【ボトックス(A型ボツリヌス菌毒素)】ぼとっくす

 気になる部分に注射をするだけで、しわが消えるボトックス。芸能人など、美に敏感な女性がしているプチ整形ですが、受けてみたいと思ったことありませんか?
 今年1月、ボトックスビスタという薬が、しわ治療の注射薬として厚生労働省に認可されました。
 ボトックスは登録商標で、正しくはA型ボツリヌス菌毒素または、A型ボツリヌストキシンです。
「ボツリヌス菌は食中毒をおこす菌で、自然界にある毒の中でもとても強いもの。もともとは精製したものを、けいれんなど神経系の病気治療に使っていました。それが美容の目的でも使われるようになったのです」(吉村浩太郎先生)
 ハリウッドセレブが行っていることから、日本でもよく知られるようになりました。
「今では欧米をはじめ60カ国以上で行われている美容治療です。アメリカでは、2002年に認可されました。その手軽さから、美容手術全体のなかでも施術件数はダントツ。全米で年間500万人が受ける最も身近な美容治療です。日本でも数年前から医師が薬を個人輸入するかたちで受けられるように。今でも需要は右肩上がりに増えています」(吉村先生)

しわの原因の筋肉をゆるめる

 手軽な美容治療として、施術件数が増え続けているボトックス。なぜ注射をするだけでしわが消えるのでしょうか?
「しわは顔の表情筋が収縮して皮膚に凹凸ができ、それがクセづくことでできます。年をとるとしわが濃くなるのは、コラーゲンが減ったりして皮膚にクセが強く残るせい。でも、筋肉を収縮させなければ、しわはできなくなります。ボツリヌス菌毒素は筋肉の収縮の指令をだす神経 伝達物質“アセチルコリン”の放出を抑えてしまうのです」(吉村先生)  気になるしわのなかでも特に、眉間のしわや、目元にできる“カラス の足跡”に効果的だそう。
「目元の表情じわは筋が、眉間のしわは筋がつくります。施術では、しわの原因をつくっている筋肉にボツリヌス菌毒素を注射します」(吉村先生)
 では、首のしわやほうれい線も消せるのでしょうか?
「どのしわにも効くというわけではありません。表情筋には麻痺させてはいけないものもありますので、注射できる部位は限られます」(吉村先生)
 認可された、ボトックスビスタという薬にも規定があります。
「左右の筋と筋の3カ所に使用でき、65歳未満の成人のみです。施術できるのは、講習を受けて資格を取った医師のみに限られます」(吉村先生)
 毒素から作られた薬…と聞くと、副作用が心配になりますが。
「たしかに規定量の100倍以上の薬を投与すると、死にいたるほど強い薬です。だからこそ、医師しか使えない医療用に限定されています。正しく治療に使えば、副作用がなく極めて安全な薬。顔面の激しい痙攣や頭の筋肉の緊張による頭痛、多汗症(ワキガ)、顔のエラを細く見せるなど、広い用途があります」(吉村先生)今後、ストレスによる肩こりや腰痛の特効薬になる可能性も秘めている薬です。

1回の注射で効果は3~8カ月

ボトックスは、形成外科、美容外科、美容皮膚科などで受けることができます。
「問診をして治療内容の説明を受け、内容に同意すれば、たいがいはその日に施術が可能です。注射自体は約1~2分で済みます。とても細い針で注射をしますので痛みは予防接種程度ですが、表面麻酔を使う場合も。施術後すぐメイクもできますよ」(吉村先生)
 無表情にしていてもくっきり出ている深いしわには、ボトックス+ヒ アルロン酸などが有効。
「しわにも種類があるので、まずは医師との相談が必要です。しわの深さによっては、ヒアルロン酸やコラーゲンを注入して、しわの溝を埋めてからボトックス注射をする場合もあります。深い眉間のしわが取れると、表情が柔らかい印象になりますよ」(吉村先生)
 では、効果はどれくらい続くのでしょうか?
「個人差がありますが、約3~8カ月。施術から12~24時間で筋肉が麻痺しはじめます。だいたい1週間でピークを迎えて、その後はゆっくりと取れていきます。治療は保険適用外なので、費用は施設によりさまざま。1回3~6万円くらいです」(吉村先生)
注目のしわ治療、あなたも試してみますか?

お話を伺った先生/吉村浩太郎先生
医学博士。1985年、東京大学医学部卒業後、埼玉医科大学などの形成外科を経て1990年から東京大学附属病院形成外科・美容外科勤務。現在、同講師。その間、アメリカ・ミシガン大学に1年間留学。最先端の美容治療を駆使してアンチエイジングに貢献している。