鼻の構造と役割とは? 鼻の3つの大きな役割|鼻の病気について

外鼻と鼻腔から成る気道の入り口。においを感じ、声にも影響

内部には多くの空洞。異物の侵入を防ぐ、エアコン、におい感知などの働き。声の個性づくりにも一役

見た目すっきりの「はなすじ」も内部は結構複雑

 8月7日は「鼻の日」。1961年に日本耳鼻咽喉科学会が定め、毎年鼻の健康を守る啓発活動を行っています。というわけで今回のテーマは、空気の取り込み口であり、通り道でもある「鼻」です。

 まず、鼻の構造はどのようになっているのかみていきましょう。外側から見える部分は外鼻(がいび)といいます。外鼻の中心は鼻背(びはい)といい、いわゆる「はなすじ」です。その先端は鼻尖(びせん)、「はなさき」。鼻尖の左右、鼻の孔(あな)の周りは鼻翼(びよく)、「こばな」です。触ってみると分かりますが、鼻背の上半分は硬い骨の支柱がありますが、下半分のほとんどは軟骨です。

 見た目すっきりと通っているはなすじも、内部(鼻腔=びくう)の構造は結構複雑。鼻腔は中央の鼻中隔(びちゅうかく)という仕切りで左右に分かれ、それぞれの側壁は鼻甲介(びこうかい)と呼ばれるひだが上段、中段、下段と棚状に張り出しています。
 外鼻孔(がいびこう)から吸い込まれた空気は鼻甲介の張り出している空間を通過するのですが、鼻甲介が棚状に張り出すことで空気との接触面積が広がり、それらの間を通る空気を清浄にする仕組みになっています。
 鼻腔は上にいくほど狭くなり、上段の上鼻甲介(じょうびこうかい)の上の天井部には、においを感知する嗅粘膜(きゅうねんまく)があります。

 鼻腔の周りの顔の骨には、さらに副鼻腔(ふくびくう)という空間があって鼻腔とつながっています。副鼻腔には、額の裏側に前頭洞(ぜんとうどう)、両目の間に篩骨洞(しこつどう)、ほおの裏側に上顎洞(じょうがくどう)、鼻の奥に蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)と4つの空間があり、それぞれ左右に1対ずつ存在しています。
 なお、この副鼻腔の働きについては、はっきりとは分かっていません。

鼻の果たす3つの重要な機能

(1)異物の侵入を防ぐ機能
 鼻腔への入り口には鼻毛が生えています。鼻毛はここで、空気中の大きなチリやホコリを吸い込んでもその先に入り込まないよう、フィルターの働きをしています。
 また、鼻腔の壁は粘膜に覆われ、その表面には短い線毛が密生しています。鼻毛のフィルターでも防ぎ切れなかった小さなゴミや細菌も、この粘膜上で絡めとられ、線毛の働きでのどのほうへと送られ、大部分は飲み込まれて排出されます。

(2)エアコン機能
 吸い込まれた空気は、その先の気管や肺に負担をかけないように鼻腔内で温度と湿度が調整されます。鼻腔粘膜の下では絶えず粘液がつくられていて、ここで空気は適度な温度と湿り気を与えられるのです。

(3)においを感じる機能
 鼻腔天井部の嗅粘膜には、においを感知する嗅細胞が数百万個も存在するといわれ、粘液中に嗅毛(きゅうもう)という線毛を出しています。
 においのもとである化学物質が吸い込まれると粘液に溶け、嗅毛を刺激して電気信号が発生します。それが大脳の嗅覚中枢に送られ、においとして感じられるのです。

 においは、エーテル臭、樟脳(しょうのう)臭、ジャコウ臭、花臭、ハッカ臭、刺激臭、腐敗臭などの基本臭に分けられ、これらを嗅ぎ分けることで危険を回避し、また情動や生殖行動などが刺激されるのです。
 鼻が詰まっているとにおいが分からなくなりますが、これは口呼吸になっているためにおいの化学物質をキャッチできないからです。


 これらの重要な機能のほか、鼻は声をつくる働きの一端も担っています。音の大きさ、音の高さ、音色(ねいろ、おんしょく)を音の3要素といいます。このうち音色は、口とのど、鼻腔の共鳴でつくられます。音色とは、いろいろな音の聞こえ方で個性ともいうべきもの。かぜをひくと鼻声になったりすることでも、鼻が声の個性づくりに一役買っていることが分かりそうですね。

鼻に起こりやすいいくつかの病気

●かぜ
 鼻がかかるポピュラーな病気といえば、まずはかぜでしょう。鼻腔にかぜのウイルスが侵入すると、それに対抗するように粘液の分泌が増加します。それとともに血管が広がって血液中の水分が鼻腔内にしみ出してきます。これが鼻水です。また、粘膜に炎症が起こると粘膜が膨らみ、そこに分泌液がたまった状態が鼻づまりです。
 鼻粘膜が刺激されると、くしゃみが起こることもあります。鼻水もくしゃみも、異物を体の外へ出そうとする反応です。

●副鼻腔炎
 鼻腔の炎症が副鼻腔にまで広がった状態。鼻水や鼻づまりなどの症状とともに痛みも起こります。炎症が慢性化したものが慢性副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症(ちくのうしょう)です。副鼻腔に膿(うみ)のような分泌物がたまり、ひどい鼻づまりとともに、炎症のある部分が痛んだり、頭痛、集中力や記憶力の低下などが起こります。

●アレルギー性鼻炎
 春や秋には多くの人がかかります。鼻に吸い込んだ物質に対するアレルギー反応で、たくさんの鼻水が出たり鼻づまりやくしゃみを連発。やがて目のかゆみや充血、のどのかゆみや痛みなども起こります。
 アレルギー反応をもたらす物質は、花粉、カビ、ハウスダスト(室内のちりやダニの死がい・フンなど)、動物の毛などですから、室内にほこりがたまらないよう清潔に保つことがアレルギー性鼻炎の予防につながります。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
大河原 大次先生


耳鼻咽喉科 日本橋大河原クリニック院長
昭和34年東京生まれ。成蹊高校卒業。昭和60年帝京大学医学部卒業後、日本医科大学耳鼻咽喉科入局。その後、伊勢崎市民病院耳鼻咽喉科医長、神尾記念病院副院長を経て、平成18年12月耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック開業、現在に至る。医学博士。耳鼻咽喉科専門医、補聴器認定相談医、身体障害者福祉法指定医。

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