皮膚の構造と役割とは? 3層からなる皮膚の構造|バリア機能とは

全身を包んで体を外界から保護する皮膚のしくみと働き

汗と皮脂がつくる弱酸性バリア、痛覚・触覚・温度覚などをキャッチ、体温を一定に保つなどさまざまな働き

表皮、真皮、皮下組織の3層から成る

 全身を覆う皮膚の表面積は成人で1.5~1.8m2、重さは10kg近くもあり、体の最も大きな器官です。その構造は外側から内側へ表皮、真皮、皮下組織の3層になっています。分泌腺である脂腺や汗腺、角質からなる毛や爪は、皮膚付属器と呼ばれます。皮膚の中には血管や末梢神経、リンパ管なども通っています。

 皮膚は病原体や毒物、紫外線などが外から侵入するのを防ぎ、体内の水分の蒸発を抑えてからだの内部を守るバリア機能のほか、体温を一定に保つなどの働きをしています。内臓の不調が皮膚に現れることもあって、体の健康度を推しはかる鏡ともいえます。

●表 皮
 手のひらや足の裏など外からの刺激を受けやすい部分の厚さは1mm以上ありますが、ほかは0.1~0.2mmほど。外側から順に角質層、顆粒層、有棘(ゆうきょく)層、基底層の4層に分かれます。
 表皮の細胞は最下層の基底層で常につくられていて上へ上へと押し上げられ、約2週間かかって角質層に達します。ここで2週間ほどとどまっているうちに乾燥し、合計約4週間ののちにアカやフケとなってはがれ落ちます。この皮膚の新陳代謝をターンオーバーといいます。

●真 皮
 乳頭(にゅうとう)層と網状層から成り表皮の数倍の厚さがあります。太くて丈夫なコラーゲンと弾力性のあるエラスチンというたんぱく質線維が網状に交錯。そのすき間を満たしているヒアルロン酸は水分を保持する働きがあり、皮膚の弾力や潤いを保っています。

●皮下組織
 真皮よりは密度が粗(あら)い結合組織でつくられていて、皮下脂肪と呼ばれる脂肪組織が豊富に含まれ、水分と栄養の貯蔵庫の役割を果たしています。皮下脂肪の厚さは体の部位や性別、年齢などで変わります。

痛覚、触覚、圧覚、温度覚などをキャッチする感覚器

 皮膚感覚という表現は抽象的に使われることが多いのですが、皮膚は実際に外界からの刺激をキャッチする感覚器の一種です。皮膚には痛覚、触覚、圧覚、温度覚などをそれぞれ感知する感覚点(痛点、触点、圧点、温点、冷点)と呼ばれる部分があります。

 痛点は最も数が多くほとんど全身にありますが、特に指先に多く、触点は指先や顔面に多いなど、感覚点の数や多く分布する部位などはそれぞれ異なります。

体温調節、汗や皮脂の分泌で弱酸性バリア、有害物の侵入を防ぐ

●血管が拡張・収縮して体温調節
 真皮や皮下組織には豊富な血管が通っています。外気が暑いときは血管が広がって体内にこもった熱を放散し、寒いときは血管が収縮して体熱が失われるのを防ぐなどして体温を一定に保っています。

●汗や皮脂の分泌で体温調節、有害物の侵入を防ぐ
 汗を分泌する汗腺は真皮の深い所からその下の皮下組織にかけて存在し、アポクリン汗腺とエクリン汗腺があります。このうち全身に分布するエクリン汗腺は体温調節にかかわっています。通常は1日に700~900mL分泌しますが、夏や運動したときなどには10Lも分泌して体熱を放散します。

 皮脂を分泌する脂腺は手のひらと足の裏を除く全身にあります。皮脂は毛や皮膚の表面を覆って滑らかにしたり、皮脂と汗が混じり合って皮膚の表面を弱酸性の状態にし、病原菌の侵入や繁殖を抑えます。

バリア機能の低下からさまざまなトラブルが

 外界から体を守る皮膚のバリア機能が低下すると、さまざまなトラブルが起こります。弱酸性状態で殺菌作用を保っている皮膚の表面は、たとえば汗を大量にかくとバランスが崩れてアルカリ性に傾き、殺菌作用が弱まって化膿しやすくなります。
 また、皮脂の分泌が少ないと肌は乾燥してカサつき、かゆみが起こったり、角質層にすき間ができて外界から異物が侵入しやすくなります。

●にきび
 思春期など皮脂の分泌が活発なときに起こりやすいトラブル。皮脂や角質、ホコリなどが混ざって毛穴を塞ぎ、さらに皮脂が分泌されてたまります。ここに微生物が増殖し、それを退治しようと白血球が集まってくると炎症が起こり、にきびは悪化して赤く腫れて膿(うみ)をもちます。

●水 虫
 カビの一種である白癬菌(はくせんきん)が皮膚に感染し、皮がむけたり小さな水疱ができたり、かゆみを伴うことがあります。白癬菌は角質層にあるケラチンというたんぱく質を栄養源にして、高温多湿を好み、足裏や足指の間などによくできます。再発しやすくうつりやすいのが特徴です。

