【烏骨鶏】ウコッケイ

 中国や東南アジア原産の鶏の一種ですが、骨が烏(からす)のように黒い(正確には、黒に近い紫色)ことから、「烏骨鶏」という字が当てられました。
「実は骨だけでなく、皮膚も肉も内臓も黒いのです。そのような鶏は(鳥、動物も含めて)、烏骨鶏だけです。外観は白、または黒の2種類ですが、普通の鶏が羽根で覆われているのに対して、絹糸状の柔らかな毛で覆われているので『絹糸鳥』ということも。見た目にも気品があり可愛いので、観賞用に飼われることもありますが、肉・卵とも古来、中国宮廷の薬膳料理の最上級材料として珍重されてきました。また、漢方では色の黒い食べ物に薬効を認めることから、薬用鶏として位置づけられてきました」(山ノ内愼一先生)
 日本には江戸時代初期に伝来したようですが、もともと飼育がむずかしく一般の食卓にのぼることはありませんでした。

女性の貧血、虚弱体質、冷え症、不妊に特効

昔の中国の『本草綱目』(1596年・刊)という有名な薬学書、およびそれを下敷きにした日本の江戸時代の『本朝食艦』(1697年・刊)という食物学の本には烏骨鶏のことが次のように書かれています。「女人の諸病、一切の虚損(体力・活力の衰え)および久しく子なき者にこれを用いる」。
 わかりやすくいうと、生理不順、更年期障害、貧血、冷え症、産後の体力低下、不妊症など女性に多い症状や病気に効果があるということになります。

「長い間、烏骨鶏を食べてきた実際の効果を踏まえた上でそのように記載されているわけですが、現代の栄養学からみても烏骨鶏は非常に栄養価が高いことが確認されています。まず、必須アミノ酸を含む高たんぱく質食品であること。普通、高たんぱく質食品は高脂肪食品でもあることが多いのですが、烏骨鶏は高たんぱく・低脂肪食品です。その脂肪分もよく知られている血液をサラサラにする効果がある不飽和脂肪酸のEPA・DHAなのです」(山ノ内先生)

 EPA・DHAは血液が固まるのを防ぐ上に、血中の悪玉コレステロールを抑え、脳細胞を活性化する注目の成分です。末梢血管の血流をよくするので、皮膚組織の新陳代謝も促されてお肌の老化予防も期待できます。EPA・DHAは青魚に含まれている成分の専売特許のようにいわれていますが、肉類で唯一、鳥骨鶏に含まれています。
 次にビタミンA、B2、E、カルシウム、マグネシウム、鉄の含有量が非常に豊富です。ビタミンAはうなぎの、鉄はホウレン草のそれぞれ約10倍もあるのですから、烏骨鶏はとても優れた食材です。
「そうした栄養や機能性成分の相乗効果が、前述したような女性特有の症状や病気に特効アリとされるのでしょう。とくに烏骨鶏は体を温める力が強いので、冷えが原因の女性の諸病に特効性があるのです」(山ノ内先生)

産地直送の卵や卵酢なら入手しやすい

烏骨鶏は普通の鶏のように促成飼育ができないため、鶏肉のようには出回りません。そこで、親同様に栄養が詰まっている、烏骨鶏の卵が比較的手軽でおすすめです。

「鶏は年間300個以上、卵を産むのに比べて、烏骨鶏は50個程度しか産まないので1個400~500円と高価ですが、産地直送でまとめ買いすれば割安になるでしょう。あるいは“卵酢(または酢卵)”というものもあるので、利用してはいかがでしょう。烏骨鶏の卵を殻ごと酢に漬けたもので、卵の膜以外は身もカルシウムやミネラルを含む殻も酢に溶け出したものをドリンクとして飲むのです。酢の栄養分も一緒に摂取できる健康・美容ドリンクです」(山ノ内先生)

 卵酢(酢卵)は酵素発酵のもの、リンゴ酢を使ったものなど、様々な種類があります。信頼できる産地・生産者から自分に合いそうな商品を選んでください。
 そのほか、烏骨鶏の卵黄油や、烏骨鶏の黄身を使ったクッキー、プリンなどもありますが、烏骨鶏のパワーを摂取するには卵や卵酢がもっとも確実だそうです。卵酢は、飲むだけでなく、調味料として肉・魚料理に使うこともできますよ。


左:防腐剤、添加物不使用で、まろやかな味わい。酵素を含んだ健康補助食品。「野性の呼び水・烏骨鶏の卵酢」520ml¥5,000/松本ファーム
右:「黒烏骨鶏卵黄油」300mg 60粒¥2,700/くにさき半島烏骨鶏牧場


お話を伺った先生
山ノ内愼一先生
 医学博士・薬剤師・獣医師・日本漢方協会顧問。1951年東京薬科大学、1961年日本獣医畜産大学卒。漢方は日本漢方研究所などで学び、漢方専門薬局を経営する傍ら現代医学から民間療法まで幅広く研究。『よく効く漢方と民間療法』(永岡書店)など著書多数。