【アラキドン酸】あらきどんさん

 脳の若さを保つために重要な栄養成分として、アラキドン酸が今、注目されています。
「アラキドン酸は、油を構成している成分のことで、オレイン酸、リノール酸などと同じ、脂肪酸と言われているものの一種です。どれもエネルギー源として人の成長と健康維持に必要なのですが、体内で合成できず食べ物から摂らなければならない脂肪酸を必須脂肪酸と呼びます。アラキドン酸もそのひとつです」(古賀良彦先生)
 アラキドン酸は、食べ物では豚や牛のレバー、鶏卵に豊富に含まれています。また、母乳にも入っていて、赤ちゃんの精神面での成長、学習・記憶能力の向上を促すそう。このことからも、アラキドン酸が重要な栄養素であることがわかります。

30代から脳のエイジングケアを

「脳には1千億個もの神経細胞があります。頭の回転のよさや、もの覚えのよさは神経細胞の数と、ネットワーク効率のよさによるもの。この神経細胞の膜を構成しているのがアラキドン酸です。しかし、アラキドン酸は、加齢によって減少します。その結果、神経細胞での情報のやりとりが増強されなくなり、ネットワーク効率が落ちてしまうのです。年をとるともの覚えが悪くなるのは、このためだと考えられています。つまり、脳の老化はアラキドン酸の減少が原因のひとつなのです」(古賀先生)

 アラキドン酸の効果は、さまざまな実験で証明されています。
「60~70歳の男性20名を2つのグループに分けて、一方はアラキドン酸を1日240mg摂取します。もう一方はオレイン酸を主成分とするオリーブオイルを1日600mg摂ってもらいました。1カ月後に脳の認知能力を比較すると、アラキドン酸を摂取したグループの方が情報処理のスピードと、集中力の向上が認められました。年齢に換算すると5~8歳若返ったことになります」(古賀先生)

 また、アラキドン酸は精神面の症状に効果があることもわかっています。別の実験では、アラキドン酸の摂取によって「元気が出る」「やる気が出てきた」という実感を得た人も。「神経細胞は、記憶力や集中力のみではなく、うつ病や統合失調症、アルツハイマー病などにも関連しています。ですから、アラキドン酸によって症状が改善される可能性もあります」(古賀先生)

 実はあなたの体も、アラキドン酸が不足しているかも。こんな症状に思い当たりませんか。 「アラ? 人の名前が出てこないといった物忘れ。人に会うのがおっくうといった気力の衰え。これは、脳の衰えによるもので“アラ? 現象”と呼んでいます」(古賀先生)

 サントリー健康科学研究所の調査によると、40~60代の87%が、何らかの“アラ? 現象”を1日に平均1.7回体験しているそう。実際、古賀先生もアラキドン酸の減少は40歳ころから始まると指摘しています。「とくに女性は更年期の前後、女性ホルモンの乱れが加わって“アラ? 現象”が出現しやすくなります。30代後半から脳のアンチエイジングを意識してほしいですね」(古賀先生)

ダイエット中は摂取量が不足がち

 次のような女性は、アラキドン酸の不足が心配な人。思い当たる人は積極的に摂取をした方がよさそうです。

●「アラ? 現象」が気になる人や更年期、30~40代のプレ更年期の女性。
●うつ、元気が出ない、ヤル気が湧かないのを自覚している人。
●妊娠中および授乳中の人。

「アラキドン酸はレバーや鶏卵のほか、肉の脂身、イクラやタラコなどの魚卵、エビ、タコ、アワビといった動物性食品に多く含まれています。そのためダイエットで肉・卵を食べないなど偏った食事をしていると不足しがちに。動物性食品をバランスよく摂りたいですね。コレステロールが気になる人は、サプリメントで補給するのがおすすめです」(古賀先生)
 また、アラキドン酸はDHAと一緒に摂ると相乗効果が。サバ、イワシなど青魚に豊富なので、上記の食品と併せて効率よく“脳力”アップを目指しましょう。

左:アラキドン酸とDHAが同時に摂取できるサプリメント。2つの成分の働きをサポートするアスタキサンチンも配合。「アラビタ」180粒 約30日分¥6,300/サントリー
右:栄養成分のバランスを母乳に近づけ、アラキドン酸を強化した乳児用ミルク。「明治ほほえみ」850g ¥2,761/明治乳業


お話を伺った先生
古賀良彦先生
医学博士。1971年、慶應義塾大学医学部卒。1995年より、杏林大学医学部精神神経科教授に。脳の老化防止を研究するほか、精神医学全般の治療を行う。NPO法人日本ブレインヘルス協会理事長、日本抗加齢協会理事をつとめる。