【治験】ちけん

 新しい医薬品や医療機器の製造や販売のために企業や医師が有効性と安全性を確認する、人間を対象に行う臨床試験のこと。治験には多くの“治験ボランティア”と呼ばれる一般の人々も関わっています。
 治験のデータは薬事法上の承認を得るため、厚生労働省に提出する資料となります。病院の処方薬だけでなく、市販の医薬品も治験を経て販売されます。
「治験なくして医薬品や医療機器の進歩は望めません。例えば、40年程前は胃潰瘍にかかると、胃を切除していました。しかし、治験によって安全な新薬が開発され、普及したおかげで、今では切除はほとんどなくなりました。よりよい治療のためには、欠かせないプロセスなんです」(古家英寿先生)
 有効成分が発見されてから、治験を経て新薬として販売されるまでには、通常10~20年かかるそうです。

新薬の開発には健康な人も参加

 治験はどのように行われるのでしょうか。
「企業は開発した医薬品や医療機器の治験を病院などの医療機関に依頼します。一般的には、治験に特化した施設があるところで行うことが多いですね。そのデータは、独立行政法人・医薬品医療機器総合機構の審査を受け、問題がなければ厚生労働省で承認を受けます」(古家先生)
●第1相試験(フェーズ1)
主に健康な人を対象に、薬の投与量を少量から段階的に増やし、新薬の安全性などを調べる。
●第2相試験(フェーズ2)
少数の患者を対象に、新薬の有効量や、1回の量、服用期間を決めるために行う。
●第3相試験(フェーズ3)
多数の患者を対象に、すべての最終確認のために行う。
「場合により、販売後にも治験を行うことがあり、これを『第4相試験』と言います。治験は、糖尿病や高血圧症、高脂血症、骨粗鬆症、ドライアイなど、患者数の多い病気ほどよく行われます。参加期間は薬によって異なり、数日で終わるものから1年以上になるものまで様々。一例を挙げると、参加者は2、3週間に1回から月1回通院し、経過をみます」(古家先生)
 治験の参加者は“治験ボランティア”とも呼ばれ、病院などのポスターや、ネットや新聞の広告などで募集されます。
 現在治療中の人、治療は受けていないが病気のある人、さらに健康な人も応募することができます。しかし、必ずしも希望の治験に参加できるとは限りません。また、試験によっては、効果を確認するために、薬の成分を含まないもの(プラセボ)を飲む場合もあります。
「動物においての各種の試験により安全性が確認されていますので、治験は危険なものではありません。治験前にはインフォームド・コンセント(十分な説明の上での合意)を正しく行い、参加者が不利益にならないよう配慮され、個人情報も守られます。また、治験でみられる副作用には短時間の頭痛など軽いものが多く、その場合は治療はせずに、治るまで様子を見るだけのこともあります。しかし、仮に強い副作用が出た場合は、すぐに中止し、優先的に治療が行われます」(古家先生)

最新治療を受けるチャンスにも

“治験ボランティア”には、こんなメリットも。
「治験に入る前には、無料で通常の診察よりくわしい検査を受けます。そのため自分の健康状態を的確に把握でき、病気の早期発見にもつながります。また、病気についてくわしい説明を受けるので、知識が身に付きますし、ボランティア同士や医師、薬剤師などとの交流も生まれます。闘病中の人は、最新の治療を受けるチャンス。持病があるのに病院へ行っていない人には、重い腰を上げるきっかけにもなりますよ」(古家先生)
 拘束時間や交通費に見合った「負担軽減費」が支払われるので、経済的な負担はありません。
「ただ、通院や検査のために余分に時間を割くこともあるので、参加者だけでなくご家族の理解も必要です。多くの人の命を助ける新薬を世に送り出す、大きな力になってほしいですね」(古家先生)
 社会に役立ち、自分にもイイコトがある治験。興味がある人は参加を検討してみては。

お話を伺った先生/古家英寿先生。医学博士。大阪治験病院・医師。1989年山口大学医学部、1997年熊本大学医学部大学院を卒業。2008年より、現職。専門は臨床薬理、呼吸器内科、免疫学。治験の専門医として高い評価を得ている。

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