海外生活が心身にあたえる影響とは? 意外と多い海外で心の病になる人

異文化ならではの環境要因

 

駐在員や留学生として、海外に出て行く日本人は年々増えています。
現地での新しい生活を想像しながら、いろんな期待に胸を膨らませて出発することでしょう。海外旅行などの数週間・数ヶ月の滞在であれば、現地の文化に触れて、新しい体験を得てすばらしい思い出となって終わります。しかし、仕事や学業で長期にわたって現地で生活をするとなると、いろんな困難にうまく対処し、適応していかなければなりません。そこで、うまく対処していくことができずに、海外生活で大きなストレスを抱えて帰国を余儀なくされてしまう人もいます。日本で心の病を経験したことのない人が、海外生活の中で、精神的にダウンしてしまうことも珍しくありません。

異文化での生活が心にどのような影響を与えるのか、ここでは特徴的なものを2つ見てみましょう。

孤独感

普段、私たちは、家族・友人との連帯感や地域の人々と社会活動をすること、学校や会社など組織に所属することで、居場所をもち、大きな安堵感を得ながら暮らしています。また、外を歩いていても周囲の人は、外見の似ている日本人がほとんどですので、自分がその社会に帰属しているという感覚を自然に持ち、それが安心感にもつながっています。ところが、日本を出国することでこれらの帰属意識が失われてしまいます。例えば、家族や親戚、親しい友人がいなかったり、町を歩いていても周りは外見も体格も自分とまったく違う人々。現地の言葉で意思疎通ができるくらいになっても、言語や考え方の違いから親密な絆を感じる友人がなかなかできないこともあります。こういった状況の中で、帰属意識を感じることができず、これまでに感じたことのない疎外感・孤独感に襲われることがあります。

自己評価の低下

日常生活で日本語を通して相手に感じたことを伝えていますが、海外生活では感情や意見を現地の言葉で表現しなければなりません。日本語では頭に浮かんでいても、それを表現する現地の細かな単語を知らないがために、簡単な言葉に代えて伝えないといけなかったり、そのために相手から自分が実際より幼く扱われてしまいます。語学力が数年で現地のレベルまで上がるわけではありませんので、こういう経験ともしばらく付き合わなければなりません。そんな中で知らない間に自尊心が傷ついていったり、自分自身に対する評価を下げていってしまいます。

海外生活では、こんなふうに心の負担になるような体験をいくつもします。日本ではなんともなかった人が、海外に出てから精神的に疲れを感じるときは、こういった異文化ならではの環境が原因になっていないか振り返ってみましょう。海外生活に潜むこういった環境が自分の心に影響しているんだと気づくだけでも、心の負担は少し軽くなるかもしれません。

【執筆】
ピースマインド・イープ 水野俊樹


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