●アトピー性皮膚炎
 最近、遺伝的に皮膚のバリア機能が低下していることが主因であることがわかってきました。乾燥した皮膚の角質層のすき間からいろいろな刺激物が侵入しやすくなり、皮膚の炎症が起こります。その結果、アレルギー反応を起こしやすい状態になることがあります。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
上出 良一先生


ひふのクリニック人形町院長
東京慈恵会医科大学客員教授
1973年東京慈恵会医科大学卒。81年より2年間ニューヨーク大学メディカルセンターならびにカリフォルニア大学サンディエゴ校メディカルセンター皮膚科研究員として光線過敏症の研究に従事。東京慈恵会医科大学皮膚科学講座講師、助教授を経て、2005年教授、14年定年退職後,クリニック開業。専門分野は光皮膚科学、アトピー性皮膚炎(アトピーカフェ主宰)、心身医学、褥瘡・スキンケア。所属学会は日本皮膚科学会、日本研究皮膚科学会、日本光医学・光生物学会(元理事)、太陽紫外線防御研究委員会(理事)、光皮膚科学研究会(世話人代表)、日本褥瘡学会(常任理事)など。

コラムに関連する病名が検索できます。

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

乾燥でお肌がかゆい。そんな時の救世主!肌バリア機能を高める「植物油」

お肌が乾燥して粉が吹いている、痒くてかきむしって血がにじんでしまった、など乾燥によるトラブルが激しくなるこの季節。乾燥がひどくなると毛穴なども目立つようになり、あまりよろしくありません。ひどくなる前に肌のバリア機能を整えてあげましょう。... 続きを読む

肌を綺麗にしたいなら“肌の役割を正しく理解”が第一歩!【3つの層】を徹底解説!

普段何気なくお手入れしているお肌ですが、一体どんな役割があるのでしょうか?皮膚は「生命活動を守る人体最大の器官」とも呼ばれ、たくさんの役割が詰まっているとっても大切なパーツです♡皮膚はまるでミルフィーユのように3層から成り立っており、そ... 続きを読む

足のイヤな臭いの原因-臭いを元から断つ方法と靴の手入れの仕方

自分の足の不快なにおいが気になっている人、多分たくさんいるでしょうね。特にこの時期、よそのお宅を訪問するのに靴を脱がなければならないとなると、ついつい腰が引けてしまうこともあるのでは?
どうして足がにおうのか。その理由の1つは足裏には... 続きを読む

L-92乳酸菌

現代病の代表と言われる、アレルギーに悩まされている人に朗報が。「L-92乳酸菌」が、花粉症や通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの、つらい症状を緩和することがわかりました。 「乳酸菌というと思い浮かぶのが、ヨーグルトや乳酸菌飲料で... 続きを読む

原因は角質と皮脂!?頬の毛穴詰まりのおすすめ対策法

角質と皮脂が混ざり合って出来たものを角栓と呼びます。頬の毛穴にこれが詰まってしまうと、ぶつぶつざらざらの頬になってしまい、見るも無残になってしまいます。毎日しっかり洗顔しているのになぜ?と思っている人も多いでしょう。実際、改善方法はある... 続きを読む

職場で急病人が出たときの対処法-確認した4つのこと

「職場」での急病人発生。本人は意識がなかったり、苦しんでいたりして、電話ができませんから、同僚、部下、上司、総務の方など、立場はどうあれ誰かが救急車を呼ぶべく119番に電話をしなければなりません。
はたして、救急車はすぐに職場に来てくれ... 続きを読む

気になる角質にお試しあれ!角質ケアには拭き取り化粧水が効く

「なんとなく肌がくすんで見える」という人は、もしかしたら角質がたまっているかもしれません。そんな時には、拭き取り化粧水を使って角質ケアを行うとよいでしょう。拭き取り化粧水はたくさん種類がありますから、自分の肌に合ったものを選びます。気に... 続きを読む

耳の構造と隠れた役割とは? 音をキャッチする仕組み|耳の病気

来月3月3日は「耳の日」。普段はあまり気にも留めていない耳のことを、1年に1度くらいはちょっと意識してみてはいかがでしょう。まずはその構造。耳は目に見える部分からその先の奥のほうまでを、外耳、中耳、内耳と3つの区域に分けられます。
外... 続きを読む

美肌のコツは角質層のバリア機能の強化-乾燥しないスキンケア

寒いですね~。しかも静電気がバリバリ起こるほど空気が乾燥してきました。寒さで皮脂も出ないし、お肌はカサカサ。だから、肌の潤い補給をしなくちゃ、って思っている人も多いのでは?
それも間違いではないんだけれど……。潤いを与えても与えても、「乾... 続きを読む

健全な境界線とは? 「自分の領域」と「外の世界」を区切るライン

「境界線」と聞くと、皆さんは何をイメージされますか?国境や土地の区画などの物理的な区切り、定義などの意味の分かれ目など、その言葉にはさまざまな意味合いが含まれています。 人が、「自分の領域」と「外の世界」を区切る目に見えないラインも境界線... 続きを読む