【卵殻膜】らんかくまく

 ゆで卵の殻をむくと、殻の内側についている薄い膜。これが「卵殻膜」です。わずか、0.07ミリの薄さながら、外部の細菌からヒナを守る重要な役割を果たしています。
「昔からお相撲さんやレスラーは、ケガをした傷口に卵殻膜を貼って傷を治しているんですよ。卵殻膜に皮膚組織を修復する力があり、早く傷が治ることを経験的に知っていたのでしょう。元をたどれば中国の古い医学書に、卵殻膜が火傷や傷に効くことが書かれています。江戸時代には日本にも伝わり、使われていた記録が残っています」(跡見順子先生)
 実は、この卵殻膜、画期的な美肌促進パワーがあるんです。
「加工した卵殻膜ペプチドを使って、細胞と皮膚への効果を調べました。その結果、卵殻膜ペプチドが皮膚の細胞を元気にして、コラーゲンやヒアルロン酸をたくさん作り出すことがわかったのです」(跡見先生)

赤ちゃん肌を作るIII型コラーゲン

 美肌成分として人気のコラーゲン。卵殻膜が作るのは、赤ちゃんのような肌になれる、III型のコラーゲンです。
「コラーゲンは約30種類もあります。なかでも、肌の70%を構成しているのがI型とIII型のコラーゲン。赤ちゃんのときはIII型が多く、加齢に伴いI型が増えていきます。III型コラーゲンは線維が細いため、柔らかくプルプルの肌になります。また、保湿力も高くみずみずしいのが特徴です。一方、I型コラーゲンは線維が太く、保湿力が低いため肌が硬くなってしまいます。ですから、加齢に伴いIII型が減ってI型が増えると、潤いや弾力が失われゴワゴワしてくるのです」(跡見先生)
 この美肌の鍵であるIII型コラーゲンを生成・分泌するのが「線せんい維芽が細胞」という細胞。そして、卵殻膜にはこれを増やす働きがあるのです。つまり、卵殻膜の援護射撃で、プルプルのコラーゲンがたくさん作られることに。
「線維芽細胞はIII型コラーゲンのほか、ヒアルロン酸やエラスチンなどの美肌成分も作るのです」(跡見先生)
 また、III型コラーゲンは強い再生能力があるので、日焼けをしてもシミ、しわになりにくい肌を作ります。さらに卵殻膜を主成分とした化粧品やサプリメントで、アトピー肌やニキビが改善したという例も多数報告されています。
 このように美肌効果が高いのは、卵殻膜が人の細胞と似た成分だから。
「卵殻膜の主成分はたんぱく質。人の肌や髪ととても近い18種類のアミノ酸でできています。そのため、人の肌の細胞に吸収・定着しやすいのです。とくに、シスチンというアミノ酸が多く、これは新陳代謝を活発にし皮膚組織の治癒力・修復力に富んでいます」(跡見先生)

細胞の環境を整え健康サイクルを作る

 卵殻膜は、肌以外にも血管や骨、肺など繊維芽細胞が存在するところを活性化します。つまり体全体を健康にするのです。
「細胞だけでなく、細胞のまわりの環境もよくします。すると相乗効果で、健康サイクルが回るんです。まず、細胞自体が元気になり、血管は柔らかくなって血流アップ。すると、骨は丈夫になり、肺の機能は向上して酸素の吸収率が高まります。酸素と栄養を含んだ血液が体にいきわたり、細胞はさらに元気になるのです」(跡見先生)
 卵殻膜は、肌だけでなく体のエイジングケアにも有効です。その効果を得る方法は?
●皮膚の再生促進作用
卵殻膜を傷口や火傷などに貼ると、傷が早く治ります。
● 抗菌作用
加工した卵殻膜を繊維に配合することで、抗菌効果のあるマスクや下着ができます。
● 美肌&健康効果
卵殻膜の成分を配合した、サプリメントなどやコスメを使う。
「卵殻膜を分解した成分は、真皮にまでよく浸透し美肌、美白、弾力性アップなど即効性が期待できます」(跡見先生)
 現在は美肌効果が主ですが、今後医療で使われる可能性も。期待が詰まった素材なのです。

お話を伺った先生/跡見順子先生
東京大学大学院教育学博士課程修了後、同大学教養学部助教授、同大学院総合文化研究科教授などを歴任。現在は東京大学名誉教授、同大学アイソトープ総合センター特任研究員。専門は細胞生物学、人間生命科学。

左:卵殻膜に2種類のヒアルロン酸、セラミド、リコピンなどをバランスよく配合したビューティサプリメント。1日2~3粒を目安に。「TO-II+N」150錠入り18,900円/アルマード

右:加水分解した卵殻膜を配合した、肌にハリと潤いを与える美容液。肌を滑らかに整える。「アルマード ラディーナ 美容液」50ml 9,450円/セシール