【ナリンゲニンカルコン】なりんげにんかるこん

花粉症の季節になってきました。今年の花粉の飛散率は例年の中では少ないと報道されていますが、すでに「鼻はグチュグチュしてきた」という人もいるでしょう。そこで今月紹介するのはナリンゲニンカルコン(=NGC)です。聞き慣れない成分ですが、知る人ぞ知る、今や「花粉症対策の救世主になるか!」と注目を浴びている新成分なのです。

加工用トマトの 果皮から発見

ナリンゲニンカルコンがもっとも多く含まれているのが、加工用トマトの果皮。トマトの成分としてはリコピンが知られていますが、新たな有効成分の発見となったわけです。トマトの研究に長年携わってこられたキッコーマンの研究者・小幡明雄氏に、ナリンゲニンカルコン発見のお話を伺いました。
「トマトジュースやケチャップに使うトマトの研究をする中で、トマトのポリフェノールを一つ一つ調べていたところ、アレルギー反応を抑える効果のあるナリンゲニンカルコンが見つかったのです」
 トマトというと、私たちは八百屋さんに並んでいる“桃太郎”などの生食用トマトを連想しますが、ナリンゲニンカルコンは生食用トマトには含まれていません。「トマト加工食品メーカーは、トマトジュースやケチャップに加工しやすいように自社のオリジナルトマトを栽培しているんです。ナリンゲニンカルコンもそうした加工用トマトから抽出された成分です」(小幡氏)。
 残念ながら、八百屋さんから買ってきたトマトでは、ナリンゲニンカルコンを摂取することは出来ないようです。ではトマトジュースやケチャップを飲んだり食べたりすれば良いのですか、と小幡氏に伺うと「残念ながら、加工する段階で果皮が除かれるために、ほとんど含まれていません」(小幡氏)と申し訳なさそう。

花粉症の4大症状を抑制・緩和

花粉症対策に大注目されているナリンゲニンカルコンですが、実際にはどのような症状に有効なのでしょうか。 「臨床試験では、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒みという花粉症の4大症状すべてが緩和されました」(小幡氏)  その試験は、花粉症にかかったことのある人たちを集め、ナリンゲニンカルコンの入った錠剤と入らない錠剤を摂取するグループに分けて、その経過を比較するという形で行われました。その結果、摂取したグループが4大症状が軽くなるという結果を得たのです。

「ナリンゲニンカルコンは細胞内のヒスタミンの放出を抑制して、花粉症の症状を緩和すると考えています。代表的花粉症のスギ花粉症だけでなく、ヒノキ、ブタクサにも有効です。また摂取すると、1週間程度で効果を示し、即効的であることも大きな特徴です」(小幡氏)  さらに発見は続きました。花粉症以外のアレルギー症状、ダニや家の中のちり(室内塵、ハウスダスト)が原因の通年性アレルギー性鼻炎でも、ナリンゲニンカルコンを摂取したグループは症状が緩和。その成果は2005年10月に開かれた「第55回日本アレルギー学会秋季学術大会」で発表されました。

食品なので、副作用もなく安心

 実は小幡氏自身もひどい花粉症だったそうです。
「開発段階で、自分で飲んでみました。自分のからだでその効果を検証し、実感しました」  と説明する言葉にも力が入っています。摂取量はナリンゲニンカルコンを含んだトマト抽出物1日360mgを、何回かに分けて飲みます。即効性もありますが、花粉が飛散する1カ月前から摂取しておくと効果もアップ。副作用も、「眠気やのどの渇きなどもなく、毎日摂取しても安心」とか。トマトパワーで花粉症とサヨナラしたいですね。

小幡明雄主任研究員
農学博士。
キッコーマン株式会社研究本部・第2研究部「トマトのパワーで、花粉症を軽減できたらうれしいですね」