【DHEA】でぃーえっちいーえー

 先ごろの関西テレビ『あるある大事典』データ捏造問題を覚えていますよね? ことの発端は“DHEAというホルモンにやせる効果があり、納豆を食べるとDHEAが増えるので、健康的にダイエットできる”という内容でした。その翌日にはスーパー店頭から納豆が消える事態となり、メーカーが新聞におわび広告を出す騒ぎに。しかし週刊誌報道をきっかけに、そのデータが捏造されていたことが判明、局が謝罪した事件です。
 こんな騒動は納豆やDHEAにとっては、はた迷惑な話。では、いったいこのDHEA、具体的にどんなホルモンなのでしょうか。本当にやせるホルモンかどうかも含めて、専門の先生に伺いました。
「副腎で作られる大部分のホルモンの源となる、大変重要なステロイド系ホルモンです。男性ホルモン(テストステロン)、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)、副腎皮質ホルモン(コルチコステロン)など、50種類以上のホルモンの元になることから、別名・マザーホルモンともいわれています」(AACクリニック銀座院長・上符正志先生)


QOLや若さ維持に欠かせない

ホルモンはすべて、体にとって不可欠ですが、DHEAは特に生活の質(QOL)や活力に関与します。
「主な作用は、免疫力の維持・強化と抗ストレスです。このホルモンは加齢とともに減少しますが、中高年になるとカゼをひきやすくなったり、感染症やがん発症率が上昇したりするのはDHEA不足の結果です。ストレスが引き金になる心身の不調も、このホルモンの体内産生と消費のバランスが崩れることで起こります」(上符先生)

そのほか、DHEAには次のような作用があるそうです。
●細胞の再生能力の活性化=ケガや病気による細胞のダメージを修復。
●筋肉の増強・筋肉能力の維持
●肌のはり、若々しさの維持
●記憶力・記銘力の改善
●性機能の維持・改善=性ホルモンの安定
●抗うつ などです。

 このうち、「筋肉の増強~」が脂肪燃焼と関係あることから、DHEAに痩身作用があるというのは、的外れではなさそう。
「ただし、DHEAの産生量および消費量は、個人差が大きいので、誰にでも〈DHEA摂取=やせる〉という等式は当てはまりません。筋肉量や筋肉運動量が一定レベルにない方には、DHEAの恩恵に浴するのはむずかしいでしょう」(上符先生)


DHEAを保ち無駄使いしない

 グラフのように、DHEAの産生能力は年々低下します。かつ、加齢により体調不良や病気などが多発するようになって、DHEAの消費量は増大。つまり30代以降は年々不足状態になり、特に女性は40代半ばからの更年期に、さらに低下します。
 加齢による低下は避けられないのですが、DHEAの産生を少しでも増やし、無駄な消費を少しでも減らす生活が望まれます。
「食事では、大豆イソフラボンとイワシなど青背の魚がおすすめです。といっても、(テレビ放映のような)1日に納豆2パックだけで即効性があるというものではありません。肉・魚・野菜をバランスよく摂り、納豆を含む大豆製品もコンスタントに食べれば、極端な産生能力低下は免れるでしょう」(上符先生)

 食生活と同時に、筋肉を使う運動を習慣にすることも大切。 また、ミモザやローズなどのハーブの香りをかぐことや、睡眠を十分にとること、心地良い性生活や人間関係などでストレスをためないことも、DHEA維持につながります。ストレスやカゼ、過労などはDHEAの無駄使いと心得ましょう。
「なお、更年期症状の改善や若返りにDHEAの補充療法があります。30~40代でも不調や老化を自覚する場合、補充は可能です。専門クリニックでホルモン量を測定してもらった上で、処方してもらうのも一案です」(上符先生)

AACクリニックで処方している「DHEA」(写真左/100粒入り・¥5,250)
ネット上で手軽に海外のサプリ(写真右)が個人輸入できるようですが、DHEAは本来医師の診察によって処方される特別なサプリメントです。


上符正志(うわぶまさし)先生
AACクリニック銀座・院長。
北里大学救命救急センターなどを経て、ニューヨークの最先端アンチエイジング医学を修得。米国抗加齢医学会専門医。著書に『NY式デトックス生活』(WAVE出版刊)がある。