偏見のメカニズム-カテゴリー化とステレオタイプの考え方を辞めるには

思わぬところで人を傷つけないために

 

この時期、夏休みを利用して旅行する方も多いのではないでしょうか。初めての土地を訪ねたときなどは、事前に描いていた単純なイメージとは一変し、様々な魅力を発見することがあります。
初対面の人についても同様に、相手が男性か女性か、どんな職業か、出身地はどこか、などの情報によって、その人の能力や性格を事前にイメージすることがよくあると思います。

カテゴリー化とステレオタイプ

私たちは普段、対象をカテゴリーに当てはめて知覚します。たとえば10人の人を見たとき、男性何人、女性何人、大人が何人、子供が何人と、とっさに分類します。このようにカテゴリー化することで、多くの情報を系統だて把握することができます。
他にも、例えば「A子の新しい彼氏って、○○県出身だってさ」「血液型は○型で長男らしいよ」などと、A子にとって彼のどういうところが魅力なのか、という話に入る前にカテゴリー分類をしたくなります。

さらに、「○○県出身の人は努力家だ」「血液型が○型の人はきめ細かい」といった「ステレオタイプ」を用いて、相手がどのような人かをすばやくイメージします。
しかし、「A子の新しい彼氏ってさ、○○出身なんだって」という言葉だけで「え、なんかイマイチ」などと、会ったこともない人の評価してしまうことはありませんか?
また、運転中、前方にもたもたしている車がいると「どうせおばさんが運転してるんだろ」などと、決めてかかることはないでしょうか。
「○○県出身の男性は保守的だ」「○○職の人は暗い」「○○人はがめつい」などと、そのグループからイメージされるものに「好き、嫌い」や「上下」の評価が下されると、偏見、そして差別につながります。特に人種、性別、年齢、地域、職業、血液型などに関してさまざまなステレオタイプや偏見が存在することは皆さんもご存知だと思います。

偏見のメカニズム

偏見はいけない、とわかっていても、知らないうちに持ってしまうのには理由があります。
私たちはカテゴリー分類する際、自分が含まれる集団=「内(うち)集団」とそれ以外の集団=「外(そと)集団」に分類します。このことが偏見につながりやすいと考えられます。

・外集団の特徴は均一に捉えられる
十把ひとからげにする、と言う言葉がありますが、外の集団の人たちは同質に見えるため、ひとまとめにして批評しやすいのです。年配者が「今の若者はみんな同じ格好をしている」というのもその例です。悪意はなかったとしても、画一的に判断されるのは気分のいいものではありません。

・自分の集団に優位性を求める
誰でも自分を「価値がある」と捉えたいものです。そのため自分が所属する集団は「価値がある」と思いたいのです。「自分たちの方が優れている」と考え、他の集団を一段低いものと見ようとする傾向があります。
国や集団の力を維持する目的で、政策的に外国や他の集団に嫌悪感を持たせる、ということが行われてきた歴史もあり、その影響も受けています。

こういったメカニズムによって、私たちは知らず知らずのうちにある集団を見下し、そこに属する人たちを無意識に傷つける可能性があります。けれども、旅行で実際に訪ねるように、相手や、その集団のことを正しく知ることで、偏見や差別を避けることができます。
人の批評をする前に「ちょっと待てよ」と、本当にそれが、自らその人と接して実感した結果なのかを吟味したいものです。

参考文献:
上瀬由美子『ステレオタイプの社会心理学~偏見の解消に向けて~』サイエンス社、2002年

【執筆】
ピースマインド・イープ 津田 るみ


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