【亜鉛】あえん

 16種ある体に必要不可欠なミネラルの1つで、健康体(成人)では常時2~3g存在しています。
「ミネラルはビタミンとィテんで摂取した栄養を代謝・活性化する役割を担っていますが、亜鉛はミネラルの中ではもっとも働き者といっていいでしょう。というのも、たんぱく質やDNAの合成に関与するほか、糖質・脂質の代謝、インスリンや性ホルモンの合成、免疫反応にかかわるいくつもの酵素の必須成分になるなど、多彩なサポートを担っているからです。また、細胞の老化を早める活性酸素と戦うスーパーオキサイドディスムターゼという酵素にも、必須のミネラルです」(佐藤務先生)
 亜鉛は体内のほとんどの細胞に含まれ、血液や骨、筋肉、皮膚、目などに比較的多く存在して、その成長や新陳代謝に寄与しているそうです。

不足が肌荒れ・脱毛・不妊招く

前述したように、亜鉛の働きは多岐にわたりますが、不足するとどうなるかを挙げればもっとわかりやすいでしょう。女性の関心事で言うと、まず、肌荒れと脱毛です。
「亜鉛は皮膚(頭皮も)の細胞膜の保持と新陳代謝の促進に深くかかわっています。メラニンの新陳代謝にも欠かせません。皮膚の健康にはビタミンC、E、コラーゲン、ヒアルロン酸などいろいろ必要ですが、亜鉛の助けも不可欠です。それはアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に、亜鉛の外用薬が有効なことでも察しがつくでしょう。抜け毛の多い頭皮や色の薄い髪の毛には、亜鉛が不足していることもわかっています」(佐藤先生)
皮膚同様、感覚器官である目も亜鉛の影響を受けます。とくにレンズの役割を果たす水晶体には、炭酸脱水酵素という亜鉛系酵素がたくさん含まれています。40代から多くなる白内障は、亜鉛不足も一因です。

若い人に近年増加している味覚障害は亜鉛不足が直接原因です。味を感じる細胞の再生ができなくなるからです。30~40代でも亜鉛不足が続くと要注意。嗅覚も鈍るそうです。
「ホルモンの働きが不活性になることも、亜鉛不足の影響として見逃せません。男性の生殖機能が著しく低下することはよく知られていますが、女性でも卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの作用低下、卵子の未成熟などで妊娠が難しくなるといわれています。また、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの生成と作用活性も、亜鉛が不足すると低下します」(佐藤先生)
亜鉛不足は糖質・脂質の代謝低下を招くおそれもあるといいますから、肥満にも繋がります。

マルチビタミンミネラルで補給

亜鉛不足は許されませんが、肉類や魚介類、乳類にはたいてい含まれているので、普通の食事をしていれば1日の所要量(男性10~12mg。女性9から10mg)はほぼ満たされるそうです。
「しかし、ダイエットをしていたり、添加物の多い加工食品を偏食したり、好き嫌いの多い女性は要注意。妊娠中・授乳中の女性や、エアロビクスなどの激しい運動で汗を大量にかく女性も不足しがちです。
魚介類はともかく。肉類や乳製品で亜鉛を摂ろうとするとカロリーオーバーが気になるので、亜鉛が多い豆類、キノコ類、乾物、海藻類などを食べまわすといいでしょう」(佐藤先生)

お薦めは、カボチャ、えんどう豆、そら豆、大豆、納豆、干ししいたけ、干しまいたけ、干しキクラゲ、高野豆腐、切り干し大根、たけのこ、ひじきなど、いわば「和」の食材ばかりです。
魚介類ではカキがもっとも豊富(100g中13.2mg)ですが、これからの時期はオフシーズン。帆立貝、サクラエビ、イカ、しゃこ、タコ、ウニがお薦めです。
「亜鉛が不足している人は、基本的にほかのミネラルも不足しているので、マルチミネラルのサプリメントで補給するといいでしょう。また、ミネラルの働きはビタミンと連動します。肌荒れや脱毛、糖尿病、生殖機能不全などが気になる人は、マルチビタミン・ミネラルのサプリメントを上手に利用して下さい」(佐藤先生)

亜鉛を手軽に摂れる健康補助食品。
右は亜鉛に核酸を加えた「『養生』食品亜鉛酵母」(180粒入り。1日2~6粒)6,300/全薬工業。
左、1本に亜鉛7mgを配合した「キリンZ7(ジー・セブン)」(500ml)は5/22発売。150/キリンビバレッジ




佐藤務
稲毛病院(千葉市)整形外科・健康支援科部長。肥満と生活習慣病の予防に力を入れており、ビタミン・ミネラルの専門家としても知られる。『サプリメントの「本当に正しい!」摂り方』(主婦と生活社)など著書多数。