【オルニチン】おるにちん

 みそ汁でおなじみのしじみは、川の河口など、淡水と海水が混じる汽き 水すいで採れる二枚貝。日本では縄文時代から食べられ、「江戸の朝はしじみ売りの声ではじまる」と言われるほど、昔からある定番食材です。また、民間療法として「二日酔いの朝はしじみのみそ汁がいい」とも言われており、お酒の好きな人にも大人気です。
「その理由は、しじみの成分の一つ、オルニチンの働きによるもの。オルニチンは遊離アミノ酸の一つで、肝臓の働きを助けて飲酒による体の負担を軽減します。しかも、しじみはオルニチンを含む食品の中で、含有量がナンバーワンなんですよ。昔の人は、生活の知恵からしじみが肝臓にいいということを知り、二日酔いの解消に役立てていたようですね」(須田都三男先生)
 このオルニチンは実は、もともと私たちの体の中に存在する成分でもあります。現在は、研究によって私たちの健康維持に欠かせない成分であることがわかってきています。

肝機能を高め疲労回復効果も

 オルニチンは腸で吸収され、血液に乗って肝臓や筋肉、脳など全身に運ばれます。特に大きな効果を発揮するのが肝臓です。
「まず、肝機能を高め、食べ物からの栄養素が効率的に体内で活用されるよう促します。肝臓は食事で摂取した栄養を分解・合成し、必要に応じて体の各組織・器官に栄養を送り出します。つまり、肝臓がきちんと機能してくれないと、いくら食べ物を摂取しても栄養分は体内で活用されないため、肝機能を高めるオルニチンは健康維持に大きな効果を発揮します」(須田先生)
 加齢により、肝臓の代謝能力は低下していくので、オルニチンのサポートが期待されます。
「また、オルニチンは肝臓の解毒作用を助け、体の疲労を回復させてくれます。老廃物である有害物質・アンモニアが体内に溜まると、全身疲労や細胞のエネルギー低下などが起こるとされています。肝臓の解毒作用により、アンモニアを無毒な尿素に変えるのが、オルニチン。この解毒に使われたオルニチンは再生されるので、 “オルニチンサイクル”といいます。体内にオルニチンが増えると、この解毒サイクルが活発に働きます」(須田先生)
 このサイクルの活発な働きが、運動や飲酒による疲労の回復を早めます。また、メンタルストレス軽減作用など、オルニチンの抗ストレス作用も新たに見いだされています。
「オルニチンの作用は、仕事や生活上のイライラ解消、睡眠の改善などにも役立ちます」(須田先生)

成長ホルモンで若返り効果

 オルニチンの効果で最近注目されているのが、からこと世代にもうれしい成長ホルモンの分泌を促す作用です。
「成長ホルモンは、筋肉や骨、臓器、皮膚を作ったり、免疫システムに関わり、免疫力を強化します。さらに、ハリやうるおいのある肌を作ったり、脂肪の代謝、性的能力や記憶力の向上にも影響します。30歳ころから分泌の低下がはじまることから、その不足が老化の大きな原因の一つとされています。オルニチンを摂ることが、アンチエイジングやダイエットの手助けになるかもしれません」(須田先生)
 健康維持や若返りに効果的なオルニチンですが、しじみなどの食材で十分摂ることはできるのでしょうか。
「オルニチンは必須アミノ酸ではなく、体内に存在する成分なので一日に摂るべき量というのはありませんが、その効果を体感する量(400mg以上)を食材だけで摂るのは実質不可能です。ただ、しじみはオルニチンと別のアミノ酸やグリコーゲンといった肝臓にいい栄養や、ビタミンB群、ミネラルも豊富なのでとても体にいいですよ。きちんとオルニチンを摂りたいという人は、食事にプラスしてオルニチン配合の食品やサプリメントを上手に活用していきましょう」(須田先生)
 また、しじみは冷凍庫で凍らせると、含有している遊離オルニチンの量が8倍に増えたという実験結果もあるそう!  冬から春にかけてがしじみの旬。多忙な年末の健康維持に役立ててみてはいかが。

お話を伺った先生/須田都三男。医学博士、肝臓専門医。
東京慈恵会医科大学卒後、同大内科、栄養学教室を経て米国国立保健研究所に留学し、アミノ酸代謝について研究。その後、東京慈恵会医科大学などで肝疾患や内科の診療・教育・研究に従事。一般向け健康指南書、多数。

(左)回復系アミノ酸オルニチンを400mg配合。休肝日にオススメの、ノンアルコールビールテイスト飲料。キリン 休む日のAlc.0.00%(350ml) オープン価格/キリンビール

(右)ヨーグルトに回復系アミノ酸オルニチンをプラス。小岩井 大人の元気ヨーグルト(105g)¥105/小岩井乳業