【アスタキサンチン】あすたきさんちん

「サケの身はピンク色や赤い色をしていますが、本来は白身の魚です。赤い色素を持つオキアミやエビなどをエサにしているので、その色素が体内に蓄積して身が赤くなっているのです。この赤い色素が今、栄養学的に注目を集めているアスタキサンチンです」(鈴木先生)
 皆さんご存知のニンジンやカボチャのβ-カロテン、トマトのリコピンなどと同じく、アスタキサンチンもカロテノイドという色素成分なのです。脂溶性で、体内ではビタミンAの元になります。
 カロテノイドには植物性のものと動物性のものがあり、アスタキサンチンは後者の代表。オキアミ、エビ、サケの他、筋子、イクラ、カニ、マダイ、キンキなどにも含まれています。


活性酸素を消す抗酸化作用は最強

 カロテノイド系の成分は抗酸化作用があることから、積極的に摂取したい成分。これまでは、前述のβ-カロテン、リコピンや赤唐辛子のカプサイシン、ホウレン草のルテインなどがお馴染みでした。では今、なぜアスタキサンチンが注目されるのでしょう?
「それはアスタキサンチンの抗酸化作用が飛びきり優秀・強力だからです。動物実験でも細胞を酸化させる過酸化脂質の生成に対してビタミンEの1000倍以上の抑制効果を示すことが明らかにされました。また、免疫細胞や皮膚組織を酸化損傷させる活性酸素を除去する作用も強力です。活性酸素の中でもとくに毒性が強い一重項酸素の消去能力はビタミンEの100倍以上、β-カロテンの10倍以上にもなることがわかりました」(鈴木先生)

そのことから、アスタキサンチンの主な効果を列挙すると、次のようになります。
◆ 動脈硬化の予防・改善
◆ 免疫力の向上
◆ 細胞膜の酸化(老化)抑制
◆ 紫外線によるヒフの酸化損傷およびメラニン色素の沈着を予防・改善
◆ 糖尿病性白内障の進行抑制
◆ 抗ストレス作用
◆ 抗腫瘍(がん)作用

「加齢・紫外線・ストレス等が、動脈硬化や細胞膜の酸化を引き起こし、生活習慣病や様々な病気の原因になります。そこでアスタキサンチンを日常的に摂取すれば、健康維持とアンチ・エイジングにつながることが期待できます」(鈴木先生)


EPA・DHAも豊富なサケで摂るのが一番

 では、アスタキサンチンを普段の食生活でどう摂取したらいいのでしょうか。エビやカニの場合、アスタキサンチンはほとんどが殻や甲羅に含まれます。したがって丸ごと食べる干しサクラエビは別にして対象外。マダイやキンキなども皮に存在するので同様です。
「そこへいくとサケは身にアスタキサンチンが含まれています。身を食べるサケ、および筋子、イクラがもっとも効率的。サケにもいろいろ種類がありますが、100g中シロザケで0.3~0.8mg、ギンザケで0.8~2.0mg、ベニザケで2.5~3.5mg含まれています。スジコ、イクラでは同0.8mgです。とくにサケが良いのは、アスタキサンチンだけでなくEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)も豊富だからです」(鈴木先生)

EPA・DHAは血中脂質(コレステロール&中性脂肪)の増加や血栓ができるのを抑制します。記憶力を高め、脳の老化を予防する等〈頭が良くなる〉成分としても知られています。
 そんなわけで、サケが一番。筋子、イクラ、あるいはサクラエビ、オキアミ(佃煮で出ています)なども随時食べまわしていくといいでしょう。
「アスタキサンチンは多くの効果があるため、化学合成されて飼料や化粧品などに活用されています。また、ヘマトコッカスという海藻から抽出・精製もされて健康補助食品に配合されています」(鈴木先生)
 安全性は、よほど摂り過ぎない限り、問題ありません。

右から「アスタキュア モイスチュア エッセンス」(美容液30ml)¥10,500,「アスタビータE」(約30日分)¥4,300/ともにナチュリル。「アスタキサンチン」(30日分)¥1,890/ファンケル


鈴木平光 医学博士
農林水産省食品総合研究所・機能生理研究室長などを経て、現在、女子栄養大学教授。
お魚博士として各方面で活躍。『水産食品栄養学』(技報堂出版)、『サケを食べれば若返る』(たちばな出版)など著書多数。