足や吸収障害で体に入る鉄が減る、生理や妊娠・授乳などで鉄の消費量が増える、月経過多などによる出血で鉄が慢性的に失われるといったことがあると、バランスは負に傾きやすく鉄が不足することになります。
 生理や妊娠など鉄が不足する原因をみると、なぜ若い女性に鉄欠乏性貧血が多いのかわかりますね。

鉄の不足分を補うためにまず使われるのは貯蔵鉄

 ヘモグロビンには全身に酸素を送るという生命維持に必須の役割があるため、鉄の不足分を補うために、まず使われるのは貯蔵鉄です。その貯蔵鉄が底をついてもなお鉄不足が続くと、ヘモグロビンが減少する鉄欠乏性貧血となります。

 貯蔵鉄が不足するとフェリチンの血中濃度(フェリチン値)が下がります。ヘモグロビン値が正常であってもフェリチン値が低ければ、貯蔵鉄が不足している状態とわかります。これは貧血一歩手前の「かくれ貧血」といえるでしょう。

 貯蔵鉄が不足すると、貧血の代表的な症状である動悸や息切れはなくても、だるさや疲れやすさを感じたり、不安感、イライラや肌荒れ、睡眠障害の原因にもなるといわれています。

 フェリチン値は一般的な健診で行われる血液検査の項目には含まれていませんが、健診のオプション検査で、または内科で調べてもらえます。貧血が疑われるときは、フェリチン検査は保険適用となります。

鉄だけでなく、たんぱく質やビタミンCもしっかりとろう

 鉄は体内で作り出すことができないため、不足するときは何らかの形で補給が必要です。貧血がひどい場合は鉄剤の服用が必要になりますが、かくれ貧血から軽い貧血までなら、食生活の改善で対処が可能です。

 食事で気をつけたいのは、鉄だけでなくたんぱく質もしっかりとるということ。たんぱく質もヘモグロビンの材料となると同時に、鉄の吸収を高める効果があるからです。

 鉄を多く含む食品には、次のようものがあります。

●動物性食品:赤身の肉(牛・豚肉のすね、もも、ヒレなど)、レバー、しじみ、あさり、かつお、いわし、まぐろ、卵など

●植物性食品:小松菜、ほうれんそう、アスパラガス、ブロッコリー、ひじき、切り干し大根、大豆製品、ごまなど

 動物性食品にはヘム鉄が、植物性食品には非ヘム鉄が多く含まれます。ヘム鉄は吸収がよいうえ、ヘム鉄の多い動物性食品にはたんぱく質も豊富です。また、非ヘム鉄はそれだけでは吸収がよくないのですが、たんぱく質やビタミンCと一緒にとると、吸収率がよくなります。

 貧血の予防・改善には、こうした鉄を多く含む動物性・植物性食品を食事に取り入れながら、栄養バランスよく食べることが大切です。

【関連コラム】賢い健診講座10 貧血検査」、「鉄欠乏性貧血の予防は3度の食事が大事

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
仲 眞美子先生


医療法人社団葵会 AOI国際病院 健康管理センター 所長
1975年東京医科大学医学部卒業、愛知県がんセンター第二内科に国内留学。(財)東京都健康づくり推進センター指導科医長、イーク丸の内院長、東京医科大学病院非常勤講師、首都大学東京OU講座非常勤講師などを経て現職。人間ドック総合健診専門医、日本内科学会認定内科医。

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